P.2 


(ダダダダダダダ・・・・・ガチャッ)
たまき:ん?
    みやこさん。

    (バタンッ)
 宮古:あいつら逃がすわけには・・・
    (キュキュ、ドルルン)
    ・・・あっ、たまちゃん!?

たまき:や、やあ。
    ちょっと久しぶりだね。
    ・・・約束どおり来たよ。
    それであの・・・・・・




 宮古:悪いけど車から降りてくれないか?
    俺これから・・・

たまき:お・・・降りろ?
 宮古:連れてくわけにいかないんだよ。
    あとで説明するから降りて・・・

たまき:ちょっと、それどういうこと!?
    宮古さんがここに呼び出したんじゃない!

 宮古:いや、だから・・・
たまき:ひどいよ、そんなの。
    もう、いいかげんにしてよ!
    わたしだって来たくて来たんじゃないのに。
    でも、ちゃんと宮古さんと話して
    きちんと仲直りしようって思って・・・・・・
    それなのに会っていきなり、あとで説明するから降りろって、
    まだ隠し事するつもりなの?
    もう宮古さんのこと、信じられないよ・・・

 宮古:ごめん。
    でも、いきさつが複雑で説明してる暇がないんだ。
    とにかく、高嶋女雛って子が今、前の副園長に誘拐されたんだよ。
    すぐに追いかけないと、殺されるかもしれないんだ。

たまき:えっ、ほんと!?
 宮古:・・・信じてくれるのか?
たまき:・・・・・・・・・・・・・だ、だって

   (ダダダダダッ)
 リコ:ヒナっ!?
    ヒナ、どこ?

たまき:リコさん!ニコさんも?
    いったいなんで?

 宮古:おいリコさん!こっち!
 リコ:・・・あ、宮古。
    ヒナ知らない?
    あの子になんかあったみたいだってお姉ちゃんが・・・




 宮古:ヒナがさらわれた
    副園長ともう一人目つきの悪い男に車に連れ込まれて・・・

 リコ:さらわれた?
    なにやってたんだよあんたは!
    お姉ちゃん!?

 ニコ:うん。
    ・・・ヒナちゃんはまだ生きてる。
    ずっとあっちを移動中・・・らな。
    けっこう速い・・・

 リコ:追いかける。
 ニコ:おいよ。
 リコ:宮古、警察に通報は?
 宮古:いや、まだだ。
 リコ:じゃあシート譲りな。
    あたしが車を運転するから。

 ニコ:え?リコちゃんは・・・
 リコ:宮古は警察に通報して。
    犯人の車、見たんでしょ?

 宮古:ああ、そうだな。
    (ピピポ)
    あ、もしもし。
    えと、女の人が誘拐されました。
    場所は地方裁判所裏手の駐車場。
    犯人は車で逃走してて・・・


    (キュキュキュ、ドドドドドドドド)
 リコ:そうだ、その車を見つけたら教えてね。
    お姉ちゃんの感覚だけじゃあ方向しかわかんないから、
    走っている車を追跡するのは難しいんだよ。


    (ドドドドドドドド)




 ニコ:リコちゃん、右曲がって!

 リコ:OK
    (ドドドドドドドド)

 宮古:・・・そうです。
    前にも一度殺されかけたことがあって。
    とにかく早く見つけてください。
    いま、鳳山のほうに向かっているはずです。
    ・・・ええ、携帯電話ですが。
    切らずにこのままですか?
    わかりました。
    ・・・警察はすぐに配備してくれるそうだ。

 リコ:どこかでひかっかるといいけどな。

たまき:あの〜、何でリコさんとニコさんがここにいるんですか?
 リコ:おう、たまきちゃん。
    なんでって、さらわれた高嶋女雛はあたしとお姉ちゃんの仲間だもん。
    その子、しばらくの間、あたしらのところで働いていて、
    ここ1ケ月くらいはウチの従業員兼居候だったんだよ。
    あの子は連中にとって邪魔な存在なわけだ。
    うかうかしてると殺されるかもしれない。

たまき:その高嶋さんって、どういう人なんですか?
    なんで殺されそうなんですか?

 リコ:・・・ちょっと、
    たまきちゃん、なんにも知らないの?
    宮古から聞いてないんだ。

たまき:そうなんです。
 リコ:宮古。
    あんた、なんで話してない?
    この子、彼女なんでしょ?

 宮古:そりゃ、
    ・・・心配かけたくなくてさ。

たまき:なにいってんの?
    すっごく心配したよ〜。
    わたしに隠れてコソコソなんかしててさ、
    どれだけ不安だったか・・・
    女の子から電話がかかってきたり、突然デートの途中で帰ったりさ、
    でも、宮古さんが俺を信じて黙って待っててくれって言うから、
    黙って待ってたんじゃない。

 宮古:・・・すまなかった。
 リコ:あんたたち、バカ?
    気ぃ使いすぎじゃないの?
    もっとバッと本音をさらけ出していこうよ。
    ああ、それができなくて、恋人同士といえるのでしょうか。
    まともにケンカしたこともないんじゃないの?

 宮古:ああ。
    ・・・ないな。

たまき:ないよね。
    わたしたち、ずっと仲良く・・・

 リコ:仲良くじゃないよ。
    そりゃ、ケンカになるのを避けてきたんだよ。
    おたがいに気を使いあってさ。
    たまきちゃんは、不安がってないでこいつに詰め寄ればよかったんだよ。
    隠し事するんじゃねーって。
    宮古も、この子を信じてすべてを打ち明けてくべきだよ。
    だしょ?
    あたし間違ってる?

 宮古:いや、リコさんの言うとおりだよ。
たまき:・・・そうですよね。
    紅蘭にも言われたんです。
    二人で会ってきちんと話して、
    謝るところは謝って、謝らせるところは謝らせて、
    わだかまりのない状態に持っていくことが大切だって。
    考えてみたら、普段からそういうことやってなかったんですよね、
    私達。

 リコ:そうだね。
    恋人同士、隠し事しないで仲がいいのが本当じゃない。
    ほら、あたしら姉妹を見習いなさいよ。
    少なくともあたしはお姉ちゃんに隠し事するのは不可能だよ。(笑)
    ・・・しようとも思わないしね。
    生まれたときから姉貴に自分の考えが筒抜けだって環境で育ってくればさ、
    知られたくないことは隠しておく、なんて考え自体、
    浮かんでこなくなるってものよ。

たまき:そうかぁ、
    そうですよね。
    だから2人とも、いつでも仲がいいんですね。

 ニコ:そーそー





たまき:それで宮古さんが女雛さんをホテルに送って・・・
 リコ:そこにあたしらが勘違いして踏み込んで、
    あんたの彼氏を締め上げちゃったわけだ。
    いや〜、あれは悪いことしたなぁ。

 宮古:いや、もう気にしないでくれ。
たまき:そうか、そんなことがあったんだ・・・。
 宮古:ヒナは・・・、あの子は俺の恩人の娘さんで、
    妹みたいなもんなんだ。

たまき:うん。・・・わかった。



 リコ:それにしてもさ、その漆木って女、
    どうも怪しいんだよね。

 宮古:怪しい?
    ヒナを助けてくれた人なんだろ?

 リコ:電話をかけると、一旦どこかの電話に繋がったあとで、
    別の回線に転送されてからその漆木に繋がっていた形跡がある。
    これは電話番号から身元が割れるのを防ぐ手立てだろうね。
    普通そこまでするかな。

    それに、例の山の登記簿が保管されている役場に問い合わせてみたんだけど、
    ヒナが副園長に襲われたあの日、
    役場には、そんな女は来ていなかったそうなんだよ。

 宮古:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 リコ:ヒナに、副園長に気をつけろっていう電話をしたとき、
    漆木は、ほんとうは長野にいなかったのかもしれない。
    意外と近くで、ヒナが窮地に陥るのを見ていたのかも・・・
    
    ・・・おっと!

    (キュキュキュッ)

 ニコ:リコちゃん、渋滞してるよ。
 リコ:何でこんなところで・・・?
たまき:んと、警察の検問みたいですよ。
 宮古:そうか、オレが電話したから。
 リコ:犯人はもうこんなところにはいないよ〜。
    とっくに逃げてるって。
 ニコ:・・・うん。
    ずっとあっちを移動中。

 リコ:こんなところでグズグズしていらんないよ。
    よし、わき道からいこう。

    (キュキュキュキュ・・・)
    (ガロロロロロロロロロロ・・・・・。)

    お姉ちゃん、方角教えて。
 ニコ:ん〜〜と、あっち。
 リコ:じゃあここから抜けて、川沿いの裏道を行こうか。
    たぶん抜けられると思う。


たまき:リコさん。
 リコ:なぁに? 
たまき:うしろ。
    白バイが追いかけてきてますよ。

 リコ:ええっ!?
    何で?

 ニコ:検問前でふしんな行動をとったかららろっか。
 宮古:しかもタイヤきしませてUターンしたもんな。
    スピードも出してるし。




白バイ:(ファォォォン)
    そこの車、脇に寄せて止まりなさい。
    ら5464、止まりなさい。
 宮古:しょうがない、さっさとおまわりさんに事情を話そうぜ。
 リコ:そんなことをしている暇ないわよ!
    (キャキャキャキャ、ガオオオオオオン・・・
 宮古:おおおお、・・・おいっ!
 ニコ:にゃあああああああ〜〜!
たまき:なんでええええ〜〜〜〜!
    なんでとまらないんですかぁ〜〜!!

 リコ:しっかりつかまってて!

白バイ:こら!5464、止まりなさい!
    (ファァァァ、ファオファオファオファオ・・・・)
    全車に告ぐ、不審車を発見。
    白の三菱パジェロ、乗員4名。
    ひがし橋からおおとり山方面に向かって逃走中。
    至急応援を要請する。

 宮古:おいおい、ヤバイんじゃないのか。
たまき:いいんですかぁ〜〜!?
    おまわりさん怒ってますよ?

 リコ:尋問を受けている暇はないの!
    ヒナに危機が迫っているのよ!

たまき:でもぉ〜〜・・・・・・
 リコ:たまきちゃん、いい?
    正義のためには法を破らねばならないこともあるの。
    なぜなら法は、正義を執行するための手段、つまり道具に過ぎないからよ。
    正義という目的のために、法という手段が効果的でないとき、
    勇気をもってあえて別の方法をとらざるを得ないときもあるの!

 ニコ:ま〜た始まっとぅ
 リコ:ヒナを助けるために!
    正義のために!
    今あたし達はあえて法を破るわ!!

たまき:なるほど!
 ニコ:そんがん、詭弁ろぅ〜〜。
    実はリコちゃん、いま免停ちゅ・・・・・

たまき:えっ!?
 リコ:ゲット、ラヴ!ゲット、ジャスティス!
    (パッパーーーーーーーー)
    どけどけーーーーっ!
    正義サマのお通りだー、おらーーーーッ!!

    (パッパパーーーーーーーー)
 ニコ:ふにゃああああ〜〜〜!
    あうあうあうあうあうあうあうあうあ〜〜
    あっ、リコちゃん、ヒナちゃんあっち。

 リコ:おっしゃ〜〜〜!
    ヒナ、待ってろよ〜〜〜!

    (キャキャキャキャ・・・)
白バイ:5464、止まりなさい!
    (ファァァァ、ファオファオファオファオ・・・・)
    止まらんかぁ〜〜〜!

 宮古:なあリコさん。
    あの白バイに事情を話して
    一緒に来てもらえばいいんじゃないか?
    相手は誘拐犯なんだし、警官がいたほうが・・・

 リコ:ダメダメ。
 ニコ:オレの千里眼で追跡しているんだっけ、
    人質がいるとか、犯人を追跡中だとか
    事情を説明しても、わかってくれないて・・・

 リコ:飲酒運転かクスリやってるか疑われて、
    本署まで同行願われるのがオチさね。
    というわけで振り切るから。

    (ブオオオオオオオオオオオオオ・・・)



   
 
 
たまき日記 P.1 P.2 →→ P.3
女雛日記 P.1 →→ P.2 →→



前の日記を見る


 ★とりあえず★
今日の分までです



日記を閉じる