5月19日(土)晴れ

今日はもう張り切って、朝からいっぱいお料理です。
気持ちのいい朝ですね。
素敵な朝ですね!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 紅蘭:お早ようさ〜ん。
たまき:おはよーッ、紅蘭!
 紅蘭:うわっ!
    なんやこれ〜。


平和な朝の風景

たまき:えっへへ〜、すごいでしょ〜。
    食べて食べて、おいしーよ〜♪
 紅蘭:すごいでしょ〜って、・・・スゴすぎやで。
    どないしたん?
    こんなに豪勢な朝食・・・・・・
    今日ってなんかの記念日?

たまき:うふふふふ。
    記念日ってわけじゃないよ。
    あっ
    ・・・もしかして、朝からこんなに作っちゃって迷惑だった?
 紅蘭:いや、そないなことないけど。
    ウチ、朝から牛丼でもカレーでも品川丼でも喰えるヒトやから。

たまき:よかった!
    今日はねぇ、紅蘭に喜んでもらおうと思って
    たまき、いっぱい張り切っちゃったの〜。
    ねね、嬉しい?
    たまきがいて良かった?
 紅蘭:うん・・・まあ。
たまき:うふふ。ありがとう〜。
    やっぱり誰かに必要とされてるっていいな〜っ。
 紅蘭:今日はえらいご機嫌やん。
    昨日なんかあったんか?

たまき:・・・きのう?
    ななな、なにもないよ?
    何事もない、平穏無事な一日でしたよ?
 紅蘭:はっは〜〜ん、わかったで。
    宮古はんと何かあったんやね〜。
    
(ドサッ)
    なに?どんなエエこと?
    指輪とか買うてもらった?
    それともふたりで旅行でも行くんか?
    ええな〜、カレシおるとなぁ。
    ・・・・・・って、あれ?


バタリ

 紅蘭:たまきぃーーー!
    どど、どないしたんや。
    そんな、ぶっ倒れて。
    なあ、だいじょぶか?

たまき:うう〜〜、何にもないよお〜、
    宮古さんとなんかぁ〜・・・
    なんにもぉ〜〜
 紅蘭:しっかりせえよ。
    ・・・・その様子やと、なんかあったんやな。
    昨日、宮古はんとなにがあったん?
    ウチに話してみ?

たまき:・・・うう・・・昨日ね、
    お買い物した帰りに本屋さんに寄ろうと思ってね、
    ちょっと町のほうまで出たの。
 紅蘭:うんうん。

ショックだったの

たまき:それで本屋さんで雑誌見てね、夏のメイクとか、ダイエット特集とか
    今年の水着とかいろいろあったんだけど、
    でも買ってまで欲しい本がなくてね、
    これじゃあ立ち読みしにきたみたいだなって、
    ちょっと後ろめたい気持ちを持ちつつ本屋さんを後にしたの。
 紅蘭:そんなん気にすることないと思うけど。
    ・・・それで?

たまき:本のおかげで気分は夏だったの。
    今年の夏はいい思い出作りをしたいな〜って、
    宮古さんとちょっと遠くまで行きたいな〜って、
    数ヵ月後に思いをはせていたのね。
    ・・・そんなことを考えながら、大きな通りを歩いていたら、
    むこうから、なんと偶然にも宮古さんの車が来るじゃない。
    わたし嬉しくなって、手をふって合図しようとしたのね。
    でもよ〜く見たら、隣の助手席に綺麗でハデめな女の人が乗っていて・・・
 紅蘭:隣の助手席って、それあたりまえやん。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・(じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ)
 紅蘭:あ、ごめん。
   ・・・そんな、悲しい目で見つめんでも。
    ほんで?

たまき:それだけでもショックだったのに、
    そのあと、宮古さんと、その女の人を、乗せた車は、
    ウインカーを上げて、は、入っていったの。
    そこは、ほ、
ほ、ほ、ほ・・・・・・
 紅蘭:・・・ホビット?
たまき:違う。
 紅蘭:ホビーロビー?
たまき:違う。
 紅蘭:ホビー館?
たまき:違うよ。
 紅蘭:ボークス?
たまき:それ「ホ」じゃないじゃん。
 紅蘭:ウチ秋葉ショールームの店長のファンやね〜ん。
たまき:関係ないでしょ。
    っていうか、そういうのから離れなよ。
 紅蘭:あと、「ホ」いうたらなぁ・・・
    まさか入っていったのが「ホテル」やったらシャレにならんし〜。
    (ドサッ)
    あははははは。
    なぁ、たまき?
    ・・・・・・・って


バタリ2

 紅蘭:うわぁ、また倒れてる!
    おい、ちょっと。しっかりしいや。

たまき:うううう〜〜〜、そうなのよ〜〜。
 紅蘭:・・・ほんまにホテルなんか?
たまき:そ、そう。
    二人を乗せた車は、まるでホテルに吸い込まれるように・・・
 紅蘭:えらいところを見てもうたなぁ。
たまき:わたしバカみたいだよう。
    いきなりデートの途中で帰ったり、
    女の子から電話が入ったり、そんでコソコソ電話したり、
    最近あんまり遊んでくれなくなったりさ。
    こんなの、どう考えたって、誰が見たって浮気してるってのに、
    わたしったら、宮古さんを信じて待ってて・・・・・・
    あ〜〜あ、裏切られたなぁ。
    騙されちゃってたなぁ。
 紅蘭:・・・たまき。
    かわいそうになぁ。
    よしよし。


たまき:・・・わかってるの。
    わたし、宮古さんを信じて待ってる自分にちょっと酔ってたんだ。
    私って、なんて理解あるいい彼女なんだろうって。
    彼氏を信じる素直なイイコなんだって。
    だからきっと、宮古さんはそんな私の気持ちに答えてくれる、
    ・・・ってさぁ。
    
うあ〜〜〜、バカバカ。
    
ほんと、ばっかみたい。
    
自分で自分が嫌になるよ〜〜!
    
あーもうヤダヤダヤダヤダ!
    
うわぁあん、こうら〜〜ん!
    
私の顔におっきく「バカ」って書いて〜〜!
    
だってバカなんだも〜ん!
 紅蘭:そんな、自分を責めたらアカンわ。
    悪いのんは宮古はんのほうやろ?
    あんたは悪うないで。

たまき:・・・・・・ううっ、
    そ、そうかなぁ。
 紅蘭:そうそう。
    あんたは悪いことないって。
    ちょっと落ち着いて、な。
    あんたはこういうことは真っ直ぐでトロいけど、
    うちはあんたのそういうとこ、好きやで。

たまき:・・・・・・・ん。
    優しくしてくれてありがとぅ。
  紅蘭:しっかしサイテーやな。
    たまきがおるのに、ほかの子とも、なんて。

たまき:わたしやっぱり
    男の人ってよくわかんないよ。
    わたしのどこを好きになってくれたのか、
    どこが嫌でほかの子と浮気してるのかさ。
    はあ〜〜あ。
    わたし、女の子に走ろうかなぁ・・・
 紅蘭:・・・・・・いや、そらかまへんけど、
    ウチ個人としては、
    たまきちゃんとはいつまでもいいお友達でいましょうね、
    みたいな・・・な?

たまき:・・・・・・いまのは冗談なの。
 紅蘭:ああ、ほんま?
    本気かと思った・・・っていうか、
    前から女の子に走ってるような気も・・・

たまき:・・・お台場に女の子同士で行くと、
    あの二人は怪しいって噂になるの。
    なんでだと思う?
 紅蘭:・・・イキナリなに?
たまき:
それはね〜、「ユリかもね」だから〜。
    うふ、うふふ・・・・・・
 紅蘭:・・・あ、「ゆりかもめ」か。
たまき:ふぅ〜〜。
    ああ、ダメだ。
    今は精神的にダメージでかくてギャグも冴えないよ。
 紅蘭:そんなことないよ。
    いつもどおり・・・

たまき:お、面白かった?
 紅蘭:いや、いつもどおりサムい。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・(じーーーーーーーーーっ)
 紅蘭:ああ、あの、でもちょっとはおもろいかも。
    おもろかったから、その悲しげな眼差しやめて。
    たのむし。

たまき:一生懸命このネタを練ったの。
 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・?
たまき:
ねたをねった。
 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・ふうん。

たまき:
ダメだぁ〜〜!
    
うわあ〜〜〜〜ん!
 紅蘭:うんうん。
   (なでなで)





敵は美脚ビジン

たまき:・・・きっとあれが、
    話しに聞いてた美脚美人さんだよ。
 紅蘭:ああ、実はうちも白石はんから聞いたわ。
    弁護士のお兄さんに宮古はんが紹介したって。

たまき:・・・わたしって、女として魅力ないかなぁ。
    だからいつもすぐにフラれちゃうのかなぁ。
    今までは、わたしは口うるさいからすぐにフラれるんだと思ってたけど、
    宮古さんに対してはそういうところは見せないでよかったから、
    今回はそれが原因じゃないと思うんだよね。
 紅蘭:そんなん分析しても始まらんよ。
    落ち込むだけやで?
    たまきはたまきやん。
    あんたらしくしてるのが一番やで。
    
たまき:それでフラれてるんだから意味ないじゃん。
 紅蘭:意味ないことなんかあるかいな。
    特定の相手に合わせてコロコロ自分を変えてるほうが
    よっぽど意味ないで。

たまき:・・・・・・・そうだけどさぁ。
    でもさぁ〜〜。

 紅蘭:なあ、ほんまに浮気されてたんかな。
たまき:そりゃあ、されてましたとも。
    決定的瞬間を見ちゃったんだから。
 紅蘭:いや、たまきの話聞いて最初ラブホかと思っててんけど、
    考えてみたら大通り沿いにそんなんないし。

たまき:うん。
    シティホテルがあるでしょ。
    あそこ。
 紅蘭:せやったら、ほかの可能性もあるやろ?
    たとえば、宮古はんの妹やったとか。

たまき:妹はいないの。
    上にお兄さんがいるだけだよ。
 紅蘭:いとことか姪っ子とか。
たまき:そういう話も聞いたことないもん。
 紅蘭:ほな昔のクラスメイトとか。
たまき:
それは浮気じゃん!
 紅蘭:ちゃうちゃう。
    ホテルまで送っていっただけ、とか。

たまき:あそこは駅のすぐ近くじゃない。
    車で行く必要ないよ。
 紅蘭:命を狙われてて、ひとりで外を出歩けない子とか。
たまき:そんなバカな〜〜。
    もういいよ紅蘭。
     (ピンポ〜〜ン)

 紅蘭:お客さんや。

たまき:わたしが出るよ。
    なんかしてたほうが気がまぎれるし。
 紅蘭:・・・・・・そうか。
たまき:は〜〜い。
    どちらさまで・・・
    あっ、きさらさ〜ん!
きさら:そこまで来たもんだから、ちょっと寄ってみたんだ。
    お邪魔していい?

たまき:どうぞどうぞ。
    いつでも大歓迎ですよ。

 紅蘭:おう、きさらはん。
    ぃらっしゃぁ〜い。

きさら:おっす、ホンラン。
    あ・・・と、なにこれ。
    今日は誰か、お客さんきてるの?


ひさびさきさらさん

たまき:いやあちょっと張り切っちゃって。
    きさらさんも何か食べますか?
きさら:あたしはさっき食べてきたから・・・・・・
    あ、・・・でもちょっともらおうかな。
    おいしそうな匂いでおなかすいてきちゃった。
 紅蘭:食いしん坊やな。
きさら:しょうがないでしょ〜。

たまき:うふふふ。
きさら:たまきちゃん、
    そういえばミヤとはうまく行ってるの?
    (ドサッ)
    たまきちゃんのほうからいろいろ誘ってあげれば、
    あちこち遊びに連れて行ってくれるから、
    どんどんワガママ言いなよ。
    そのほうがあいつは喜ぶし・・・って、
    あれ?(キョロキョロ)
    ホンラン、たまきちゃんどこ行った?

 紅蘭:きさらはん、
    ・・・あしもと。


バタリ3

きさら:あしもとって・・・あっ、
    たまきちゃん!
    そんなところに倒れてどうしたの!?
    大丈夫?

たまき:宮古さんとわ、もう私は・・・・・・
    うまくいってるもなにも、
    もうおわったんです〜〜。
きさら:おわった?
 紅蘭:実は、かくかくしがじか・・・・・・


きさら:
なんだってぇ〜?
    
あのミヤが、浮気?
    
ナマイキに?
    
あのバカから生真面目とったら何が残るのよ!
たまき:あ、あのそれは言い過ぎ・・・・・・
きさら:隠し事してるけど、やましいことじゃないから
    俺を信じててくれって?
    ム・カ・ツ・ク〜!
    何様のつもり?
    しかも、そう言いつつ浮気でしょ?
    あいつフナムシ以下のサイテーのクズだわ!

たまき:あのそれも言い過ぎ・・・・・・
 紅蘭:なあキサラはん。
    その一緒におった女に心当たりないか?

きさら:・・・ミヤが白石君のお兄さんに紹介した女の人って、
    ミヤの勤めてる水族園の前の園長の娘だよ。
    たしか、高嶋女雛とかいう子。

たまき:高嶋、女雛・・・・・・
 紅蘭:派手そうな名前やな。(笑)

きさら:
たまきちゃん!
たまき:は、はい。
きさら:あたしが、気持ちイイコト教えてあげる。
たまき:
・・・・・・は?
    
気持ちイイコト、ですか?
きさら:・・・・・・ちょっと痛いかもしれないけど、
    でもそれだって、すぐに気持ちよさに変るわ。

たまき:
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
きさら:その前に右手を見せて。
    たまきちゃんは右利きでしょ?

たまき:
・・・はい。
    
あの、一体・・・・・?
きさら:だから気持ちイイコトよ〜。
    爪が伸びてると怪我しちゃうことがあるから・・・。
    うんうん、綺麗につんであるわね。

たまき:
爪が伸びてると怪我、するんですか?
 紅蘭:ちょい待ち、きさらはん、
    どないしはったん?

きさら:ホンランもいらっしゃい。
    いっしょに教えてアゲル。
    まずはイク時の方法ね。

たまき:
イクとき、ですか?
 紅蘭:いや、ウチは・・・・・・

きさら:いいから。
    2人ともここに立って。
    脚は自然に開きぎみにして。

たまき:・・・(どきどき)
 紅蘭:立ったけど・・・?
きさら:左足を1歩前に出して。
    右手を斜め後ろに伸ばして、指はゆるく開き気味。
    そうそう。
    視線はターゲットを見据えたままね。
    手首を外側にまげて。

 紅蘭:ターゲット?

きさら:そのまま大きく弧を描くように右手を前に出して。
    肩全体で動かすように、肘はやわらかく、
    テニスラケットを振り切る感じで、しなる鞭のように。
    練習だからゆっくりね。


気持ちイイコト練習

たまき:こうですか?
きさら:そうね。
    で、インパクトの瞬間、手首はスナップをきかせて
    内に曲げる。
    
パン!
    視線はそのまま。
    ・・・うん、いいわよ。
    今度は早くやってみて。

たまき:早く、ですか。
    えっと、
    (ブンッ)
    (ブンッ)
きさら:たまきちゃんすごいね。
    素振りで風を切る音がするとは・・・。
    ちゃんと鍛えてると違うなぁ。

たまき:(ブンッ)
    あの〜〜、きさらさん?
 紅蘭:これってもしかして・・・
きさら:ホッホッホッ。
    そう、平手打ち。
    つまり
ビンタよ。
    あ、ほら指はゆるく開き気味っていったでしょ?
    インパクトのときに指が開いてないと、
    耳にあたったときに風圧で鼓膜が破れるときがあるから、
    そこんとこ注意。指は開き気味ね。
    でも、あんまり開くと、叩いたときにいい音がしなくなるから、
    ホドホドにね。

 紅蘭:おいおい・・・

きさら:おいおいじゃないわよ、
    ビンタにおいて音は重要なのよ。
    叩かれた瞬間、耳のそばでバン!って、すごい音がするわけじゃない。
    これが一発で相手の行動を止めるキモなのよ。
    んで、今のがイク時。
    帰るときは、手首のスナップを逆にするのよ。

 紅蘭:しかも往復ビンタかいな。

たまき:ちょ、ちょ・・・
きさら:ターゲットの顔は最初のビンタでまだ横を向いたままでしょう。
    いい?
    この時点で裏拳でビンタすると、手の甲が相手の口にあたって、
    歯で皮膚を切ることがあるから気をつけて。
    相手をよく見て、顔がこっちを向いた瞬間、帰りのビンタ。
    パン!
    はいやってみて。

たまき:はあ。
    (ブンッ・・・ブンッ)
    でも、きさらさん・・・・
きさら:帰りがイマイチだなぁ。
    たまきちゃんは最初のビンタがスピードありすぎで、
    帰るときにバランスが崩れるのかな。

たまき:あの〜〜・・・
きさら:よし、たまきちゃんはビンタのインパクトの直前、
    右足のかかとを時計と反対周りにひねってみて。
    それで腰がキレたいいビンタになるから。

たまき:(ビュッ)
    こうですか?
    (ヒュッ)
 紅蘭:うわ、こわ〜。
きさら:そうそう。
    たまきちゃんは片道ビンタで十分だわ。
    イ・タ・ソ〜♪
    よおし、じゃあ行こうか。

たまき:・・・行こうかって?
きさら:もちろんミヤのところよ。
    あのクズをブッ叩いてやったら、それは気持ちいいわよ〜!

たまき:ダッ、ダメですよそんな、
    暴力はいけませんよ。
きさら:なに言ってるのよ。
    たまきちゃんをそれだけバカにしておいて、
    そのまま済まさせるわけには行かないでしょ。
    あいつにとってもいい薬になるわ。

 紅蘭:服用量しだいでは死に至りそうやけど・・・。

たまき:そんなことしてもなんにもなりませんよ。
    宮古さんをビンタしたって、わたしの気は収まらないし。
 紅蘭:ということは、ターゲットは相手の女やな?
    この泥棒ネコー!
    バーン!
    ・・・とかいうて。

たまき:それもしませんて。
きさら:じゃあ、たまきちゃん的には、どうすれば気がすむのよ?
たまき:わかりません・・・けど、
    とにかくビンタじゃありません。
    きさらさんの気持ちは嬉しいですけど・・・・・・
きさら:いや、基本的にあたしがミヤにムカついてて、
    たまきちゃんと一緒にビンタしたいだけだから。

たまき:あ、そう・・・ですか。

 紅蘭:ほななあ、ここはひとつ宮古はんに電話してみたらどないやろ。
    もしほんまに浮気なら、これからどうするつもりか、
    どっちと別れるのかはっきりしてもらいたいし、
    それを聞いてから、こっちもアクション起こしたほうがええやろ?
    新しい恋に生きるもよし、捨てないでと泣いてすがるもよし、
    とりあえずブッ叩きに行くのもよし。
    それにさっきも言うたけど、あんたの勘違いかもしれんし。

きさら:そうだね、ホンランの言うとおり、
    確かにまず事実関係ははっきりさせておいた方がいいね。

 紅蘭:きさらは〜ん、ビンタの前に考えんと〜。

たまき:でんわ・・・するの?
 紅蘭:せなんだら、あかんやろ。
たまき:う〜〜ん・・・・・・
 紅蘭:それでとりあえずケジメつくやん。
たまき:でもぉ〜。
    それって気が進まないなあ。
きさら:ふ〜む。
    もしかして、はっきりさせるのが怖いんじゃないの?

たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・怖い?
きさら:電話して浮気が確定して、今後二人がどうなるかが
    決まっちゃうのが怖いんじゃない?
    あいまいな今のままなら、口では「もうダメ」なんていってても、
    「もしかしたら勘違いかもしれない」「また仲良くなれるかもしれない」
    なんて思っていることができるからね。
    だから、私はなんてかわいそうなんだろうって、
    悲劇のヒロインに酔ってる余裕もあるってわけよ。

 紅蘭:きさらはん、それは言い過ぎやで。
    この子かて辛いんやし。

たまき:わたしは別に、悲劇のヒロインなんかに・・・・・・
    でも、はっきりさせるのが怖いのは・・・認めます。
    はっきりしてない今なら、まだ希望があるような気がして、
    それにすがっていたいような・・・・・・
きさら:でもね、たまきちゃん。
    それは希望じゃなくて、ゴマカシよ。
    目の前の現実を見ないで、自分の中に逃げてるだけだわ。
    事はもう起こってるんだから、それに対処していかないと。

たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きさら:もっとも、それは今すぐでなくてもいいと思うけどね。
    少し時間をおいてからでもいいのよ。

たまき:・・・いえ、
    そうですね。
    きさらさんの言うこと、わかりました。
    わたし、電話して宮古さんにちゃんと聞きます。
    自分を誤魔化しているあいだは、前に進めませんもんね。
きさら:そうだね。
    よしよし、がんばってね。

たまき:とはいったものの・・・・・
     はうぅぅ〜〜〜(どきどき)

そっちの言い分聞いたろかTEL

(プルルルルルルル・・・、プルルルルルルル・・・)
たまき:宮古さん・・・・・・
    早く出てほしいような、ずっと出ないでほしいような・・・
 (プルルルル・・・)
 宮古:っはい、もしもし?

たまき:宮古さん、・・・たまきだよ。
 宮古:ああ、たまちゃん、どうした?
    俺いま・・・・・・あ、ちょい待って。
       
電話?どこから?
       
ああ、いまちょっと・・・待たせててくれ。
    ・・・悪い悪い、で、どうした?

たまき:あのさ、前々からはっきりさせたかったんだけど、
    宮古さんわたしに隠し事してるでしょ?
    一体なんなの?
 宮古:そのことは、そのうち話すって・・・・・・
    たまちゃんもそれで納得してくれたじゃんか。
       
おーい、誰か電話出ろよ!
       
・・・そう、記者会見の時間は市と打ち合わせしてから
       
今はまだ決まってない。
       
・・・電話?
       
わかった、すぐに出るから。
    ごめんな、いまここパニクってて。
    それ、もうちょっと待っててくれるわけにはいかないかな。

たまき:もうちょっとって?
    ・・・・・・もう嫌だよ、
    騙されてるのは嫌なの。
 宮古:騙す?
    俺が?
    そんなことないって。

    俺はたまちゃんのこと騙してなんかいないよ。
    だから・・・

たまき:そんなの嘘だよ。
    宮古さん、わたしのほかにも付き合ってるが子いるんでしょ?
    浮気してるでしょ!
 宮古:はあ?
    そんな子いないって。
    なにいってるんだよ。
    今日のたまちゃん、ちょっと変だぜ?

たまき:じゃあ・・・・
 宮古:   わかってるって。すぐ出るから。
       
もう少し待たせててくれよ。
    ・・・っと悪い、こっちの話。
    あのさ、じつは今、副園長のことですっげー忙しいんだよ。
    あちこちから電話かかってきてて、
    俺はここの広報もやってるから、なかば責任者でさ。
    こっちから電話するから、
    この話、また今度でいいかな。
    いいよな。

たまき:なっ・・・・・・
    
ちょっとぉ!
 宮古:いい?
    じゃ切るから。

たまき:わっ、わたし見たんだからね!
    宮古さんが昨日、女の子連れてホテルに入っていくのを!
 宮古:・・・・・・・・あっ!?
    いや、あれは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見ちゃったのか。

たまき:そっか、やっぱり人違いじゃなかったんだね・・・
    浮気の相手はあの子なんだ。
    ・・・ひどいじゃない、宮古さん。
    わたし信じてたのに・・・・・
 宮古:ご、誤解だよ、
    あれはそんなんじゃなくって・・・

たまき:そんなんじゃなかったら、なんなのよ。
    まだ言い訳するの?
    自分にやましいところがないって、まだいえるの?
 宮古:確かに昨日、一緒にホテルに入ったけど、
    あれは送っていっただけだよ。
    あのとき俺とヒナとは、
    別になにも・・・・・・・・・・・・・
    なにも・・・・・・・・・・・・・・・・

たまき:何も、なんなのよ。
 宮古:なにも・・・・・・・・・なかったよ。
    たまちゃんが心配してるようなことは・・・

たまき:じゃあ何があったっていうのよお!
    それは言えないの?
    それでも信じろっていうの?
    バカにしないでよ。
 宮古:とにかく待ってくれよ。
    電話じゃなくて、今度会ってちゃんと話そう。
    いいだろ?

たまき:いつ?
 宮古:さっきも言ったけど、今忙しくて、いつになるかわかんないんだ。
    とにかく・・・・・・
      
・・・んも、なんだよ、いまそれどころじゃ・・・
      
市長から電話?いいから待たせとけ!
    たまちゃん、あの・・・

たまき:・・・わかったよ、宮古さん。
    忙しいところごめんなさい。
    じゃあね、今までありがとう。
    ・・・さようなら。
 宮古:あっ、ちょっ・・・
   
(ピッ)
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜あ。
 紅蘭:たまき?
たまき:なあに?
 紅蘭:その、・・・・・・どうやった?
たまき:聞いててお察しの通りだよ。
    これでおしまい。
 紅蘭:・・・そうか。
たまき:あ〜やれやれ。
    なんか、せいせいしたって感じ。
    すっきりしたよ。
    電話してみてよかった〜。

    あ。
    ・・・・・・・・・やだな、ふたりとも。
    そんな同情の目で見ないでよ〜。
きさら:おっと、ごめん。
 紅蘭:たまき、平気なん?

たまき:平気平気。
    そりゃちょっとはこたえてるけど、
    でも大丈夫だよ。
 紅蘭:ほんま?
たまき:心配してくれてありがと。
    紅蘭。
    きさらさんも。
きさら:お疲れさん。
    ねえ、気晴らしにあたしの車でどこかに行こうか。
    ちょっと遠くがいいかな。

たまき:いいんですか?
    ねえ行こう、紅蘭。
 紅蘭:いこいこ。
きさら:房総のほうにマザー牧場と東京湾観音ってのがあってさ、
    (ドサッ)
    自然がいっぱいで眺めがよくて、
    なかなかいいところらしいんだよね。
    そこ行こうよ、ねえ、たまきちゃん。
    あれ?(キョロキョロ)
    ホンラン、たまきちゃんどこ行った?

 紅蘭:きさらはん、あしもと。

きさら:え?
    ああっ、大丈夫?
    何で?




たまき:とうきょうわんかんのんわ〜、
    みやこさんとのおもいでのばしょだからって〜
    べつにぃ〜、べつにぃ〜・・・
きさら:あ、そうなんだ。
 紅蘭:無理して明るく振舞ってても、
    やっぱり内面的に相当ダメージ食らってるんやな〜。

たまき:あとね〜、じつはわたしきのうの夜眠れなくて、
    仕方がないからずっとおきてて、お料理作ってたの。
    それもちょっとあるかも〜。
    あしもとふらふらするの〜〜。
きさら:朝からこの品数には無理があると思ってたけど、
    ・・・徹夜したの?

 紅蘭:あんたアホやなぁ。
    ほれ、ベッドに行こ。

たまき:うにゅうう〜〜〜
    だっこ〜〜
 紅蘭:・・・・・どないしよ、この子。
きさら:してやったら?

    だっこ。

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なんかもう、ダメダメです。
心にできたキズは時間が癒してくれるっていうけど、
・・・こういうときに限って時間がすぎるのが遅いんですよね〜。
はあ、ツライです。
   
 



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