4月8日(木)晴れ
予告状が来てから1週間。
この1週間は何事もなく過ぎましたが、その間わたしは、怖くてビクビクしていました。
いよいよ今晩、夜の12時に怪盗Xが来ます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
           〜 密談中 〜


 レナ:今日になって掴んだ情報なんだけど、
    予告状が来たのはここだけじゃないらしいよ。
    ここともう1ヵ所に、同じ時間が予告されたカードが届いているんだって。

たまき:それ、どこなんですか?
 レナ:警察が、まったく情報を漏らさないのよ。
    だからそこまでは、まだわからないの・・・。
    ただ、2ヵ所に警備網を張っているのは間違いないよ。

 紅蘭:こないだ森田はんが「同時か」って言うてたんは、それやな。
    しかし、同時に2ヵ所から物を盗むなんて、無理やろ。

 レナ:今までは確認されていないけど、怪盗Xには共犯者がいるのかも。
    それか、片方はオトリで、そちらは何事も起らないか。

たまき:なんにも起きないといいなぁ。
 紅蘭:うちかて、何にも盗まれとうないわ。
    み〜んなうちの、大事な大事な宝物やからなぁ。

たまき:盗まれそうなものは絞り込めた?
 レナ:紅蘭のコレクションは彼女自信がネットで紹介したり、
    画像を載せたりしているの。
    多分怪盗Xはそれを見て、目をつけたんだと思うのね。

 紅蘭:つまらん事したよなぁ。まさかこないな事になるとは思わんかったで。
 レナ:それで紅蘭と一緒に、紹介した物の目録を作って、
    その価値を調べてみたんだけど、
    確かにいろいろあるけれど、奴が狙うほどのものっていうと、
    ・・・ちょっとねぇ。

 紅蘭:いままでは、何千万円という価値のお宝が盗まれているそうやないか。
    さすがにそこまでの価値のものは、ないわなぁ〜。う〜ん。

    一体怪盗Xはどういうつもりなんやろ。
たまき:そっか〜。
    じゃあ、わたしたちも警察と同じように、全てを見張るだけ?

 紅蘭:まだ時間はあるんや。あせらんと、作戦を立てよう。
    ・・・そうや、
    奴は変装の名人なんやろ?合い言葉を決めておかんか。

たまき:「やま」「かわ」みたいなの?・・・これじゃあ単純すぎるけど。
 レナ:「メロン」「パン」って言うのはどうかな?
 紅蘭:「メロン」の下に付く言葉ってゆうたら、「パン」しかないんとちゃうか〜?(笑)
 レナ:・・・そうか。

 森田:(コンコン)あと3時間ですなぁ。
 レナ:ああ、森田捜査官。



たまき:どうしたんですか?
 森田:本日の警備状況を説明に来ました。
    現在すでに、この家の四方を120名の警官で固めております。
    ・・・いや、この家の床下の海も警備しておりますから、
    精確には五方・・・ですか。
    ただし、そのうち20名だけが制服を着て、目に付くところに配置してあり、
    残りの100名は、怪盗Xを油断させる為に林や物陰などに潜ませてあります。
    ですから見た目は警備が手薄そうですが、ご心配なさらぬように。
    私と菅井は、この家の中で指揮をとります。
    この1週間いろいろ騒がせしましたが、それも今日、奴が捕ればおしまいです。

 レナ:まったくですね。
 紅蘭:長いような短いような1週間やったな。
    今日は頑張ってください。


たまき:怖い思いをするのも、今日でお終いなんだね。
    もう怖くて夜も眠れなくて、ノイローゼになりそうだったよ。
    ほら見て、紅蘭。目の下にクマが出来ちゃった。

 森田:私がこんな事を言うのもなんですが、
    怪盗Xは暴力的な手段には訴えない犯罪者のようですから、
    そういう意味では安心して良いと思いますよ。

たまき:ありがとうございます。おかげで・・・
 森田:・・・もっとも、それとは別に、世の中には凶悪な犯罪者もいますから、
    あんまり安心するのも考え物です。
    わたしの担当した事件の中でもっとも
凶悪だったのは、
    ものすごい
腕力被害者引き抜く
    残酷殺人犯でした。
たまき:(ビクッ)<(◎−◎;)>
 森田:犯人の部屋は、切断された手足や、の無い体がいくつも転がり、
    ・・・まるで、
地獄のようでした。捕まったときに犯人
    「オレは殺してなんかいない、アクションボディに換装したんだ」
    などと、訳のわからん事を口走っていましたが・・・。

 紅蘭:ちょっと〜森田はん・・・。さらに怖がらせて、どないしますのや。
たまき:あうぅ〜。<(ToT)>
 森田:おっとすいません。
    私としたことが・・・。
    では、警備に戻ります。

たまき:くび〜。(泣)
 レナ:たまきちゃん泣くの?おお、よしよし。

 紅蘭:たまき、かなりまいってるのかも知れんなぁ・・・。
    とにかく、外は警察が固めてくれとるようやし、
    うちらはこの部屋で、変装した怪盗Xを待ちうけるのがええやろな。

たまき:くう〜ん。・・・お腹痛くなってきそう。

 紅蘭:なあなあ、たまき。ちょ〜っと背中こっち向けてんか。
たまき:ん?・・・うん。



 紅蘭:これから、うちが背中に字ぃ書くから、なんて書いたか当ててみぃ。
たまき:またそんな子供っぽいことやるの?
 紅蘭:ええから、ええから。まずこれ。
たまき:んっ・・・うんっ。あんまり下の方はだめぇ。(笑)
 紅蘭:ああ、悪い悪い。
 レナ:(やっぱ、この子達って・・・。(笑))
たまき:ええと、これは「あ」?
 紅蘭:あたり♪次はこれ。
たまき:う〜んと、「鸞」?・・・これ、わたし読めないよ。(笑)
 紅蘭:今までのんはテストや。次は連続で行くで。
たまき:うん。
 紅蘭:(・・・い・つ・も・)
たまき:・・・うん。
 紅蘭:(・・・う・ち・が・つ・い・て・る・で・・・)
たまき:・・・もう、紅蘭てば〜。

 紅蘭:どうや?
たまき:・・・実はうちが犯人やで?(笑)
 紅蘭:ん〜、おしい。


〜〜〜 8日 午後11時30分

 菅井:外から監視していますので、窓のカーテンは開けておいてください。
 紅蘭:怪盗Xが窓から侵入してくる心配はないのん?
 菅井:窓の外には暗視ゴーグルを着けた機動隊の選りすぐりが10名、
    林の中で警備しているわ。
    今回は犯人の油断を誘う為に手薄を装っているから警官は隠れていて
    見えないけど、警備は万全だから、どうか安心して、普段どうりにしていてね。

 紅蘭:了解や。
たまき:あと30分か〜。なんだか背骨のあたりがソワソワして、落ち着かないよ。
 レナ:みんなそうですよ、寺月さん。頑張りましょう。
 菅井:我々にお任せください。では、そういうこと・・・・・・ちょっと失礼。
    
(ピッ)はい、B班。・・・はい。・・・はい、問題ありません。
    ええ、TPCからも応援が来ていますので。・・・ええ、そうですが。




 紅蘭:レナはんのことやな。
 菅井:そんな、・・・・・・はい。・・・わかりました。(ピッ)
 レナ:どうしました?
 菅井:・・・ちょっと打ち合わせをする必要が出てきたみたい。
    少し待ってて。


たまき:・・・なにがあったんだろう。
 紅蘭:重要なことは、うちらに何も教えてくれんのは、いつものことやん。
    それよりレナはん。菅井はんの前では、たまきの呼び方変えたりして。
    TPCのオブザーバーとしての立場か?・・・いろいろ大変そうやね。

 レナ:オブザーバー・・・なんていえば聞こえはいいけど、
    むこうは「素人が見学に来たようなもの」としか見ていないよ。
    実際そうだしね。

 紅蘭:・・・警察とはうまくいってないんか?
 レナ:私は警察の警備に口出ししないし、
    警察は元軍人の私があなたたちと一緒にいるのは、
    いざというとき都合がいいと思っているみたいだから、
    「双方に特に摩擦はない」というところかな。
    相変わらず、情報はあまり貰えないけど。

 紅蘭:「ナワバリ」が侵されんかぎりは、問題ないわけか。
    なんか、イヤやなぁ。

たまき:複雑な世界でお仕事しているんですね。
    私ももっと、しっかりしないとな。

 紅蘭:せやな、うちらに何か出来ることがあれば・・・
 レナ:ナワバリはどこにでもあるよ。ただ私達みたいな職業は、その意識が強いだけ。
    義務感のマイナス面、みたいなものだと思う。
    ・・・たまきちゃん。・・・紅蘭。
    だから怪盗XのことはTPCや警察に任せておけば大丈夫。
    ここは私達のナワバリだから、必ずあなたたちを守るし、何も盗ませないよ。


 森田:いや、ご立派ですな、レナさん。
 菅井:・・・やはりこちらが陽動で、A班が本命では?



 レナ:も、森田捜査官に菅井捜査官。・・・聞いてたんですか?
    ・・・もう。

 森田:今来たところですよ。
    ところで李さん、寺月さん、それにレナさん。
    この事件に付いて、今まで警察が秘密にしていたことがあるのです。
    予告の時間が差し迫っているのは承知ですが、大事なことですので、
    それをご説明したいのですが、よろしいかな。

 紅蘭:秘密って・・・。
 菅井:怪盗Xからの予告状が届いているのは、実はこちらだけではないの。
    「さるお方」のところに、もう1枚届いていたのよ。

 レナ:さる?
たまき:・・・・・・。
 紅蘭:ほう。

 森田:・・・あんまり驚かないですね。
    ああ、さすがはTPC。ご存知でしたか、レナさん。

 レナ:・・・・・・一体なにがあったんですか?
 森田:順番ですよ、順番。
    ・・・筆跡鑑定の結果、2枚とも本物。そして予告時間はどちらも同じ。

    4月9日の午前0時。御当家の秘宝を戴きに参上いたします。早々。
                          1999/4/1 
怪盗X

    共犯者がいて、この両方を同時に盗むつもりという可能性もありますが、
    わざわざそのような事をするのは、犯罪として理に適っておりません。
    恐らくどちらかが陽動なのでしょう。
    さて、2枚の予告状のうち、1枚は女性が2人で住む一般の家屋へ。
    もう一枚は、与田さんというお方のお屋敷へ。

たまき:与田さんって、・・・ジュディさんちじゃないですか?
 森田:・・・与田ジュディをご存知なのですか。
    そうです、あの資産家の与田家です。
    ならば話は早いですな。

    かたや女性二人暮らし。かたや大富豪。
    怪盗Xが狙う本命はどちらかといえば、誰が見ても大富豪の方でしょう。
    そして、こちらは警察の警備を削ぐ為の、陽動・・・。
    と、言いたいところですが、それにしてはあまりに双方に開きがありすぎまして。
    陽動作戦を考えるなら、もう1枚を別の大富豪に送る方が効果的でしょう?

    どちらが本命か。
    怪盗Xに何らかの思惑があって、こちらを選んだのではないか?
    と、会議でも割れましてね。
    それに、予告状が来ている以上は当家と同じように警備してあげて欲しいと、
    与田家の方からも、要請がありまして。
    結局、両方とも厳重に警備することにしたんです。
    ・・・警察が秘密にしていたのは、このようなことです。


 紅蘭:なんだかんだ言うて、結局陽動に乗ったという気も、しないでもないな。
 森田:こういうことは、どこまでも考えたって仕方が無いですよ。
    ある程度の常識的なところで判断しないと、運命論になってしまいますからね。
    
    さて、こんなことを今説明したのは、皆さんに協力してほしいからなんです。
    まずレナさん。ちょっといいですか?

 レナ:・・・はい。
 森田:まことに失礼ですが、あなたを拘束します。(ガチャリッ)
たまき:あっ!
 紅蘭:なにすんねん!
 レナ:なぜ手錠なんか・・・?
    これに付いても説明があるんでしょうね。




 菅井:さっき与田邸のA班から連絡があったとき、
    ここに居る人物が、向こうにも居ることが分かったの。
    ・・・レナさん、あなたよ。
    与田邸に、もう一人のあなたがいるの。

たまき:ここのレナさんは本物です!そんなの外してください!
 レナ:いいの、・・・寺月さん。
    森田捜査官。これが、わたしのする「協力」なんですね。

たまき:そんな・・・。
 森田:A班も、今ごろは向こうのレナさんを拘束しているはずだ。
    間違いなくどちらかが怪盗Xなわけだから、これで事件は解決だよ。
    ただ、その「どちらか」が分かるまで、そうしていていただきたい。
    それにもう一つ。
    この事に付いては、機密保持のこともあってTPCには連絡をしていない。
    一方、無実のTPCの職員に警察が手錠をかけたとあっては、
    後々面倒なことにもなりかねない。
    だから、こちらの事情をわかってもらって、今後とも御内密に、
    と言う形でも、ご協力をよろしく。


 レナ:いいでしょう、わかりました。
    ・・・でも、その秘密主義には賛同しかねますね。
    もしかしたら、とても危険なことをしているのかもしれませんよ。

 森田:・・・怪盗Xを捕まえるためには、仕方の無いことです。
 レナ:本当にそうでしょうか。
 菅井:一応身体検査をします。わたしと一緒にバスルームへ。
 レナ:・・・はい。

〜〜〜4月8日午後11時45分

たまき:レナさん・・・。
 森田:李さん、寺月さん。
    まあ、こういうことですので、事件は解決したも同然です。
    犯行前に奴の変装が見破れたのが、勝因ですな。

 紅蘭:向こうのレナはんは、ちゃんと捕まえたんかいな。
    怪盗Xはこっちのレナはんみたいに、

    そう簡単には捕まってくれないのとちゃうか?
 森田:そうですね。無線で確認してみましょう。
    (ピッ)こちらB班。あー、容疑者は確保したか。
 A班:「確保した。これから身体検査をする。」
 森田:油断するな。そちらが犯人の可能性が高い。
 A班:「・・・あれが怪盗Xだっていうのか。」
 森田:・・・その名前は出すな。まだ情報を外には出せん。
    「容疑者」だ。
 A班:「おっと、了解。・・・今回は先手が取れたな。」
 森田:そうだな。これで我々特捜も解散だ。
 A班:「遂にこの日が・・・(ガッチャン)・・・ああっ!?」
 森田:どうしたっ!?
 A班:「停電だ。いきなりすべての電源が落ちた。
     ・・・また後で連絡する。以上。」
(ピッ)
 森田:なんだ?・・・一体、何が起っているんだ。

たまき:あの、森田さん。
 森田:なんですか。
たまき:・・・もうすぐ、あと15分で予告時間ですよ。
    今の停電は、それに合わせたものじゃないでしょうか。
    もしかして、・・・まだ怪盗Xは捕まっていないんじゃあ?

 森田:・・・そんなバカな。それはないでしょう。怪盗Xは逮捕されたんです。
 紅蘭:ホンマにその通りやったら、ええんやけどなぁ。
 森田:大丈夫ですよ。私が保証します。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

というわけで、怪盗Xの事件は無事解決しました!

と、言いたいところですが、・・・実はこのあと、大変なことが起ったんです〜!!
でも、そのことはまだお知らせできません。
・・・警察の報道管制に引っかかるから。(笑)

ごめんなさいね。
もう少ししたら公開してもいいって森田さんが言っていたので、
そしたらアップします。


  つづく〜!!\(>0<;)/(笑)



   
 



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