8月29日(金)・・・後編2 たまき:そうだ、警察の人! まだあの車の中だよね。 瑠璃果:たぶん。 フェンスの金網が絡んでなんとか落ちずにすんでますけど、 今にもはずれちゃいそうですね。 たまき:大丈夫ですかーーー? だいじょうぶですかーー! 監理官:う・・・・ううぅ・・・・ あ・・・、あいたた・・・・ たまき:あっ、よかった!生きているみたい。 頭が動いてる。 監理官:・・・あ・・・あなた・・・さっきの・・・? たまき:あまり動かないでください、今あなたの乗っている車は、 金網に引っかかっているだけなんです。 あまり動くとはずれて落ちちゃうかもしれません。 状況、わかりますか? (ギシ・・・・ギシ・・・・・) 監理官:ああ、なんてこと・・・。 たまき:がんばってください、いま助けに行きますからね。 瑠璃果:ちょ?? ちょっと、無理ですよ。やめてください先輩!! あの運転席までどうやって助けに行くんです? 橋はまだ揺れてますし、引っかかっているところがはずれて いつ車が落ちるか・・・ それよりも、早くここから離れましょう。 まだグラグラしてるし、もしかしたら橋が崩れるかもしれませんよ。 たまき:そんなぁ! 監理官:・・・いえ、その子のいうとおりよ。 たまき:でも・・・・・・・ 監理官:私のことはいいから、ここから早く逃げなさい。 わたしを助けにくるなんて危険なことはやめて。 足を踏み外せば50m下の水面に叩きつけられるのよ。 気持ちはありがたいけれど、二次災害の危険性のほうが高いわ。 たまき:そうかもしれませんけど・・・・ 監察官:心配ないわよ。 こうして待っていればじきにレスキューのヘリがやってきて、 訓練をうけたプロが十分な装備を使って安全に私を救助してくれる。 あなたに来てもらうよりもましというものよ。 ・・・わかったらさあ、行きなさい。 瑠璃果:先輩、 あの人もああ言っていることですし。 さあ、早く行きましょう。 たまき:・・・うん。 じゃあ、あの、お先に・・・・ (ギギギ・・・・、ガコンッ) 監理官:うっ・・・。 ガラガラガラガラ・・・ たまき:きゃああっ! 瑠璃果:落ちる!? (ギギギシッ・・・・・・) 瑠璃果:止まった。・・・橋が崩れるかと思ったぁ。 危なかったですね。 たまき:あの車、今にも落ちそう。 やっぱり救助が来るまでなんて持てないよ。 瑠璃果:・・・・・・先輩? なっ、なにやってるんですか! アナ:あれは・・・? 車内に取り残された人を救出しようというのでしょうか、 人が一人、ぶら下がった車をつたって降りていきます。 服装からして、さきほど橋の鉄骨の上を歩いていた女性の一人のようです。 自動車は、爆発の衝撃でまだゆれるレインボーブリッジの金網に かろうじて引っかかっているだけで、非常に危険だと思われます。 橋が倒壊する危険があるため、消防の救難艇も橋の下に近付くことができず 警察・消防ともにこの救出劇を遠巻きに見守る形となっております。 紅蘭:・・・げッ!? あれは、たま・・・・・き・・・・? 落ちたらどうすんねん。 それにもう橋が崩れるかもしれんっちゅうのに。 はよう逃げな。 少女:あれはさっきの、そちの友達じゃろ? 名は”たまき”というのか。 古えの言葉の響きのあるよい名前じゃのう。 して、あそこから落ちたらどうなるのじゃ? 紅蘭:そんなん・・・・死ぬ、か、助かっても大怪我やろ。 橋が崩れれば、落ちたときに生きてても鉄骨の下敷きで間違いなく死ぬ・・・ たまきが・・・・死んでまう。 少女:ふぅむ。その状況で人助けとは、あっぱれな。 なかなかできることではないのう。 紅蘭:・・・人のことかまってる場合や無いっちゅうねん! (ギシ・・・・ギシ・・・・・) (ギシ・・・・ギシ・・・・・) 瑠璃果:先輩、やめてくださいよ〜。 たまき:警察のかた、大丈夫ですか? いま助けますからね。 割れたフロントウインドウのほうから出られますよね? 監理官:やめて戻りなさい! 危険だって言っているのがわからないの!? たまき:でも、目の前に命が危険にさらされてる人がいるっていうのに、 なにもしないで逃げるなんてできませんよう。 大丈夫ですよ、一歩間違えば下に落ちそうなアブナいところなんて、 瑠璃果ちゃんを追いかけて、さっきさんざん歩いてきましたから。 もう慣れてますから。 監理官:しかし・・・ たまき:あ〜、もしかしてまだ私たちのことをテロリストだって疑ってるんですか? 監理官:いえ、そんなことはもう思ってないわ。 完全に私の勘違いだったようね。 ・・・ごめんなさい。 たまき:ここまで手を伸ばせますか? 監理官:強く打ったのかしら、体が思うように動かないの。 とてもそこまで手を伸ばすことはできないわ。 たまき:じゃあ、 ・・・伸ばせるだけ伸ばしててください。 行きますよ。 ・・・・・・えいっ! 瑠璃果:せんぱいッ!? アナ:女性はいまや、完全に車に乗り移った格好になりました。 割れた窓から車内にいる人を引っ張りだそうとしているようです。 監理官:やめなさい! あなたがこんな危険なことをする必要はないわ! たまき:おっとっと・・・。 実はわたしもちょっとヤバいかなぁ〜って思ってるんですけど、 でも、ここまできてあきらめるのも嫌ですからね。 さ、手を出してください。その体勢から起き上がって、 シートの背もたれに立ち上がれれば何とかなると思うんです。 監理官:あなた、本当にわたしのいうことを聞かないわね。 ・・・わかったわ。 たまき:えへへ。 じゃあ、引っ張りますよ。 (ギシ・・・・ギシ・・・・・) たまき:あまり揺らさないように気をつ・・・・ (ガックン) たまき:うわっ、たっ! 監理官:ああっ!? たまき:ふぐぅっ・・・! うう、危なかった・・・・ 瑠璃果:せんぱいっ!! 監理官:大丈夫? たまき:・・・・・・うぐぐっ。 どうしよう、このままじゃあ・・・ アナ:救出に向かった女性は足を滑らせて落下、 車のリアウイングにつかまって何とか持ちこたえています。 なんとか救出はできないのでしょうか。 救難艇は依然、橋を遠巻きにしているのみです。 紅蘭:たまきぃっ! ああ、どないしよう。 たまきが・・・たまきが・・・ 少女:ああ〜〜、あれでは、もういかんのう・・・ そちの友達じゃろう、助けに行かんのか? 紅蘭:あんなに遠いところ、今から助けに行って間に合うわけないやろ! 行きたくのうて行かんのとちゃうわ! 少女:そうかそうか♪ クスクス。 紅蘭:なっ、なにがおかしいんや! 少女:まあまあ、そういきりたつでない。 そちらと知りおうたのも何かの縁じゃしの。 それにあの者はわらわの探していた者やもしれんし・・・ 紅蘭:・・・なにゆうてるん? 少女:よし! そちとはここでお別れじゃ。 ではな〜。(てててててて・・・) 紅蘭:・・・なんなんや、あの子。「姫じゃ」とか言うて。 それに、なんかあるとふたこと目には「魔法か?魔法か?」って、 魔法の国から魔法を広めにでも来たんかっちゅうねん。 ・・・けったいな子やったなぁ。 監理官:がんばって。 いま行くわ。 片手でつかまったまま、手を伸ばせる? たまき:こうしてぶら下がっているのが精一杯で・・・・・ 監理官:けんすいの要領で体を持ち上げられれば届くと思う。 さあっ! たまき:う・・・・くっ・・・・ うわ、これ、なんかはずれそ・・・(バキン) きゃあああああっ! 瑠璃果:せんぱい、いま行きます! たまき:だっ、だめだよ! 瑠璃果ちゃんは来ちゃダメ! 瑠璃果:でも・・・ たまき:瑠璃果ちゃんは手摺づたいに橋を渡って逃げて。 瑠璃果:そんなのいやです! たまき:嫌でもいいから、早く行きなさい! 瑠璃果:ヤ、いやですぅ・・・・ (たったったったったった・・・) 少女:(キョロキョロ) よし、ここなればだれも見ておらぬの。 (ザッ) いでよ”とりふね”! (ピギュォォォォォォォォォォン) 少女:・・・勇気あるもの、たまき、 白妙夜菊姫(しろたえのよるのきくひめ)、いま参るぞよ! (キュイィィィィィン) たまき:ごめんなさい・・・、 せっかくあなたを助けようと思ってたのに。 これじゃあ逆ですよね。 ・・・わたし何しに来たんだか。 監理官:そんなこといわないで! あきらめちゃダメ!がんばって! たまき:でも、そうもいかないみたいで・・・・・ ・・・・なんか、 もう片方が外れるのも時間の問題って感じで・・・・ (ギシ・・・・ギギギ・・・・パキキ・・・) 監理官:・・・あ、あなた、 名前はなんていうの? たまき:た、たまきです。 監理官:たまきさん、 ・・・本当にありがとう。 それにごめんなさい。 私なんかのために、こんなことになって・・・ たまき:わたし・・・・・・なにやってるのかな・・・ ・・・・・・・・・・バカみたい。 監理官:たまきさん・・・・・・・・・・そんな・・・・・・ (ギギギ・・・・、バキン) たまき:あっ・・・・・ 監理官:たまきさんっ!! 瑠璃果:せんぱあああああああい!! アナ:あっ、落ちました!! いま女性がつかまっていたリアウィングがはずれ、 女性は水面に向かってまっさかさまに落ちていきます! 紅蘭:たまきぃぃぃ! アナ:我々にはただ見守るしかできな・・・(ブツッ) ピーーーーーーーーーー・・・・・ 紅蘭:・・・・あっ?? 紅蘭:・・・・システムエラー?? 通行人:なぁにぃ?あれ。壊れたんじゃない? 通行人:・・・もしもし?もしもしぃ? あれぇ、携帯が切れた。 通行人:おれのもだよ、なんか圏外になってるし。 (ザワザワ・・・・・・・・) 紅蘭:なんやもう、肝心なときに! こうなったら直接レインボーブリッジが見える場所に・・・・ (タッタッタッタッ・・・・) たまきいいいいいいい! ・・・同時刻 警官1:あっ、落ちた!落ちたぞっ!! おい、急いで船を橋の下に回せ!救出に行くぞ! 警官2:でももう橋が崩れるから、 船をこれ以上近づけるなって命令がきてるだろ。 警官1:だからなんだ! てめえそれでも警官か・・・ (・・・・・・・・キィィィィィィーーーーーーーン) 警官1:・・・なんだ? 警官1:おい、あ、あ、あれ見ろよ。 警官2:ジェットスキー? どこのバカだ! このコースだと、この船にぶつかるぞ!? 警官1:違う、よく見ろ! あれはジェットスキーなんかじゃな・・・・ (キィィィィィーーーーーーン) (ズビュゥゥン) 少女 :バカモノ!邪魔じゃっ! 警官1:すみません! 警官2:・・・いまの、この船を飛び越えて、 橋のほうにすっ飛んでくぞ? 警官1:なんだあれ。 ま、まるで・・・・・・ (ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・) たまき:私、・・・なにやってるんだろう。 瑠璃果ちゃんなんかほおっておけばよかった。 あの女のひとを助けようとなんかしなければよかった。 バカみたい。・・・・しなきゃいいことばかりやって、 わたしこのまま落ちて死んじゃうんだ・・・ (ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・) 少女:たしかにそちはバカじゃ。 だがしかし、そちのその勇気ある心に、 わらわは深く感服したぞ。 たまき:勇気があったって、結局死んじゃうんじゃ・・・・ ・・・・・あれ? 少女:魔法の姫君(マジカルプリンセス)、 白妙夜菊姫、みますがりけり! そちを助けに参ったぞ。 たまき:・・・・・え?なんで? まだ落ちてるかんじがする・・・のに止まってる? 少女:この”とりふね”をつつむフィールド内は、重力を魔法で操っておるのじゃ☆ これが天駆けることができるのもそういうカラクリなのだ、と聞いたぞ。 そちがまだ「落ちている」と感じるのは、 このフィールド内がフリーフォール(無重力状態)のにあるからじゃな。 ふわふわして落ち着かぬが、”とりふね”の細いシートににまたがっていても お尻が痛くならないのでちょっとたすかる。 たまき:あ、・・・あなたさっきの美少女姫? どうして・・・ ええっと、あっ!わかった!これ臨死体験? あなたは天使だったのね? 少女:わらわは魔法の姫じゃというに。 ・・・魔法の天使ではない。 たまき:じゃあ、ほんとにわたしまだ死んでない・・・・? 少女:さてついでじゃ、この橋ももう崩れそうじゃし、 そちが助けようとしていた者どももわらわが助けるかの。 たまき:ほんと!?ありがとう! 少女:礼などいらぬ。そのかわり・・・・・いやあとにしよう。 ときにテレビで言うておったが、あの車の中の者は警察官かの。 たまき:はい。 少女:ではその者には、助ける前に気を失ってもらうとしよう。 では参るぞ。 たまき:・・・・え? 瑠璃果:せんぱい・・・・せんぱぁぁぁい・・・(ぐすっ、ぐすっ・・・) 瑠璃果は、もうこれからどうしたらいいかわかりません・・・ いっそこのまま飛び降りて、先輩の後を追って行けたら・・・・ でもきっと、そんなことをしたら先輩は瑠璃果をお叱りになるでしょうね。 ああ、せんぱい・・・・ぐす・・・瑠璃果の大好きなせんぱい・・・。 たまき:うわ、声かけづらい・・・(笑) 少女:なにやら、ひとりで盛り上がっておるのう。 瑠璃果:・・・・瑠璃果は、橋を渡ってみんなのところに生きて戻ります。 そして先輩の分まで生きて生きて、ただでさえ深刻な高齢化社会を 最悪のドン底まで悪化させてみせます! 瑠璃果の活躍を草葉の陰から見ていてください! たまき:る、るりかちゃ〜ん? 瑠璃果:・・・・え? (キョロ、キョロ、キョ・・・・) ひょっ!? たまき:あのね、私は幸い助かりました。 瑠璃果:・・・・・・・・・・・・・・・せっっ! たまき:せ? 瑠璃果:せんぱい!?せんぱ・・・うびおうぇぇぇぇぇぇええええん! ぐじゅおぇぇぇぇぇぇぇぇええええん! たまき:よしよし。心配させてごめんね。 少女:はようせぬか。橋が崩れるぞ。 たまき:警察の人も瑠璃果ちゃんも乗りました。 オッケーです。 (バキン!ドガラガラガラガラガラ・・・・) あああっ!? 少女:だから早ようせいというたに! たまき:きゃーーーー! (ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・) 少女:いやはや危なかった。 橋の崩壊にあやうくわらわまで巻き込まれるところじゃったわ。 たまき:すみませ〜ん。 でもなんでこの警察の人を気絶させたんですか? ビビビーって。 少女:多少は見られても仕方ないが、 わらわのこの姿はそうそう公するわけには行かぬのでのぅ。 そちを助ける間、テレビカメラにわらわの姿が映らぬように 暫くのあいだ機械の様子がおかしくなる魔法を使っておったくらいなのじゃぞ。 たまき:秘密にするのは魔法少女ものの定番ですね。 少女:ん、もういいじゃろう。 ECMオフ。(・・・ィィィィィィゥゥン) もう、けいたい電話とやらもかけられるぞ。 瑠璃果:・・・・それ、まほう? (それにこれ、はじっこになんか英語が書いてある。 ゆーえすえあふぉーす・・・・・USの空気の力・・・・・?) 少女:人もおらぬし、あの広場に降りるかの。 (ヒュィィィィィィィン) たまき:ここ、第三台場ですね。 たまき:・・・はーーー。 わたし生きてるんだね。 地面に降りたら、やっと実感わいてきたよう。 ・・・姫様、ありがとう。 瑠璃果:ありがとうございました。 少女:コホン。 ・・・ところでのぅ、わらわの手によって、そちらの命は助かったのじゃから、 わらわはそちらの命の恩人じゃ。 そうじゃの? たまき:はい。そうです、・・・・けど? 少女:そこでその、たまき。そちに頼みがあるのじゃ。 命の恩人のいうことはきかねばならぬ。 そう思わぬか? 思うであろう? 思わねばならぬぞ? たまき:・・・うう、姫様の頼みごとってなんですか? わたしにできることでしたら・・・なんでもします。 少女:クスクス、驚くでないぞ? 瑠璃果:先輩・・・、この子なんか怖いです〜。 紅蘭:レインボーブリッジが崩れてもうた・・・・ ・・・・たまき・・・瑠璃ちゃん・・・・・。 あの高さから落ちて、そんで崩れた鉄骨の下敷きやもんなぁ・・・。 たまき、かわいそうに・・・・ほんまに・・・ さっさと逃げたったらとかったのに・・・・ 紅蘭:・・・はぁ。 (ヴゥゥゥゥゥゥッ、ヴゥゥゥゥゥゥッ) あん?携帯か。 (ピッ) はい、もしもし。 たまき:あ、紅蘭?わたし〜。 あのさー、ちょっと話があるんだけど、 ちょっと第三台場まで来てくれる? 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たまき? 紅蘭:はあ、はあ、はあ、たまきぃぃぃぃ〜〜〜! るりかぁぁぁぁ〜〜〜! 瑠璃果:紅蘭、きましたよ。 たまき:こうら〜ん、こっちこっち! 紅蘭:うわッ、ホンマや! ホンマに二人とも生きてるぅぅぅぅ〜〜! よかったー!ホンマよかったぁー! たまき:心配してくれてたの? ありがとう。 紅蘭:当たり前やろ! ・・・いったいどないして助かってん? あんた、橋にひっかかった車から海に落ちたやん。 それなのに・・・ たまき:それはねぇ〜・・・・・・・・え? 何でそのこと知ってるの? 私のこと、そのへんから見えてたの? 少女:そうか、そういえばそちは知らぬのじゃな。 そちの勇気のあるおこないの一部始終は、 テレビを通じて全国に、いや全世界に中継されておったのじゃぞ? たまき:そうなんですか!? うそ〜〜〜ん・・・・ 瑠璃果:わーぉ。 紅蘭:・・・それに、姫さんがなんでここにおるんや? この、倒れてる女の人も気になるけど・・・もうなにがなんやら。 いったいなにがあったん? たまき:じつは・・・ かくかくしかじか・・・・・ 紅蘭:・・・この子が、 魔法の国から来た・・・・マジカルプリンセス? 少女:そうじゃ。 わらわは、王である父上の治める魔法の国、 王位第一継承者たる白妙夜菊姫ともうす。 紅蘭:・・・今回って真面目な話とちゃうかったん? たまき:そんなこと私にいわれても困るんだけど。(笑) 紅蘭:・・・実際、死んでてもおかしくないあんたらがこうしてピンピンしているんやし、 ただの冗談とも思えんけど、 でもそんな話にわかに信じられへんよ〜。 たまき:本当なんだってば。 紅蘭:しかしなぁ・・・ 瑠璃果:紅蘭。 ・・・もう何でもありなんですよ。 紅蘭:身も蓋もないことを。 監理官:ん・・・・ たまき:あっ、大丈夫ですか? 監理官:ここは(キョロキョロ)第3台場?・・・・私、助かったの? たまきさん・・・・?あなた海に落ちたんじゃ・・・ それに・・・・・あそこからここまで、どうやって私を連れてきたの? 髪も服も濡れていないし、いったいなにが・・・・・ たまき:ええと〜、それはこちらの姫様が・・・ 少女:これ、シーーーッ! この者にはわらわの正体はゆうてはならぬ。 適当にごまかすのじゃ。 たまき:・・・ええっ? そんな無茶な〜! あれをどうごまかせっていうんですか。 監理官:・・・たまきさん、いいのよ。 私にはわかるわ。 たまき:な、なにがでしょう・・・。 監理官:私をあそこから助け出してくれたのはあなたね。 あなたが私の命を救ってくれた、そうでしょう? 隠したってわかっているのよ。 わたしの、警察官としての勘がそうだといっているの。 たまき:その勘は最初からハズれっぱなしでは・・・・ 監理官:どうやって助けてくれたのかはわからない。 でもそんなことはいいの。 大切なのはあなたが無事なこと、 そして私を助けてくれたこと。 たまき:姫さま、いいんですか? 少女:うむ。突き詰めればそちの手柄じゃ。 監理官:たまきさん、よかった。 私を助けようとしてあなたは海に落ちたものかと・・・・ ありがとう、危険を冒してまで私を助け出してくれて。 たまき:いえ〜、当然のことをしたまで・・・うにゅっ。 (がばっ) 監理官:ああ、たまきさん、ありがとう、ありがとう! でもお願い。 もう、あんな危ないことはやめてね。 瑠璃果:ちょっと!なにやってるんですかぁ! 先輩から離れてください! たまき:あの、くるしぃ・・・・ 監理官:たまきさん、なにか困った事があったら言って。 私にできることならなんでもしてあげる! 駐車違反とか最高速度違反とかの揉み消し程度ならいつでもするから! あと、痴漢にあったり、変なキャッチに引っかかったり、 ストーカーに付き纏われたりしたら、私の名前を出して。 優先的に捜査させるから!今度は私があなたを守ってあげるわ! たまき:いえ、揉み消しとかはいいですけど・・・・ 監理官:んもう、遠慮しなくていいのよ〜。(ぎゅうう) たまき:みゅにゅ〜〜〜〜っ! 瑠璃果:キャーー! 先輩から離れなさ〜〜〜い!!! 無線:(ザザザ・・・・)少なくとも3名が橋の崩壊に巻き込まれた模様、 救難艇は直ちに行方不明者の捜索にかかれ。 救難艇は直ちに・・・・ 監理官:おっと、仕事が呼んでいるわ。 ・・・・じゃあ、私はこれで。 一刻も早く、この事件を起こしたテロリストを逮捕しなければ! たまきさん、さようなら!(たたたたたたたた・・・・) たまき:さようなら〜。 って、ごまかせたんですかね。 少女:かってに誤魔化されていったのう。 瑠璃果:それに、「私の名前を出して」っていいながら、 結局名乗っていきませんでしたね。 たまき:・・・そうだ。 紅蘭:良くも悪くもマイペースな人やな。 少女:ま、そういうことでじゃの。 紅蘭とやら、今後ともよろしゅうの。 紅蘭:え?なに? たまき:そうそう、 しばらくのあいだ、このお姫様はうちで預かるから。 紅蘭:ええっ? 少女:ホームステイじゃ。 紅蘭:えええっっ!? たまき:私達を助けたかわりに「言うことを聞くのじゃぞ!」 なんていうからなにさせられるのかと思ったら、 ホームステイ先を探してただけなんだって。 だからもう、そんなことなら任せてくださいって二つ返事で了解しちゃった。 紅蘭:ちょっとまちぃ。 ・・・うちらと一緒に住むっちゅうの? たまき:いいでしょう、私と瑠璃果ちゃんの命の恩人さんだもん。 その恩人さんが困ってるんだもん、助けてあげないと! 「仁」の道に外れるってもんでしょ? 紅蘭:でもあそこ借家やし、かってに住人増やしたらアカンのとちゃう? たまき:そのへんは何とかなるって。 でね、部屋はわたしと相部屋でいいとおもうの。 私、身の回りの世話も頼まれちゃってるから、そのほうが好都合だし。 ね、いいよね? 紅蘭:でもなぁ、ウチの静寂かつ快適な生活が・・・ う〜〜〜ん・・・・ たまき:姫様、紅蘭もOKだって! 少女:そうか。では世話になるぞ。 紅蘭:おいっ、ウチOKなんて言うてへんで! たまき:いま「うーん」っていったもん! 「うん」って言ったもん! よかったね、姫様。 イエー! 姫様と一つ屋根の下で同居〜!キャー! 紅蘭:・・・ちょっと待て、 そういえば、あんたさっきこの子のことを「美少女姫」やとか 一人で盛り上がってたよな。 もしかして、命の恩人が困っているのを助けたいなんておためごかしで、 自分がこの子と一緒に暮らしてみたいって思ってるだけちゃうんか? たまき:え゛っ? なんのことで? わたくしはただ純粋に恩を返したいと思っているだけですよ? イヤダナァ、そんなかんぐりはおよしになって。 では姫様、喜んでお迎えします〜! 少女:しかし本当によいのか? わらわの身の回りのこと、いろいろ世話をかけるぞ? たまき:大丈夫です。 姫さまは多分、ズボラーな紅蘭よりも手間はかかりません。 紅蘭:うっ! ・・・えらいいわれようやけど、強く否定もできひん。 瑠璃果:なさけないですよ・・・ ********************************** アナ:都心とお台場をつなぐ橋、 レインボーブリッジがご覧のように破壊されてしまいました。 数箇所の爆破でバランスを欠いたレインボーブリッジが自ら崩壊するような形で このようなことになってしまったのです。 この崩壊の直前に、強力な、きわめて強力な電波妨害のようなものがあり、 レインボーブリッジ周辺では、全ての電話会社の携帯電話の不通、 無線機の不通、コンピューター機器のエラーによる停止、 ・・・などが報告されています。 またこのとき、ビデオカメラも変調をきたしたため、放送各局、 警察や消防その他の公共機関ではレインボーブリッジ崩壊の瞬間を 映像に残すことができませんでした。 専門家によれば通常の電波障害などでは、 このようなことはおこりえないということです。 現在警察と消防では、ホームビデオなどでレインボーブリッジ崩壊の瞬間を 録画できた方がいないか、広く情報を求めています。 もし録画できたかたがいらっしゃったら・・・・ (プツッ) 男 :畜生!なんなんだよ、そりゃ! レインボーブリッジが落ちる瞬間を写せなかったぁ? テレビ局はなにやってんだよ! せっかくの世紀のエンターテイメントだったってのに、 みんなが見たい肝心のところを放映できないんじゃあ、 何のためのテレビ局かわかんねえだろうがよ! ・・・・まったくよぉ、 せっかく撮影しやすいようにテレビ局の近くに爆弾しかけて、 予告までしてやったのに、全然意味ねぇじゃねぇかよ・・・・ 爆薬も底をついちまったし、面倒くせぇけどまた仕入れなくちゃ。 ・・・次はどこぶっ壊すかなぁ。 へへへ・・・ つづく ・・・・のかなぁ(おい)
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