8月29日(金) 東京ビッグサイト 23:59 男は撮影機材の詰まった大きなリュックを背負い、 四角いケースを手にゆりかもめを降りたった。 行く手にそびえるのは東京ビッグサイト。 男は、しばらくそれを眺めていた。 そしてリュックからカメラや三脚を取り出すと、 流れるような動作で組み立てた。 手に持っていたケースを開きつつ、 男はつぶやく・・・。 男 :さってっとっ♪(バクン) は〜い、むっちゃん。狭かったねぇ〜。今出してあげるからね。 ちょっとお顔を見せて?・・・よしよし。 お洋服はしわになってないかな?大丈夫かな? じゃあ、今日はここで撮影するからね。よろしくね。 (ファンファンファンファンファン・・・・) ・・・パトカー? 見咎められて、スーパードルフィーかかえて職務質問 てことになったらめんどうだなぁ。 見つからないようにちょっと隠れてようっと。 それにしてもなんだろ、こんな深夜に。 ん〜と、もうすぐ午前0時か。 日が変わるな・・・・ 8月30日 0:00 ドガーーーーン 男 :うわっ!? なに!? 爆発? ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・ (ファンファンファンファンファン・・・・) 男 :なんで・・・? 事故? ・・・爆弾? (ファンファンファンファンファン・・・・) 8月30日(土) 13:40 −お台場− たまき:紅蘭、瑠璃果ちゃん、面白かったねぇ公開録画。 タレントさんも生で見れたし。 瑠璃果:はあああ〜〜〜〜〜〜・・・(ショボン) たまき:うわっ、瑠璃果ちゃん元気ないなぁ。 瑠璃果:だって〜・・・・・ 紅蘭:というわけでウチら3人は今日、 バラエティー番組の公開録画を見に、 ここお台場はFUJIテレビに来ていたのでした〜。 たまき:・・・紅蘭、 なに突然に状況解説してるの? 紅蘭:しかしあれやなぁ。2週間分の番組を1回で撮ってたり、 リハーサルで見たもんを、本番で初めて見たようにリアクションしたり、 あと、放送ではカットされんねやろうけど、無駄なしゃべりがだらだらと長かったり、 「そういうもん」やとは知ってはいたけど、 テレビに映らん舞台裏を目の当たりにすると、やっぱ冷めるなぁ。 たまき:まぁね。でもあれはすごかったよね、催眠術。 瑠璃果ちゃんたらお客さんの中から選ばれちゃって、見事にかけられちゃって! カメラの前で「ニャア〜〜〜ン☆」って。 猫になりきってたね。ヒモにじゃれたりして。 紅蘭:うん、あれはすごかった。 ヤラセでも仕込みでもなく、 ホンマもんの素人のルリちゃんを催眠術にかけてたもんな。 瑠璃果:もー、先輩も紅蘭も〜! 恥ずかしいからあれは忘れてくださいってゆったのにぃ! たまき:忘れろといわれても・・・ねぇ。 紅蘭:それにウチらが忘れたとしても、いずれ全国にあれが放送されるわけで。 瑠璃果:・・・あっ! うわあああああああああ!そういえばそうですよね!? 恥ずかしいいい!どうしよう!! 紅蘭:催眠術にかかっているあいだのことって、 忘れたり記憶が飛んでたりせんと、ちゃんと覚えてるもんなんやなぁ。 瑠璃果:もう最初から最後までキチンと覚えてますよ。 忘れられるものなら忘れてしまいたい、忌まわしき記憶です。 紅蘭:そうなん?けっこう楽しそうにやってたやったやんか。 瑠璃果:う〜ん、たしかに催眠術でネコになりきってるあいだはノリノリで、 わたしネコなんだ〜、ネコって楽しいにゃあ〜! ・・・と思ってましたよ。 そのあいだは恥ずかしいとか全然思わないんです。 なんせネコですから。 で、ワン、ツー、スリー、パンって催眠術を解いてもらったあとは、 しばらくはいい気分のままだったんですけど、 あとから自分のやったことを思い出すと、だんだん恥ずかしくなってきて・・・・ あ〜、あれ放送されちゃうんだろうなぁ。 ガッコの友達、だれも見てないといいけど。 たまき:そういえばさ、さっきの収録スタジオですっごく色の白い美少女がいたの。 みんな見た? 紅蘭:・・・いやウチ、美少女なんかチェックしてへんし。 ルリちゃんはみた? 瑠璃果:いいえっ。 たまき:そうか〜。そりゃ惜しいことをしたね、うん。 長い黒髪で姫カットで、和風のきれいな子だったよお。 モデルさんかなにかかなぁ。 清楚で上品で正統派美少女って感じで、今時いない感じっていうか、 もー、超かわいかっ・・・ いででッ! 痛いよ瑠璃果ちゃん、なんでツネるのよう! 瑠璃果:・・・あの、先輩、 お言葉ですが、ほら見てください。 多少茶がかってますが、私も黒髪の姫カットなんですよ? たまき:えっ? あ〜、ほんとだ。今まで気がつかなかった・・・痛いッ! 痛いってば〜!だから何でツネるのよう! 瑠璃果:・・・いえ、べつに。 瑠璃果:ところで、知ってますか? 昨日の晩、この近くのビッグサイトで爆破事件があったこと。 すごかったらしいですね。 たまき:ああ、朝ニュースでやってたね〜。 そういえば、ビッグサイトってこの近くなんだよね。国際展示場駅のとこ? 行ったことはないけど。 紅蘭:いやホンマ、 ・・・コミケのあとでよかったわ〜。 たまき:よくはないでしょ!? まぁ怪我人がいなかったのは不幸中の幸いだったけどね。 ・・・でもさ、昨日のその事件ってすぐに犯人捕まったんじゃなかったっけ? なんか、大きなお人形とカメラと三脚を持って ビッグサイトの近くをウロウロしていた不審人物が逮捕されて警察で取り調べ中、 っていってたような。 紅蘭:逮捕やなくて任意同行やったかな。 でも、そいつはもう疑いが晴れて釈放されたって。 たまき:そうなんだ。じゃあまだ真犯人はそのへんにいるかもしれないんだね。 最近物騒だよね〜。 例えばさ、もしも、そこのゴミ箱に爆弾が仕掛けられてて爆発したら、 私達を含めてこのへんの人みんな死んじゃうんだよ。 紅蘭:そんなん運やって、運。 いちいち心配してもしゃあないやん。 近くに爆弾が仕掛けられているなんて、確率からいうたらそうそうあることやないわ。 雷に打たれることでも心配しとるほうがよっぽど現実的やで。 瑠璃果:でも大きな事件が起こったときって、それが身近におこりそうな気がするものですよ。 先輩、万が一ということもあります。 とりあえずあのゴミ箱からは離れて歩きましょう。 でも・・・ たまき:・・・え?なに?瑠璃果ちゃん。 私に寄り添ってきたりして。 瑠璃果:でも、もしも逝くときは先輩、御一緒に! たまき:瑠璃果ちゃん! 瑠璃果:せんぱぁい! たまき:・・・なぁんてね。 紅蘭の言うとおり、まさか仕掛けられてるわけないよね。 紅蘭:ドカーン!! たまき:きゃあ! 瑠璃果:うにゃあ! 紅蘭:プフ−−−−−!あははははは。 いや〜理想的なリアクション、どうもどうも。 たまき:・・・あ〜、びっくりした。 もう紅蘭のバカ! っていうかバカ紅蘭! 爆弾の話をしていたところにこれだも〜ん、心臓に悪いよ。 ビックリしたねえ、瑠璃果ちゃん。 瑠璃果:・・・・・・・・・・ たまき:瑠璃果ちゃん?? 紅蘭:ん?どないしたん? 目がうつろやん。様子がおかしいで? 瑠璃果:・・・にゃ〜ん。 たまき:え? 紅蘭:なに・・・ふざけてんのん? 瑠璃果:にゃお〜ん。ゴロゴロゴロゴロ。 紅蘭:これは・・・・ たまき:瑠璃果ちゃん、 ・・・さっきみたいに催眠術にかかっちゃってるみたいだよう? 紅蘭:でも、術は解いてもらったんとちゃうん? たまき:ぶり返したんじゃない? 紅蘭:風邪やないんやなから。 でもいったい・・・ あ〜、まさか今ウチが驚かしたから? 瑠璃果:にゃあん♪にゃあ〜〜ん♪ たまき:・・・どうしよう。 少女:・・・腹が立つのう! もうなんじゃ、あの「すかうと」というのは。 無礼な上に鬱陶しい。 テレビ局というたか。もう2度とあんな不愉快なところには行かぬぞ。 ・・・おや?なんじゃあれは。 瑠璃果:にゃうう〜〜〜ん♪ たまき:きゃはは、ホッペ舐めちゃやだ。 くすぐったいよう! 紅蘭:もう〜〜、天下の往来で女同士でなにしてんねん。 通る人がこっち見てるで。 ほれ瑠璃果、(ぐいっ)たまきから離れて・・・ 瑠璃果:フーーーーーーーッ! シャーーーーーーッ! 紅蘭:うわ、怒った!怖ッ! たまき:私、なつかれてるみたいだねぇ。 なんか可愛くなってきちゃった。 お〜よしよし。(なでなで) 紅蘭:「よしよし」やないがな。 そうやってあんたが・・・・ 少女:もし?もし?(ぽんぽん) 紅蘭:あん?今取り込み中・・・ ・・・ああ、なんやお嬢ちゃん。 ウチらになにか用?迷子なん? 少女:この二人は何をしておるのじゃ? 都会で流行りの遊びなのか? なにやら楽しそうじゃのう。わらわも混ぜてくれぬか? 瑠璃果:にゃあ? 紅蘭:いや、これは遊んでいるわけやあれへんのや。 ちょっとした異常事態ちゅうか、 こんなアブノーマルな行為にお嬢ちゃんを混ぜるわけにはとても・・・・ 少女:・・・おお!!思い出したぞ。 このメガネをかけた娘は、さきほどテレビのスタジオで、 魔法をかけられて猫になっていた娘ではないか。 ・・・もしや、この娘はもう一生このままなのか? あのような見世物のために。不憫じゃのう。 紅蘭:いや、一生こうというわけでは・・・ たまき:・・・あっ!きゃ〜〜! さっきの美少女だ!! 私がいってたの、この子だよこのこ〜。 ねぇ、可愛いでしょう? 色白で髪が綺麗で・・・うわぁサラサラ。 ねえ、あなたどこかの事務所に入ってるの?モデルさん? 少女:触るでないッ! なんじゃ、そちも「すかうと」か? 無礼者め!わらわに近寄るでないわ! たまき:スカウ・・・ト・・・? 少女:先ほどテレビ局で、そのようなことを言いながら、 わらわにしつこく付き纏った不愉快な輩がおったのじゃ。 そいつは「すかうと」と名乗っておった。 たまき:タレントスカウトのこと? 違う違う、私はそんなんじゃないよ。 少女:ではなんだというのじゃ? たまき:いわば、ん〜・・・美少女ファン?(笑)だから大丈夫だよ。 ところでねえ、あなた。不思議な言葉づかいをするね。 時代劇のお姫様みたい。 紅蘭:せやな。 少女:・・・まぁ、大きな声ではいえぬが、なにを隠そう、 そちの申すとおり、わらわはさる国の姫なのじゃ♪ ・・・内緒じゃぞ。 たまき:(ねぇ、「お姫様ごっこ」かな…言葉づかいは変だけど、流暢な日本語しゃべってるしね。) 紅蘭:(金持ちの箱入り娘とかかもしれへんんな。そんで普段「おひいさま」とか呼ばれてん) たまき:(そうかもね。調子あわせておこう。) 紅蘭:コホン。ん〜、そうかそうか、 お嬢ちゃんはお姫さんなんか〜。 たまき:すごいね〜。 少女:うむ。 瑠璃果:にゃ〜ん。ペロペロ たまき:やだぁ、くすぐったいって〜。 少女:・・・やっぱり楽しそうじゃのう。 たまき:あっ、楽しいよ〜。 姫さまもよかったら一緒に・・・ 紅蘭:たまきっ! たまき:ジョウダンでありますっ! 紅蘭:楽しそうに見えるのは、こいつらがアホやから。 姫さんはこういうアホの仲間になったらアカンよ。 少女:そうなのか? ん〜、たしかにアホは嫌じゃのう。 たまき:でもどうしようねぇ。 テレビ局に戻って、さっきの催眠術師の人に もういっかい催眠を解いてもらわないとだめだね。 ねえ瑠璃果ちゃん、私と一緒にテレビ局に・・・・ちょっと、くすぐったいって〜。 瑠璃果:ペロペロ・・・・にゃ〜ん。 むちゅっ。 たまき:・・・・・・・ん?・・・・・・・・んんっ!? 紅蘭:あ〜っ! わッ、ギャッ、キスしてる! うわ、しかも・・・マジキス・・・・ ドアホ!人前でなにしよんねんな〜! 少女:(じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜) これは口付けというものじゃの。直接見たのは初めてじゃが・・・ はぁ〜。 公衆の面前で女同士で・・・ やっぱり都会というのはすごいところじゃのう。 紅蘭:ん? あわわ、姫さん、こんなん見たらあかんて。 ええ子やからもうあっちに行ってな、な。 少女:そ、そうか? ではな。 たまき:ん〜〜〜〜〜〜・・・・んっんっ・・・・ 瑠璃果:にゃむむむ・・・・・ 紅蘭:あんたらも!早う離れぇっちゅうねん! (ぐいぐい) ・・・コラ!たまきぃ!なに瑠璃果の背中に手ぇましてんねや!! あんたも少しは抵抗せんかい! たまき:(はっ、つい・・・(笑)) ん〜〜〜・・・・(ッポン) はああ〜〜〜〜っ 瑠璃果:・・・うにゅ・・・にゃあん・・・(とろ〜〜ん) たまき:うわああ、瑠璃果ちゃんとキスしちゃった〜。 しかもかなりアレでアレでアレな・・・・うわあああ〜〜。 きゃ〜〜〜、どうしよう! 瑠璃果ちゃん強引なんだもん・・・・ 紅蘭:キモチワルゥ〜。さぶイボでてきたわ。 瑠璃果:にゃあん!?にゃん!にゃううう〜〜ん!!にゃあん!! たまき:瑠璃果ちゃんはまだご不満のようで・・・。 紅蘭:それにしても瑠璃ちゃん、普段はおとなしいくせに、 催眠状態だと大胆なことするなぁ。 たまき:瑠璃果ちゃん、普段はネコかぶってるのかもね。 ・・・あっ!いま私、うまいこと言った? 紅蘭:ええから。 たまき:あれ、さっきの美少女姫は?(キョロキョロ) うう、一緒にお写真撮りたかったなぁ。 名前も聞きたかったのに〜。 紅蘭:それよりも、この瑠璃ちゃんをなんとかせんと。 たまき:そうそう。早くテレビ局に連れて行こうよ。 それでさっきの催眠術師に責任もって催眠術をちゃんと解いて・・・ (ぐいっ)・・・むんんっ!? んん〜〜〜〜〜!んむん〜〜〜〜! 瑠璃果:にゅ〜〜んん・・・んん・・・・ 紅蘭:あっ、瑠璃果がまた! もう油断も隙も・・・ほれ、瑠璃果、たまきを離さんかいな。 (ぐいぐい) たまき:ん・・・・ぷはっ! 瑠璃果:ゥウン!?フーーーッ!(バリッッ!) 紅蘭:痛っ! あいた〜、こいつツメで引っ掻きよった。 瑠璃果:シャーーーーーーッ! たまき:紅蘭、大丈夫? ・・・血が出てるじゃない。 こら、瑠璃果ちゃん!紅蘭になんてことするの!? ダメじゃない!! 瑠璃果:・・・・にゃっ・・・・ぅぅ・・・・(しょぼん) 紅蘭:たまき、たいしたことないわ。 手を払ったときにツメがあたってちょっと切れただけやから。 たまき:でも痛そう・・・ 瑠璃果ちゃん! こんなことする子は私、大嫌いだからね! 瑠璃果:にゃがぁっ!? たまき:だからいい? ・・・もう二度とこんなことしちゃダメ。 そう約束できるなら、嫌いにならないでいてあげるからね!? わかった? 紅蘭:たまき。なあ。 たまき:いま瑠璃果ちゃんに大事な話をしてるの。ちょっと待って。 紅蘭:その瑠璃果は「だからいい?」あたりでもう駆け出してって、 ここにはおらんけど。 たまき:あれっ? あ、ほんとだ。 もうあんなところまで走ってっちゃってる? 紅蘭:追いかけな。 猫のままやったらどこに行くかわからへん。 たまき:うん。 瑠璃果:にゃあああああああああん!(たたたたたた) たまき:あのこ、猫になりきっているくせに2足走行とは。 紅蘭:はあっ、はあっ、 催眠下でも「走る」となると自然とああなるんやろか。 たまき:それか、催眠が中途半端なのかも。 紅蘭:はあっ、はあっ、たまき、先に行け! ウチもうバテてきてアカン。 たまき:え〜〜、まだ100mも走ってないのに? じゃあ、なるべく早く来てね。 (たたたたたたたた) 紅蘭:はあっ、はあっ・・・・りょうかぁ〜い。 たまき:私が引き離されている・・・ 瑠璃果ちゃん、現役のエースなだけあってやっぱり速いなぁ。 でも、どこに向かってるんだ? このままいくと・・・・・ たまき:・・・レインボーブリッジか。 瑠璃果:にゃはぁっ、にゃはぁっ、にゃはぁっ・・・ 警官:すみませ〜ん、止まってください! 現在レインボーブリッジは閉鎖されておりまして立ち入り禁止・・・・ 瑠璃果:にゃあっ!(ズビュゥゥゥゥゥン) 警官:・・・あっ!キミ、止まりなさい! 止まりなさーーーい!コラーーーーッ! (ザッ)・・・こちらレインボーブリッジ遊歩道・台場側ゲート。 本官の制止を振り切り、女性一名が遊歩道に侵入。 え〜、若い女性、長い髪、眼鏡着用。徒歩ですが全力疾走でかなりの速さ。 至急保護願います。以上。 無線:了解 警官:やれやれ、・・・今の子はなんなんだ、いったい。 たまき:おじゃましまーす!(たたたたたたたた〜〜) 警官:うわあっ!もう一人来た? ちょっと!キミ! 止まりなさい! と、・・・止まらんかコラぁっ! (ザッ)こちら遊歩道台場側ゲート! もう一名、制止を振り切り、女性がブリッジ遊歩道に侵入。 これも若い女性、短い髪。これも全力疾走。 かなりの速さ。 2名とも至急保護願います。以上。(ザッ) 無線:(ザッ)・・・りょ、了解。(ザッ) 警官:ふう。 あ〜、2人も通しちまってこりゃ始末書モンかな。 何事もないといいが。 ・・・・ん? (たたたたたた) 紅蘭:はい、どいてどいてぇ〜〜〜! 警官:通すかぁっ! (がばっ) 紅蘭:あがっ!? いやあっ、なにすんねん!エッチ!離せぇ! 警官:いいかげんにせんか! なんなんだキミらは!この橋はいま封鎖中なんだ。 ここを通すわけにはいかん! 紅蘭:はあっ、はあっ、・・・あれ?お腰につけたニューナンブ? 道路公団の警備員のおっちゃんかと思ったら、あんた巡査やん。 なんで? 何かあったん? 警官:・・・ああ、そろそろニュースでも流れるだろう。 「昨日の晩ビッグサイトを爆破した犯人」を名乗る男から、 この橋に爆弾を仕掛けたという電話が警視庁にあったんだ。 そういうわけで現在、この橋全体を立ち入り禁止にして、不審物の捜索中だ。 紅蘭:そんなんイタズラ電話とちゃうん? なんでわざわざ予告なんか・・・・ 警官:さあな。 たとえイタズラの可能性が高くても、ほらビッグサイトが爆破されて、 それで昨日の今日だから、捜索しないわけには。 紅蘭:そうなんや。それはお疲れさんやねぇ。 まあ警官もようさん居てはるし、おかげで瑠璃ちゃんもすぐに捕まるやろ。 こっちはたまきに任せて、 うちはテレビ局に戻って、さっきの催眠術師を押さえとかなな。 巡査さん、ほな。 警官:ああ。うん。 あっ、ちょっとまってくれ、さっきの二人はいったい・・・・ 無線:(ザッ)遊歩道入り口、 報告のあった女性2人ですけど、遊歩道で待ち構えていますが、 いっこうにこちらには来ません。どうなってます?(ザッ) 警官:・・・なんだって? ノースプロムナード(北側遊歩道)に向かったんだ。そこまでは一本道だぞ? おかしいな。 道なりに行けば必ずそこに行くはずなんだが・・・ たまき:ひーっ!ちょっとー!なんてところを行くのよう! ここは人の通るところじゃないでしょ!? 瑠璃果:にゃあん!(しゅたっ) たまき:うう・・・・猫だったっけ。 むこうまで1メートル半てところかな。 飛んで飛べないこともないけど、おちたら20m下の海にまっさかさま・・・ ってもあの瑠璃果ちゃんをほおって置くわけにはいかない・・・よね! たまき:えいっ!!・・・げふっ! イダッ、胸打った・・・・ 瑠璃果ちゃん待ちなさーい! ああもうっ!なんか嫌な展開になってきたよ?
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