6月29日(木)曇りのち晴れ 以前私が駅で会った出雲崎ニコさんが占いの店を開きました。 ニコさんから、彼氏とぜひ来て欲しいってうちに電話があり、 面白そうでもあるので、宮古さんと一緒に行くことにしました。 今日はここで待ち合わせ。 もう少しで約束の時間なのですが・・・・・・・。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 たまき:晴れてよかったなぁ。 ここんところ、雨ばっかりだったもんね。 着メロ:ピ〜ロリロリ〜、ピロロピロ・・・ たまき:あ、宮古さんからだ。(ピッ) あいあ〜い、どうしたの? 遅れる? 宮古:そのとおり。ごめん。 いま車に乗るところだから、あと30分くらいかな。 どこかで時間つぶしててくれる? たまき:もー、君はしょうがない奴だなぁ〜。 じゃあ30分後に約束の場所でね。 宮古:いつもすまないねぇ。 じゃ。 たまき:まってるよん。 たまき:あふぅ〜〜。 30分間どうしようかな。 そこのお店でピアスでも見てこうかな〜。 着メロ:ピッピピ〜、ピ〜ロ〜リ〜、ピッピピ〜、ピ〜ロ〜リ〜 たまき:あれ?・・・・・・知らない人からだ。 誰かな。(ピッ) もしもし? 声 :寺月さんらカ? たまき:ハイ、そうですけど。 ・・・・・・「らか」って、ニコさんですか? ニコ:繋がった繋がった! リコ、通じたろゥ。 たまき:あの〜、 私、ニコさんに携帯の番号を教えた覚えないんですけど・・・。 ニコ:オレも聞いた覚えないテ。 たまき:じゃあ、いったいどうやって? 家の電話番号といい、今度といい。 ニコ:な〜に、簡単なことろゥ。 まず目を閉じてな。 たまき:はぁ。 ニコ:ダイヤルボタンをピポパって適当に押すガ。 3回くらいで、かけたい相手に繋がるが〜ヨ。 たまき:・・・・・・んな、まさか。 ニコ:でもちゃんと繋がって、こうやって話してるねっかネ。 たまき:え?じゃあホントに適当に!? ニコ:こんがん(こんなの)序の口らヨ。 インターネットなら検索エンジンいらずの・・・・・・ (ん?なにリコ。・・・わかってるって。) なー、今日こっちに来るが〜ろゥ? たまき:ええ。お約束通り。 ただ、予定より30分ほど遅れそうですなんけど。 ニコ:どうしたガ? たまき:彼氏が遅れてくるんです。 あとで一緒にお伺いしますね。 ニコ:(彼氏、遅れてるって) リコ:(その方が好都合かな) ニコ:(・・・そうらネ) 寺月さん。 その彼氏はいいスケ、 とりあえず、あんただけこっちに来なセ。 たまき:え〜、でもぉ・・・・・・ ニコ:大丈夫らって。 店のある場所、わかってるがか? たまき:いえ、電話で聞いた、そこの住所しか・・・・・。 ニコ:ん〜と、右見てみた。 ず〜っと先に、黄土色したマンションが見えるろ? そこの206号室らスケ。 わかった? たまき:わかりました。 ニコ:じゃあ、待ってるッケ。 たまき:はぁ〜い。(ピッ) ふぅ〜ん。あのマンションかぁ。 ・・・・・・あれ? 電話で話しているのに、私が右を向くとそのマンションが見えるって、 なんでわかっちゃうの? っていうか、私が今いる場所も知らないはずでしょ? ・・・・・・きっとニコさんには、わかっちゃうんだなぁ。 しょうがない。一人で行くか。 宮古さんには30分後に電話入れよう。 たまき:206号室・・・・・・イズモザキ便利店 うせもの、ペット捜索はお任せ! 本当にここだよ〜。 あんな案内でちゃんと来れちゃった。 ・・・はじめてくるところのチャイムを鳴らすのって、 なんだかキンチョーしちゃうよね。 (ピンポ〜〜ン) リコ:はぁ〜〜い。(ガチャ) あう、寺月さん、いらっしゃいませ。 どうぞ。 たまき:お邪魔します。 リコ:スリッパはこれを使って。 たまき:はい リコ:そこに座って待ってて。 お姉ちゃんを呼んでくるから。 おねえちゃ〜〜ん!(キィ、・・・バタン) たまき:占いのお店って聞いてたからどんなかと思ってたけど、 便利屋さんの事務所か物置みたいだね。 これってどういうこと? たまき:なんか変だなぁ。 ・・・・・・一人で来てよかったのかなぁ。 私一人のほうが好都合、とか電話で聞こえたし。 宮古さんに電話しておこうかな・・・・・・。 (コンコン) ・・・はい。 ニコ:お〜〜。 寺月さん、久しぶりらねっかネ〜。 たまき:どうも。 ニコ:いまリコがお茶入れてるスケ、 まあ、ゆっくりしてて。 ん? ・・・・・・どうしたが? 浮かない顔して。 なにか気になることでもあるがか? たまき:気になるっていうか、その〜・・・・・・ ニコ:そうらねぇ。 これからタ○ラはどうなるんかねぇ。 やっぱり、バ○ダイみたいにエグい商売しないと駄目なんだろっか。 たまき:いや、それはそれで気になりますけど、 そうじゃなくって・・・・・・・ リコ:お茶入れてきたよ。 ハイどうぞ。 お姉ちゃんも、ハイ。 たまき:あ、すいません。 いただきます。 ニコ:ここのチョコケーキ、がった美味しいがぁヨ〜。 食べてみタ。 たまき:そうなんですか。 どれどれ。 リコ:寺月さん、あのさ、 こんな事言うのもなんだけど、 今の彼氏とは別れたほうがいいよ。 たまき:そうなんで・・・・・・・・・・・ ごっ、ごほっ! ・・・・・へ? リコ:余計なお世話かもしれないけど、 それがあなたのためだからさ。 ああいうのと付き合っているとろくな事にならないよ。 たまき:・・・それ、どーゆー意味ですか? 宮古さんが、一体なんだっていうんです? リコ:まあ、あなたがそういうのも無理ないけど。 順を追って話すわ。 前にお姉ちゃんと会ったときに、「見て」もらったでしょう。 あなたの事やお友達や、彼の事を。 たまき:・・・ええ。 リコ:お姉ちゃんは、お姉ちゃんが頬に手を当てている人が、誰かを意識すると、 その意識のリンクをたどって、その誰かが見ているものが見えるの。 お互いの気持ちが近いほどはっきりとね。 その人の、そのときの感情も、ぼんやりとわかるらしいわ。 さっき、待ち合わせ場所からここまでの道のりを、 電話で道案内したでしょう? お姉ちゃんはあなたに電話しながら、あたしの頬に手を当てていたの。 あたしは寺月さんを意識して、お姉ちゃんはそれをたどって、 寺月さんが見ているものを見て、指示をしたわけよ。 たまき:確かに、あの指示でちゃんとここに来れましたけど・・・・・・。 でも・・・・・・ リコ:ちょっと信じられない? あたしはもう、ちっちゃい時からお姉ちゃんと付き合ってて、 嫌というほどこの能力の確かさを思い知らされているから、 いまさら疑わないけど。 でね、本題に戻るけど、前に「見た」とき、 お姉ちゃんは、あなたの意識を通じて、 宮古って人の見ている状景を見たの。 彼はその時、ある作業をしていて、 それに没頭しているように、 お姉ちゃんは感じたらしいわ。 たまき:作業? 宮古さんが何をしているところを見たんですか? リコ:あれはヤバイよ。 多分、ヤクがらみだね。 たまき:・・・ヤク? リコ:そう。 たまき:チベットにいる毛の長い牛みたいな・・・? リコ:違うって・・・・・・ 屋久島のヤクとも、役者のヤクとも、ヤクルトのヤクとも、 ヤクトミラージュのヤクとも違う!(笑) 麻薬・覚醒剤・ドラッグとかのこと。 たまき:麻薬?宮古さんが? もー、何を言い出すのかと思えば。 冗談でしょう? リコ:お姉ちゃん、話してやって。 あのとき、お姉ちゃんは何を見たのか。 ニコ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 リコ:お姉ちゃん。 ニコ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 リコ:お姉ちゃん、 ケーキ食べてないでさ。 ニコ:・・・・・・んぐんぐ。 ぷは〜〜。ハイハイ。 オレが見たのはね、魚の中にクスリを押し込んでいる作業。 一匹一匹、丁寧に薬を仕込んでいたが〜ヨ。 たまき:・・・・・なぁんだ〜。 宮古さんは水族館に勤めてるんですよ。 それって、魚に餌かなにかをあげてたんです。 ニコ:死んでる魚に? クスリを入れるのも、口じゃなくてエラの隙間かららったヨ。 エラの隙間から指を入れて、おなかのほうにクスリを押し込むガ。 何匹も何匹も。 リコ:だから餌なんかじゃないよ。 ・・・・・・しかしそうか。 水族館なら魚も大量に手に入るし、 なにかと都合がいいかも。 ブローカーから大量に仕入れたクスリを、 そうやって魚に仕込んで何食わぬ顔で、 あるルートに流通させる・・・・・。 たまき:ちょっと! いいかげんにしてください! そんなあやふやな根拠で、宮古さんを犯罪者扱いするなんて。 そんなの、ひどいじゃないですか。 今日私達を呼んだのは、それを言うためなんですか? リコ:そうだよ。 知っちゃった以上、ほっとけないとから。 あなたの彼氏を呼んでハッキリさせようと・・・・・・ たまき:わたし・・・、 わたし帰ります。 ケーキ、ご馳走様でした。 それじゃあ。 リコ:あんたもわからずやだなぁ。 じゃあ、お姉ちゃんの見たのは何だって言うんだよ。 死んでる魚に薬物を隠しているんだよ? 説明してみなよ。 たまき:それは・・・わかんない。 でも、宮古さんが麻薬に関わっているなんて思えないもん。 それに、見た見たっていうけど、 それって本当に見たわけじゃないんでしょう? 私、やっぱりそんな能力信じられないし・・・・・・。 ニコ:寺月さん・・・・・・。 リコ:あんた、お姉ちゃんの指示でここまで来れたじゃない。 それでも信じられないの? お姉ちゃんの千里眼は、あんたも体験済みでしょ? たまき:そんなの・・・・・・簡単です。 わたしが待ち合わせ場所でニコさんと電話をしているとき、 ニコさんはここじゃなくて、私のすぐ側にいたんです。 隠れて、私を見ながら電話で道案内をしていた。 さも超能力で私を案内しているように見せかけるために。 携帯の番号も、どうやってか、あらかじめ調べておいたんでしょ。 そのあとニコさんは私のあとからついてきて、、 私が事務所に通されたあとにここに入ってきて、 リコさんが呼びにいった後で私の前に現れた。 まるでずっと前からここに居たように。 でも本当は、私がここに着いたとき、ニコさんはまだいなかったんです。 ・・・そうじゃないんですか? リコ:やれやれ。 たまき:何が目的か知りませんけど、 そうやって私を騙して、いったいなにを・・・ ニコ:・・・・・・・・・・・・。(⌒ー⌒)にっこり たまき:なに・・・・・・微笑んでるんですか? ニコ:・・・・・・電話。 たまき:え? ニコ:電話らヨ。 着メロ:ピ〜ロリロリ〜、ピロロピロ・・・ たまき:(ビクッ) ・・・・・・・・・・・・・・うそ。 (ごそごそ) 宮古さんからだ。(ピッ) もしもし? 宮古:・・・いま、待ち合わせの場所に着いたところ〜。 遅れてごめんな。 たまちゃん、どこに居る? たまき:私はぁ・・・・・・その場所からねぇ、 ええ〜〜っと、 (ふわっ) あっ。 ニコ:よく見えるのゥ・・・・・・ 左斜め後ろを向かせてみタ。 たまき:ニコ・・・さん? ニコ:(にっこり) たまき:・・・・・・左・・・斜め後ろ。 見て。 宮古:この辺にいるの?左ナナメ後ろ? ・・・ああ、見たよ。 たまちゃん、どこさ? ニコ:場所が悪いのゥ。 パチンコ屋の看板に隠れて、このマンションが見えないスケ、 1メートル左に動いてもらって。 たまき:宮古さん、 1メートル左に、動いてみて。 宮古:・・・なぁ、なんの遊び?これ。 たまちゃん、どこに居るんだよ。 遅れたのは謝るからさ、 あんまりからかわないで・・・・ たまき:いいから。 おねがい。左に1メートル。 宮古:・・・・・・はいはい、1メートルね。 動いたよ。 ニコ:・・・・・・まだ、動いてない。 たまき:宮古さん、 本当は、まだ動いてないんじゃない? 宮古:・・・・・・んもー、それがわかるって事は やっぱりそのへんに居るんだろ? たのむから出てきてくれよ。 俺が悪かったって〜。 ニコ:(ニカ〜ッ)(⌒▽⌒) たまき:ニコさん、・・・私あの、 さっき・・・・・・ ひどいこと・・・・・・ ニコ:(にこにこ) たまき:・・・・宮古さん。 左に1メートル動いたらきっと、・・・じゃなくて必ず、 パチンコやさんの看板の影から ず〜っと先に、黄土色したマンションが見える。 そこの206号室に私はいるから来て。 わかった? 宮古:黄土色?・・・・・左に1メートル動いて、と。 ああ、あったあった。あそこの206号室? でもそこに居るって、じゃあ、いま後ろ向けだの左行けだの・・・・・・ たまき:待ってるね。じゃあ。 (ピッ) あのあの・・・・・・ニコさん、 ごめんなさい。 私さっきひどいこと言っちゃって、 なんていったらいいか、 その・・・・・・・・ ニコ:いいテ。 ・・・慣れてるスケ。 たまき:・・・・・・・・・ニコさん。 リコ:わかってくれたみたいね。 しかしそうなると、 今の彼氏はやっぱりヤクの売人ってことね。 たまき:それは・・・・・・。 リコ:まあ、それはその彼がここに来ればわかる。 たまき:やっぱり、ニコさんが宮古さんを「見る」んですか? リコ:お姉ちゃんは男を直接「見る」ことはないんだよ。 ニコ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 たまき:男の人だと、ダメなんですか? リコ:・・・大人になっていくと、 人は周囲に合せて自分を作っていくことを覚えるよね。 まわりとうまくやっていくために、自分でも気がつかないうちに、 自分の本当の気持ちを押さえ、周りが望む自分を演じてしまうの。 その方が生きていく上では楽だからね。 まぁ、本当の気持ちなんていうと、なんだかピュアなものみたいだけど、 ようするに欲望丸出しの気持ちってことだから。 そうゆう欲望を、お姉ちゃんは、 その人の頬に手を当てるだけでわかっちゃうの。 たまき:じゃあこの間、わたしのことを「本当は誰かに甘えたがっている」 っていったのは、そういう・・・・・・ リコ:それがあんたの無意識の欲望、 って事ね。 でもねぇ、男はさ。 たまき:男は? ニコ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 たまき:・・・・・・・・・・? リコ:まあ、真実にたどりつく道はひとつじゃないから。 たまき:・・・はぁ。 チャイム:(ピンポ〜〜ン) リコ:来たな。 寺月さんとお姉ちゃんは、そこで待ってて。 はぁ〜〜い。(パタパタパタ・・・・) (ガチャン・・・キィ) いらっしゃいませ〜♪ 宮古:あの、すいませんけど、 ここに寺月っていう子、来てますか? リコ:はいはい。宮古さんですよね。 あなたのこと、お待ちかねですよ。 ささ、どうぞ。 宮古:じゃあ、おじゃまし・・・・・ いっ!いててててっ!! イキナリなにするんだよ!? 腕折れる! たまき:宮古さん!? ニコ:まあまあ。 リコちゃんはああいう荒事は得意らスケ大丈夫。 ちゃんとチカラかげんも心得てるがぁヨ。 たまき:あなたたちって・・・・・・ リコ:じたばたすると、本当に折るよ。 おとなしく歩きなさい。 宮古:わかった。わかったから・・・痛てて。 宮古:あっ、たまちゃん! たまき:宮古さぁん・・・・・・ ニコ:まあ、座ってて。 宮古:大丈夫か? なんもされてないか? たまき:うん。 おいしいケーキをごちそうになってたよ。 宮古:あ、・・・そうなん? とにかく、無事で良かった。 おいおい、 あんたら、一体なんのつもりなんだよ。 リコ:まずこっちの質問に答えてもらおうかな〜。(ギリギリ) 宮古:いっ、痛いってば。 はいはい、もう何でも聞いて。 たまき:・・・真実にたどりつく道はひとつじゃないって、 ああいうことですか? ニコ:そう。拷問とか。 リコ:単刀直入に聞くけどさ、 あんた麻薬の売人だろ。 宮古:な、なんの話? ・・・いてててて! 知らないってぇ! たまき:ちょっとリコさん。 私が聞くからそんなことやめてください! 宮古さん、話すと長くなるけど、 この人達、宮古さんが死んでいる魚に、クスリっていうか、 薬物を隠しているところを見たっていうの。 それって何なの? なんでそんな変なことしてたの? リコ:魚の腹の中にクスリを仕込んでただろ? 一匹一匹。 宮古:・・・・・・ああ、あれか。 毎日やってるよ。 一匹一匹、エラの隙間からな。 手間のかかる作業だよ。 たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・。 リコ:よしよし。 んで、それをどうするの? どういうルートで流すんだ? 宮古:地下通路を通って・・・ リコ:それで? 駐車場に車が待ってるの? 宮古:ペンギンのプールの裏に回って、ペンギン達にあたえるんだよ。 リコ:・・・・・・・・・は? 麻薬を? 宮古:あんなぁ〜〜、 なに勘違いしているか知らないけど、 あれは麻薬なんかじゃなくて、ビタミン剤やカルシウム剤! リコ:・・・なんでぇ? 宮古:水族館で使われる餌の魚は、寄生虫を殺すために 必ずいったん冷凍にするんだ。 生きている魚を餌として与えることは、原則としてない。 だが鮮度の落ちた魚は栄養に欠けるし、 それに養殖魚と天然物の違いもある。 だからそういうクスリを餌に仕込んで、 必要な栄養を補っているんだよ。 だいたいいつ見たのか知らないけど、 麻薬だろうがなんだろうが、むきだしのまま魚の中に入れるわけないだろ? ああいうのは、袋とかに入れておくんじゃないのか? リコ:・・・・・そのまま入れてた? お姉ちゃん。 ニコ:うん。 オレ、袋とか、そんガこと言ってないろ? リコ:な・・・・・・・・・ なぁ〜〜んだぁ。 じゃあ、麻薬なわけないじゃんねぇ。 ヤダ、 あたしったら早とちりしちゃった。 イケネーッ! 宮古:あの〜、さっそくですけど、 ボクの腕、放してもらえません? リコ:あっ、あらあら〜。ごめんねぇ。 いや、ちょっと痛かったかもしれないけど、 こうすると腕から肩にかけての筋がのびて、 コリがほぐれるのよ〜。 ホレ、なんだか肩が軽くなったでしょ、お客さん。 宮古:そういえばそんな気も・・・・・・(笑) って、 アンタなぁ〜〜! たまき:宮古さん、怒っちゃだめ。 悪気があってやったわけじゃないんだから。 誤解だったんだからさ。 ね?ね? 宮古:たまちゃんがそう言うなら、 まあ、しょうがないか。 二人とも、反省してるんだろうな。 いくら悪気がないとはいえ・・・ ニコ:あははははははっ。 リコ:なっ、なによ、お姉ちゃん。 ニコ:・・・あ、ごめんね。 思い出し笑いしちゃった。 いいから話続けてて。 宮古:人の話聞けよ! ニコ:だって、昨日のドラマが・・・・・・ たまき:ええとね、宮古さん。 こちらが出雲崎ニコさん。 こちらがニコさんの妹の、リコさん。 ニコさんが、あの千里眼の持ち主なの。 宮古:・・・・・・・ほぉ。 たまき:さっき電話したときには、宮古さんの見ているものが ニコさんにも見えていたんだよ。 宮古:なるほどね。 だからさっきはあんなふうに右だの左だの、 そこにいるように指示できたのか。 千里眼って本当にあるんだ。 へぇ、すげえな〜。 たまき:あ、もう信じた。(笑) リコ:あんたが説明したからだろ。 たまき:・・・・・・そ、そうか。 ・ ・ 宮古:・・・ようするに、たまちゃんを悪い男、つまり俺から守ろうと、 わざわざ手間をかけてくれたのか。 ・・・いや、さっきは悪かったね。 俺やたまちゃんは、礼をいう立場のようだな。 どうもありがとう。 たまき:そうだね。結果的にはアレだったけど。 二人ともありがとう。 リコ:いや、そう素直にこられるとこっちも照れるっていうか・・・・・・ あたしこそ、手荒なまねしてごめんね。 ニコ:オレも、今度からもうちょっと気をつけますテ。 たまき:あのさ、せっかくだから宮古さんも、 ニコさんに「見て」もらったら? リコ:だからお姉ちゃんは男は「見ない」んだってば。 たまき:あ、そうか。 ニコ:・・・」いいわ。見てやるろ。 リコ:お?? ・・・お姉ちゃん?? ニコ:あんたはなかなかいい奴みたいらし、 もしかしたら、・・・あんたらったら、 オレも大丈夫かもしんないスケ。 リコ:(・・・お姉ちゃん、こいつを気に入りかけてる?) たまき:宮古さん良かったね〜♪ 宮古:じゃあ、おねがいしようかな。 リコ:お姉ちゃんがあんたの頬を両手で挟むから、 その間、心を落ち着けて、透明な気持ちで。 宮古:わかった。 たまき:宮古さんの本当の気持ちってどんなかなぁ。 私ね、あの人に少年ぽいところを感じるんですよね〜。 リコ:う〜ん、それはどうかな〜♪ ニコ:じゃあ、行くろ? 宮古:はい。 (ふわっ) 宮古:(うわ〜、柔らかい手・・・・・・) (子供みたいだけど、俺と同い年くらいだって言うし・・・) (よく見るとけっこう美人だなぁ) 宮古:(柔らかそうな唇・・・・・・) (ほのかにシャンプーの甘い匂いがする・・・・) 宮古:(いかん、透明な気持ちで・・・・・・・・・) (透きとおった気持ちで・・・・・・・・・・・・・・・・) 宮古:(あれ、何で俺こんなとこ見ちゃってんだろう・・・・・・) ニコ:やっぱりイヤァ〜〜っ!! リコ:お姉ちゃん。 やっぱりそうだろ? ニコ:なんで? なんで男ってみんなイヤラシイがぁ? すぐ胸とか見るし、エッチなことばっかり考えて〜。 リコ:いいかげんに諦めなよ。 そういうもんだって。 たまき:・・・・・・宮古さん、そうなの? 宮古:あのあの、いや、 顔を見つめるのもハズカシイし、 そうやって視線が下に降りていくと、こう、 吸い寄せられるように胸に・・・・・・なに言ってんだ俺。(笑) ニコ:あんたらったら大丈夫かも、って思ったのに! なーも、他の男と一緒ろゥ!ヘンタイ! 宮古:そこまで言う? リコ:お姉ちゃん、何人もの男の人のピュアな気持ち(笑)を見て、 どんどん潔癖になって、男嫌いになってるんだよね。 宮古:でもそりゃ、しょうがないよ。 ニコさんみたいな綺麗な人に顔をこう抱えられて、 じっと見つめられたら、 多少なりともそういう気にならないほうが、男としては変で・・・・・・ つーか、ちょっと胸見ただけじゃん。 ニコ:それがイヤらって言ってるがあテ〜。 宮古:そんなぁ。 たまき:・・・・・・どうせ私はタヌキ顔さ。 いいもん。 宮古:・・・たまちゃんまで何? たまき:別に。 綺麗な人に顔を抱えられて良かったね。 宮古:なに妬いてんだよ。 いや、たまちゃんだって綺麗だって。 たまき:じゃあ、私といるとき、いつもイヤラシイこと考えてたの? 宮古:そんなワケないだろ。 俺はそういう男じゃないよ!? リコ:おかしいじゃん。 綺麗な人にはそういう気になるのが普通なんだろ? ねぇ。 たまき:(こくこく) 宮古:だからそれはそれ、 これはこれで〜・・・・。 ああ〜もう、勘弁してよ。 俺こういうの苦手なんだよ〜! リコ:あはははは。 めっしぇ〜♪(面白い〜) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 最近リコさんの「イズモザキ便利店」は、ニコさんの千里眼を使って、 失せもの探しや、迷子のペットの捜索をしているそうです。 ニコさんは占いもするけれど、普段はそっちがメインのお仕事で、 だから部屋の中は占いの店というより、ただの事務所兼倉庫みたいだったのね。 ニコさんのあの能力、羨ましいけど、 でも持っていると大変なことも多いみたい。 人と違うって、孤独なことなのかもしれないなぁ。 ・・・なんて思いました。 それじゃあ、おやすみなさい。 |