5月31日(水)晴れのち雨

今日は宮古さんの車でドライブです。
彼が行きたい所があるっていうので、目的地はお任せ。
どうも山らしいんだけど・・・どこなんだろ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 宮古:たまちゃん、”催眠”って映画見たって言ってたよね。
たまき:・・・うん。ゴローちゃんの出ている映画でしょ?
    紅蘭と一緒にビデオで見たけど、
    怖い映画だったよ〜。
 宮古:”千里眼”っていう、それの続編にあたる小説は読んだ?
たまき:え?続きがあるの?
    じゃあ、ミドリの○○の○○○はあの後、○○さんの・・・
    ああ〜、やっぱ駄目。教えないで。
    こんどその本、買って読むから。
 宮古:なに?その○○○って。
たまき:まだ映画見てない人への配慮の伏せ字。
 宮古:・・・はぁ。
    で、その千里眼の舞台になる場所っていうのが、今日行く所なんだ。

目的地は何処

たまき:そこ、見ちゃったら小説読むのがつまらなくならない?
 宮古:大丈夫。
    逆に分かりやすくなっていいと思うよ。
    俺は写真で見た事がある場所だったからまだわかったけど、
    小説の描写だけだと、ちょっとわかりにくいかもね。
たまき:そうなの?
    描写があんまりうまくないの?
 宮古:いや、特殊すぎて。
たまき:??
 宮古:見えてきたら教えるよ。

たまき:またトンネルだ〜。
    ねぇねぇ、子供の頃、トンネルを通ってるときに
    車の窓を開けて「わぁ〜〜〜〜っ」って大声出さなかった?
    声が響くのが面白くてさ〜。
 宮古:たしか・・・あのトンネルを抜けた所だったよな。
たまき:え?なにが?
    小説の舞台?
 宮古:いや、何でもない。
    ちょっと寄り道してってもいいか?
    海岸までおりよう。
たまき:いいけど。
 宮古:じゃあ、このトンネルを抜けたら曲ろう。
    海岸に車で降りれる道があるはずなんだ。


 宮古:ここで停めようか。
(キュキュッ)
たまき:ジュースの自販機がある。
    ねぇ、ジュース買ってくるけど何か飲む?
 宮古:おれ、コーヒー。
たまき:いえっさー。
    いつものがなっかたら、それっぽいのを買ってくるね。
 宮古:はい、お代。(チャリン、チャリリン)
    行ってらっしゃい。

たまき:このへんは磯の香りが濃いなぁ。
    岩場の海草も多いし。
    うちのほうの海岸とは違った感じだよね。
    (チャリンチャリン)
    ええと、何にしようかな。
    これでいいや。ぽち。
    (ブー、カラシャゴン)
    宮古さんのは、これか。
    (チャリンチャリン)
    (ブー、カラシャゴン)

たまき:買ってきたよ〜〜・・・・・・って?
    あれ?
    
み〜や〜こさ〜んっ!
    ったく、車置いてどこに・・・あ、いたいた。

たまき:ちょっと、置いてかないでよ〜。
 宮古:ああ、わりぃ。
たまき:はい、コーヒー。
 宮古:さんきゅ。

海辺

たまき:この辺て、海草多いね。
    うちのほうと違って、海水の養分が多いのかな。
 宮古:そうだね。
    海水の透明度は低いだろうけど、きっと魚影は濃いわな。
たまき:お魚いっぱいかぁ。潜ったら面白そうだね。
    エントリー(海に入って行くこと)は、その岩からかなぁ。
    波の感じからして、そこと、
    あそこからイグジット(海から上がること)できるし・・・
 宮古:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:ねえ、どう思う宮古さん?
 宮古:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・目、どうかしたの?
 宮古:あいや、ゴミがはいっちゃって。
    ・・・ちょっと待って。いてて。
たまき:大丈夫?
 宮古:なんだろう、砂かな。
    もう平気。
    ・・・う〜ん。イグジットするには、岩と岩の間が狭いよ。
    こういう隙間にはまわりから波が集まってくるから、
    波の状態によっては、ここですごい勢いの流れになるんだ。
    岩の削れ方を見てもわかるだろ?こんなにえぐれてる。
    勢いのついた波が通る場所には、ほら、大きな岩があった”跡”があるし。
たまき:・・・波で削られてなくなちゃったんだ。
 宮古:たぶんね。
    いまは干潮だし波も穏やかだからいいけど、
    それだけを見てENとEXポイントの判断をするのは危険だよ。
たまき:そっかぁ。
    私、まだまだね。
 宮古:いや、・・・普段はそれでいいんだろうな。
    ただ万が一を考えるとね。
    ・・・そろそろ行こうか。
たまき:もう行くの?
    少しむこうまで歩かない?
 宮古:そっちはやめたほうがいいよ。
    この辺の岩をびっしり覆っていたフナ虫の大群が
    俺が来たときにそっちに逃げたから。
たまき:フナ虫ぃ?
    あの、・・・海のゴキブリみたいなやつ?
 宮古:そうそう。それがもうすっごい数でさ、
    連中が逃げていくとき「
ざぁぁぁぁぁぁっ」って音がしたくらい。
    あれって、虫の関節が動く音なのかなぁ。
    集まると凄いね。
たまき:あうううう〜。(想像中)
 宮古:引き潮の岩場には、きっと餌があるんだろうな。
たまき:車に戻ろう!
    ね。
 宮古:・・・たまちゃん、背中にフナ虫。
たまき:うええっ!?
    
うわっ!?
    
きゃーーーーっ、取って取ってぇ〜〜〜〜!!
    はやくはやく・・・・・・・?
    ・・・・・・あっ、なに笑ってんの?
    嘘なの!?
    だっ・・・騙したなぁ!
 宮古:あっはっは。
    いや、うろたえ振りが面白かったからさ。
    ほら、むこう向いてごらん。(パシッ、パシッ、パシッ)
    ・・・すばしっこいな・・・もういっちょ(パシッ)
    よし、全部とれたよ。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全部って。<(T▽T;))>
 宮古:どした?
たまき:わ、わ・・・
    ・・・わたしのせなかになんびきいたの?
 宮古:おっきいのが4匹。
    その岩に座っているときについたんだろうね。
    もうちょっとで首筋にたどり着きそうだったよ。
たまき:(ざわざわ〜・・・)
    なんだか体中がかゆくなってきたよう。
    早く行こう。
 宮古:だからそう言ってるじゃん。


 宮古:ほら、あの山のてっぺん。
    白いの見える?
たまき:・・・なにあれ。
    灯台?
 宮古:さあな〜。
たまき:・・・人のカタチ・・・してる??
    ああっ、山で隠れて見えなくなっちゃった。
 宮古:あそこが目的地。
たまき:なにあれ・・・。
 宮古:ここを左折だな。
たまき:・・・「東京湾観音・参道入り口」?
    さっきのって、観音様?
    あんなに大きいの?
 宮古:俺も実物見るのは初めてなんだけど、
    でかかったね。

たまき:地図見せて。
    (ごそごそ・・・ぱらぱら)    
    この山道を登るとすぐなんだ。
    たいした距離じゃないね。
 宮古:もうすぐ着くよ。
たまき:ねえ、宮古さん。
 宮古:なに?
たまき:・・・そのへんに車停められる?
 宮古:どうした?
    車に酔った?
    (キュキュッ)
    車の中で本なんか見るから・・・
たまき:ううん、ちがうよ。
    ねぇ〜、ここから歩いて登ろうよ。
 宮古:はぁ?
    なんで。
たまき:天気もいいし、気持ちいいよ〜きっと。
 宮古:理由はそれだけ?    
たまき:・・・いけない?
 宮古:だって疲れるじゃんよ。
    それにたまちゃん、
    そんなサンダルじゃあ上り坂はキツイだろうし・・・
    って、・・・なんでスニーカーがバッグの中に入ってるん?
たまき:山に行くって聞いてたから、それなりの準備をしてきたの。
    ね、歩いていこうよ〜。
    ねったらねぇ!
 宮古:・・・わかったよ。
    徒歩で登りましょうか。
たまき:やった。
    ちょっと待ってて、今、靴を履き替えるから。
 宮古:そのバッグ、ほかに何が入ってるの?
たまき:だっ、だめっ!(がばっ)
    見ちゃダメーー!!
 宮古:・・・はいはい。

たまき:(きゅっっ)履き替えたよ。
    行こう。
 宮古:必要なものは持ったね。
    ドアロックするよ。
    (ピー、ガショッ)
たまき:しゅっぱーつ。
    (すたすたすたすたすた・・・・・・)
 宮古:うわっ、はええ!
    ちょっと待って、なんでそんなに早足?
たまき:・・・おっと、ごめんね。
    スニーカー履くと、頭がトレーニングモードになっちゃって。
    上り坂みたいな足に付加がかかるところに来ると、
    ついついダッシュとかしたくなっちゃうの。
 宮古:・・・なんだかなぁ。
たまき:ゆっくり行こうね。


たまき:”催眠”の続きの小説って、”千里眼”だっけ?
    それってあの超能力みたいな、何でも見通しちゃう千里眼?
    そういう人が主人公なの?
 宮古:そうとも言えるし、そうでないとも言えるかな。
    もっと心理学的な感じで、人の表情、目の動きや筋肉の緊張から
    相手が何を考えてるのかわかっちゃう技術の持ち主。
    なんでも見通しちゃうけど、超能力じゃないよ。
たまき:そうなんだ〜。
 宮古:たまちゃんて、そういう超能力とか信じてるん?
たまき:っていうか、信じる信じない以前に、見ちゃったから。
    前に会った人でね、私のほほに手を当てるだけで、
    私の考えていることや、私が思い描いた人の気持ちが
    わかっちゃう人がいたの。
 宮古:考えていることって?
    「ラーメン食いたい」とか?
たまき:そういう具体的なことじゃなくて、もっと
    なんて言うか、心の奥にあるほんとの気持ち、みたいな・・・。
 宮古:いつか冷やし中華を2人前食べてやるぜ、とか?
たまき:ちが〜〜う!
    例えば私はね、実は思いっきり誰かに甘え・・・・・・むにゃむにゃ
    それはヒミツだけど〜、とにかくわかっちゃうらしいの。
    そのときの紅蘭の気持ちや、宮古さんのこともわかっちゃったんだよ。
 宮古:俺のこと?
    ふぅ〜〜ん。
    で、何だって?
たまき:スープは飲み干してこそ一人前。
 宮古:・・・なるほどね。
たまき:うそ。
    仕事のことを考えてたらしいよ。
 宮古:仕事のこと?
    ・・・そんなこと、当てずっぽうでも言えるんじゃないかなぁ。
    たまちゃんの言うことを信用しないわけじゃないけどさ。
たまき:う〜ん、そうなのかな〜・・・・・・。
    でさ、そのひと、出雲崎ニコさんていうんだけど、
    こんど岬本町に占いのお店を出すんだって。
    昨日電話くれて、教えてくれたの。
    いっしょに行ってみない?
 宮古:ああ、いいよ。
    面白そうじゃん。
たまき:(そういえば、ニコさんなんでうちの電話番号知ってたんだろう・・・
     電話帳には載せてないのに。)
 宮古:ほら、東京湾観音が見えてきた。
たまき:ホントだ。
    へぇ〜〜。

東京湾観音

たまき:・・・で?
 宮古:で、って?
たまき:ここで何するの?
    奈良の大仏さまみたいに拝んで終わり?
 宮古:観音像の胸のあたりを見てみな。
    手摺りがあって・・・
たまき:人がいる〜。
    あ、あれって中に入れるんだ。
 宮古:そういうこと。頭のてっぺんまで行けるはずだよ。
たまき:わぁお。
 宮古:高い所、好き?
たまき:特に好きってわけじゃないけど・・・。

たまき:来てる人、親子連れとカップルが多いね。
 宮古:おじいちゃんおばあちゃんもいるね。
たまき:だから、それもカップルでしょ?
 宮古:ああ、そう捉えたのか。
たまき:いいね。ああいう年になってもいつも一緒でさ。
    ほら、あそこが入り口みたい。
 宮古:想像していたのと違うなぁ。
    意外と立派じゃん。
    ・・・・・・大人一人500円か。
    ちょっと待ってて。

    すいません、大人2枚。
    ハイ、どうも。
    たまちゃん、はいチケット。
たまき:うん。ゴチ♪
 宮古:・・・やっぱ、入り口で手荷物預かるのは、小説の中だけなんだ。
たまき:お話の中ではそうなの?
    それって、あんまり詳しく聞かないほうがいい?
 宮古:ああ、うん。
    つい独り言ちてしまいました。
たまき:うわぁ、一歩入るとお線香の匂い〜。
    なぁんかすごいねぇ。
 宮古:階段、広いんだなぁ。
たまき:階段?よっし。
    (すたすたすたすたすた・・・・・・・)←モードチェンジ
 宮古:ああっ、またそんな早足で〜。
    待てっつ〜の。


すたすたすたすた

 宮古:だいぶ上まで昇ったなぁ。
たまき:階段のあちこちに、いろんな仏像があったねぇ。
    マリア様のまであったのにはちょっとビックリしたけど。

    そらちゃうやろ!・・・みたいな。
 宮古:神様もけっこういたよ。
    なんでもかんでもありがたいものを集めただけ、とも取れるけど、
    でも、日本人の宗教感からすると、こういうのが案外正しいのかもしれないな。
    日本人は昔から、どんな神様でも仏様でも、
    オリジナルにアレンジして受け入れてきたんだよ。
たまき:・・・宮古さん、そういうの詳しいの?
 宮古:神社とか好きなんだ。
    だからちょっとは知っているけど、詳しいってほどじゃないよ。
たまき:わたしいまだに神社とお寺の違いがよくわかんなくて。
    去年の初詣のときに、紅蘭に馬鹿にされちゃった。
 宮古:うわ、・・・ちょーかっこわりぃ。
たまき:ちょーって言うなぁ〜。
 宮古:神社の宗教の神道ってのは日本の土着宗教なんだよ。
    教義や聖典のあるキリスト教みたいな宗教と比べると、
    本当は宗教と呼べないかもしれないようなものなんだけどね。
たまき:・・・うん。
 宮古:日本には八百万(やおよろず)の神様がいるんだ。
    これは、ポケモンは全部で何匹いるっていうのと同じじゃなくて、
    ほとんど無限ていう意味だね。
    山にも、海にも、川にも神様がいるんだ。
    もっとマクロに、木にも花にも岩にも薮にも、
    田んぼにも、一軒一軒の家にも神様がいる。
    家のパーツである、かまどにもいるらしい。
たまき:花にいる神様っていわれてもピンと来ないけど・・・。
    ワシが花の神様である〜、みたいなの?
 宮古:な〜んかちがうよなぁ。
    そもそも、英語の”ゴッド”を日本語で”神”と訳したのは
    間違い、誤訳じゃないかっていう意見があるんだ。
    ゴッドとはキリスト教の神様で、これは全宇宙でただ一人の存在なんだよ。
    世界を作って、人を作った、全能の奴がゴッド。
    これは、気に食わなければ自分で作った人間をあっさり滅ぼしちゃう。
    日本でもともと神様といわれていた、いろんなものに宿っている、
    妖精とか精霊、英語で言うと”スピリッツ”・・・みたいな存在と、
    キリスト教のゴッドは、全然違うんだよね。
たまき:日本の神様って・・・精霊なんだ。
    あ、もののけ姫のシシ神さま。
    なんか、ただ居るだけのあれが神様だってのが良くわかんなかったんだけど、
    そうかぁ。
    日本の神様って、そもそもああいう感じなのか〜。
    わかってきたぞ〜。
 宮古:そうそう。
    年をとった動物も神様になるだろ?
    イノシシも山犬も。
    もともと日本の神様っての、ああいうものなんだよ。
    だから今いう、日本語の「神」という言葉には、
    もともとの意味の”精霊”と、
    後から入って来た意味の”創造主”ゴッドっていうのと、
    まったく違う2種類の意味があるってことだよね。
    これって、本来きっちり区別されて使われるべきなんだけど、
    両方ごっちゃにされているのが現状だな。

    GODを神と訳したのは昭和に入ってからだってさ。
たまき:ふんふん。
 宮古:森さんの神の国発言は、
    そういう意味の違いが招いたトラブルなんじゃないかなぁ。
    マスコミや神道のことを知らない議員達のいう”神の国”と、
    神道の知識のあるらしい森さんのいう”神の国”は、
    ぜんぜん意味が違ってるんだよ。きっと。
    ”日本は精霊の国”発言だったらだれも問題にしないっしょ。
たまき:精霊の国・・・か。
    たしかに”神の国”みたいな、アブナ〜イって感じはないね。
 宮古:だろ?
たまき:ところでなんの話だったんだっけ。
 宮古:八百万のカミサマがいるとする日本の文化は、
    その延長で、他の宗教のカミサマもそのうちの一つとして
    サクサク受け入れちゃうって話。
    ここってまさにそんな感じじゃない。

 宮古:もうすぐてっぺんだ。
    この辺になると、階段狭いな〜。
    ・・・・・・うわ、きっつぅ〜。
    上から人が来てもすれ違うのは無理だね。
たまき:宮古さん体が大きいから。
    私は大丈夫だと思うけど・・・。
    (ムネでつかえたり〜・・・しないか。)
    あ。
    ねえ、さっきから階段の幅が狭くなったり広くなったりしてたでしょ?
 宮古:うん。
たまき:あれって、この観音様のボディラインにそって、
    幅が変ってたんじゃないかな。
 宮古:・・・ああ、そうか。
    像の中に階段を作れば、そうなるよな。
    じゃあ、一番狭いここは・・・首?
たまき:そうかも。
    きっと、この上は観音様の頭の中だよ。
    だから、広くなるんじゃないかな。
 宮古:助かるなぁ。
    閉所恐怖症になりそうだよ。

 宮古:やっと出口だ。
たまき:あ、広い。
 宮古:やっぱりここは頭の部分だよ。
    っていうか、顔だな。
    そこの壁のへこみ、なんだかわかる?
たまき:これ?
    壁が三角にへこんでるって事は、外に出っ張ってるってことだから、
    鼻?
 宮古:多分そう。
    下に向かって穴もふたつあいてるよ。
    鼻の穴がさ。
    下が見えるんじゃないかな。
たまき:ほんと?
    ん〜、ちょっと位置が高くて見えないよ〜。
 宮古:下、見たい?
    じゃあ、・・・よ〜いしょっと。
たまき:うひゃっ!
    あ、もうちょっと前・・・おーらいおーらい・・・さんきゅ。
    ・・・ホントだ、穴がある〜。
    どれ、下界は見えるかにゃ?

下界を見下ろせば

たまき:・・・・・・・・・・・・・(ひっーーーー)。
 宮古:見えた?
    なんかいま、体が強張ったような・・・・。
たまき:こっ、怖いよこれ。
    足元になんにもない感じ〜。
    いまにも観音様が倒れそう、みたいな・・・。
 宮古:できてから40年たってるらしいからね。
    そろそろそのへんがボコっと崩れてもおかしくは・・・
たまき:変なこといわないでよ〜。
    もー、降ろして。
    抱えられてるぶん、さらに不安定で怖いよう。
 宮古:はいはい。
    よいしょ。
(すとっ)
たまき:ふぅ〜〜〜〜〜〜。
    この壁のむこうには、な〜んにもないんだね。
    見ちゃうと意識しちゃうなぁ。
 宮古:もう上にいかずに、この辺でやめとくか?
たまき:ううん、大丈夫。
    せっかく来たんだもん。
    てっぺんまで行こう。

たまき:上が明るいね。
    それに風が吹き込んでくる・・・・・・。
 宮古:階段はここまでかな。
たまき:ねえ、外が見えるよ。
    早く行こう。
 宮古:怖いんじゃなかったのかよ。
たまき:足元が見えたのが怖かったの。手摺りがあるなら平気だよ。
    わぁっ、凄い眺め〜。
    東京湾が一望だね。
 宮古:おお〜、たけぇ〜。
    ここは観音様の頭の上か。

感じちゃう〜♪(・・・アホなタイトル)

たまき:ここが一番上だね。
 宮古:・・・小説と違うなぁ。
    結構変えてるもんなんだな〜。
たまき:キモチイイねぇ。
 宮古:東京湾のむこうに見えてるのは横須賀だよ。
たまき:あんなに近いんだ。
    街が見えそうだね。
    このあいだ、紅蘭と横須賀のミカサ公園に行ったんだ。
    なんでか知らないけど、ずっと行きたかったんだって。
    ミカサ、どのへんかな〜。

 宮古:双眼鏡、持ってくればよかったかな。
    車に積んであるんだよ。
たまき:まあ、いいんじゃな〜い?
    双眼鏡でも写真でもビデオでも、風景を切り取っちゃうでしょ。
    そんなのもったいないもん。
    きっと、こうやって自分の目で見るのが大事なんだよ。
    ぐる〜〜〜っと見まわせば、
    山があって、田んぼがあって、街があって、海があるでしょ?
    そういうのがいいんだよね〜。
    せっかく”そこ”にいるんだからさ。
 宮古:ふぅ〜〜ん。
たまき:山も海も、こうやって見えるもの、みんなきれいだね。
    そうか・・・・・・、
    そういうのすべてにカミサマがいるんだ。
 宮古:そういう”考え方”なんだ。
たまき:”考え方”っていうより、
    ”感じ方”・・・じゃないかな。
    山にも海にも、そういうなにかを感じる・・・。
 宮古:・・・・・・・・・・・・・。

たまき:あ〜〜。今、
    こいつ柄にもねーこと言ってるな、とか思ったでしょ〜。
 宮古:んなこと思ってないよ〜。
たまき:ふ〜んだ。
 宮古:・・・そろそろ降りる?
たまき:ん〜〜、もうちょっと。
    ・・・もう少しこうしていようよ。
 宮古:うん。


 宮古:あ〜、疲れた。
    下り階段てのも、きついもんだね。
たまき:足に負担がかかるのは。上りよりも下りなんだよ。
    それをあんな、たったかたったか降りるから〜。
 宮古:暑いし、疲れたし、のど乾いたし。
    キューっと・・・
たまき:ん?
 宮古:ビール、飲みたいなぁ〜。
たまき:なに馬鹿なこと言ってるの〜。
    車を運転するんだからダメにきまってるでしょ?
 宮古:でもこれから、さらに車まで20分くらい歩くんじゃん。
    350ml缶なら酔いさめるから大丈夫だって。
たまき:絶・対・ダ・メ!
    そんなことしたら
絶交だからね。
    コーヒー買ってくるよ。
    苦いやつ。それでガマンしなさい。
 宮古:絶交と来たか・・・。(笑)
たまき:自販機は・・・・・・、あった。
    ねぇ、行こう。

たまき:・・・ブラックコーヒーは〜〜〜。
    あ、見て見て。
    山の上の自販機なのに、普通の場所と同じ120円だよ。
    てっきり150円くらいだと思ってたのに〜。
    なんか、ちょっと得した気分だね♪
 宮古:たまちゃん、上ではあんなこと言ってたのに、
    ・・・下に降りたら急に俗っぽくなったね。
たまき:いや〜〜、
    ヒトってそういうものでは?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

車に着くと同時に雨が降ってきました。
お天気、崩れちゃいましたね。
帰りに本屋さんによって、小説”千里眼”を買いました。
本のオビによると、これも映画になるんですね。
ガメラ2の水野美紀ちゃんが主演だそうです。
今日行ったところがお話に出てくるなんて、なんだか不思議な感じ。

それではおやすみなさい。

・・・いや、
これから本読むんだけど一応ね。

   
 



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