5月8日(月)晴れ ゴールデンウイーク中は、宮古さんのお仕事が忙しかったのですが なんとかこの月曜日に休みが取れました。 この一ヶ月、なかなかお互いの予定が合わなくて、全然会ってなくて。 だからGW明けの今日のドライブをずっと楽しみにしていたのに。 当日の朝、宮古さんから電話がありまして・・・。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 たまき:ええ〜〜!?・・・なんで? 久しぶりのデートなのに〜。 宮古:それがさ、 俺の勤めている水族園の、前の園長が亡くなってさ。 たまき:あ・・・そうなん。 ごめん。 じゃあ、お葬式に出るんだ。 宮古:うん。まあそんなところ。 ダイビング中の事故らしいんだよ。 一人で潜りに行って、トラブったらしいんだ。 さっき、遺体が見つかったらしい。 たまき:・・・・・・うん。 宮古:園長、・・・先月引退したばかりなんだ。 これから第2の人生だなんて言ってたのに、 ・・・それがこんなことで死んじまうなんてな。 なんか、まだ信じられないよ。 たまき:・・・・・・宮古さん。 宮古:ん? たまき:・・・・・・大丈夫? その園長さんとは親しかったの? 宮古:あの人には、この水族園に入ったころ、なにかと世話になってさ。 仕事のやり方、あの人にみんな教わったようなもんだよ。 たまき:・・・うん。 元気、出してね。 宮古:ああ、・・・・・・ありがとう。 お通夜とか葬式は、警察から遺体が返ってきてからなんだ。 もしかしたら明日になるかもしれないし、まだはっきりしてなくて・・・。 とりあえず、今日のお出かけはキャンセル。 ごめんな。 たまき:うん。しょうがないよね。 でも、夜に必ず電話ちょうだい。 ・・・・・・私とお話しようね。 宮古:わかった。必ず電話する。 じゃあこれで。 たまき:はい。 (プツッ、プーップーッ・・・・・・) しょうがないよね・・・・・・、か。 (ピッ) そりゃたしかにしょうがないけど・・・・・・、さ。 で、も! もう1ヶ月も会ってないんだぞ〜〜っ!? せっかく久しぶりに会えると思ってたのにぃいい。 (ジタバタジタバタ) あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ もうっ! くまぼぶ〜、ひどいと思わない〜〜!? たまき:・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。 やだやだ、自分のことばっかり考えてるよ。 親しい人が亡くなったんだから、宮古さんもきっとショックだよね。 今夜、電話で元気づけてあげなくちゃ。 さ・・・て、1日あいちゃったな。 何しようかなぁ。 くまぼぶ、あんた洗ってあげようか? 汚れてきちゃったし・・・ くまぼぶ:(ふるふる) たまき:洗わなくていいの? じゃあ、また今度にしようか。 紅蘭はまだ寝ているしなぁ、もう10時だけど・・・・・・。 あの子、・・・たしか昨日は11時くらいに寝たんじゃなかったっけ? そろそろ起こしたほうがいいかな。 チャイム:ピンポ〜ン たまき:は〜い。 きさら:おはよ〜〜う たまき:きさらさん! おはようございます。 ああ、・・・紅蘭まだ寝てるんですよ。 今起こしてきますから、どうぞ中に入っててください。 きさら:寝てるの? いや、寝てるんなら無理に起こさなくてもいいよ? たまき:今日の紅蘭は、ただのねぼすけなんですよ。 昨日は私より早く寝たのに、ま〜だ寝てるんですもん。 じつはそろそろ起こそうかと思ってたところなんです。 きさら:そっか。 今日は仕事の話で来たんじゃないんだけど、 じゃあ、お願いしちゃおうかな。 キッチンで待ってるね。 たまき:は〜い。 紅蘭:(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:・・・おじゃましま〜〜す(カチャッ) うわぁ〜、よく寝てるよ。 紅蘭さん、朝ですよ?(つんつん) 紅蘭:んん・・・う〜〜ん・・・ たまき:寝顔、かわいい〜〜。(#^ー^#) (つんつん) 紅蘭:ん・・・? んあ・・・?なん・・・・ たまき:もう10時ですよ、起きてくださ〜い。 紅蘭:ん〜〜もう・・・ちょっと・・・寝かせ・・・ にぃぅ〜〜〜。(ごそごそ) たまき:ああ〜。ちょっと起きなよぅ。 紅蘭:い〜や〜やぁ〜。 たまき:・・・・・・眠りの森の美女みたいに、 キスしたら起きるかな・・・。 ん〜〜〜・・・ 紅蘭:うわっ、やめっ! なに考えてんねん!? たまき:・・・じょ、ジョーダンだよぉ〜。 でも、その反応はちょっと傷ついたな〜。 紅蘭:あほか・・・・・・ たまき:ねぇ紅蘭、鼻の下のうぶ毛伸びてるよ。 ちゃんと剃らないと、おヒゲみたい。 ほら。(しょりしょり) 紅蘭:くすぐったいからさわるなぁぁ〜〜。 もう、今日は惰眠をむさぼるって決めてたんやから、 ほっといてぇなぁ〜。 たまき:そうはいかないもん。 ねぇ、起きなよ〜。 紅蘭:んん・・・・・・(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:・・・も〜、たぬき寝入りでしょ〜? 紅蘭:(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:ちなみに、私がやったら”たまき寝入り”だけど。 紅蘭:んふっ(ぴくっ、・・・ぴくくっっ) たまき:・・・あ、ウケてる。 (そっか、紅蘭て前置きのある凝ったダジャレよりも 不意をついた一発芸的なダジャレの方がツボなんだ。メモメモ。) 紅蘭:う、ううん。(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:こうら〜〜ン・・・・・・。(ゆさゆさ) 紅蘭:(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:こうらんてばぁ・・・・・・・・・・・(ゆっさゆっさ) 紅蘭:(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んもぉ。 紅蘭:(す〜〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・) たまき:・・・・・・んむちゅ♪ 紅蘭:!!?? うわっ、(がばっっ) ほっ、ほっ、ホンマにしよった〜! たまき:あはははは、起きた起きた〜。 おっは〜〜! 紅蘭:なに考えてんねん・・・。 たまき:ささ、早く着替えてね。 きさらさんがキッチンで紅蘭が起きて来るのを待ってるんだから。 紅蘭:きさらはん来てはるんか!? もう、それを先に言いぃ〜な。 すぐに起きるんに。 たまき:(・・・それが悔しいから言わないんじゃん。) ほれほれ、顔洗っておいで。 先にキッチンに行ってるから。 紅蘭:はぁい。 たまき:みっともないから、おヒゲも剃ってくるんだよ。 紅蘭:ヒゲやないわい。 ・ ・ 紅蘭:車買い替えた? きさら:そうなの〜♪ たまき:前ってたしか、トラックみたいな車でしたよね。 紅蘭:フォードのピックアップトラックやったよなぁ。 シルバーの。 きさら:あれも気に入ってたんだけどね。 もうだいぶ乗ってガタがきてたし。 たまき:新しい車って、なんなんですか? きさら:ワーゲンのニュービートル。 紅蘭:ああ、あの丸いクルマ? 意外な感じやな。 きさらはんって、もっとごついクルマがシュミなんやと思ってたで。 きさら:そう? ちょっと無理して買ったんだ〜。 これからまた、毎月ローンをはらわないとね。 たまき:紅蘭、ニュービートルってどんなクルマ? 紅蘭:名前はワーゲンのビートルから貰ってるけど、 まるっきり別もんの奴やなぁ。 デザイン的に名残があるような気もするけど、 RRがFFに変ってたりして、設計からして違うんよ。 たまき:ふ〜ん。 で、ワーゲンのビートルって? 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 きさら:外に停めてあるから、見に行こうよ。 紅蘭:せやね。 ほないこいこ。 たまき:ちょっと〜、教えてよう。 紅蘭:またシルバーにしたんか。 きさら:このデザインに一番映えると思うんだよね。 たまき:クルクルしてて、かわいー。 きさら:でしょう♪ たまき:このクルマ、絶対にヌイグルミが似合いますよ! 後ろのところと、前のところと・・・・・・いくつか置けますよねぇ。 ちょ、ちょっと待っててください。 いま何匹か連れてきますから・・・。 きさら:ああああ〜〜〜っ、いいよいいよ。 気持ちだけで。 たまき:・・・・・・そうですか? きさら:ねえねえ、 これからどこか行かない? ドライブに。 慣らし運転中なんだけど、一人でうろうろするのもなんだしね。 紅蘭:せやねぇ、天気のええし。 ドライブには持ってこいの・・・・・・あれ? たまき? あんた今日は、宮古はんとドライブに行くって言うてへんかった? たまき:そうなんだけど、中止になっちゃいました。 紅蘭:そうなんか〜。 あの人も忙しいんやな。 きさら:ミヤ、どうしたの? 仕事? たまき:知り合いの人が事故で亡くなって、そのお通夜とか。 きさら:・・・・・・それはそれは。 じゃあ、たまきちゃんも紅蘭も、一緒に行ける? たまき:は〜い。 紅蘭:ウチ、前の席な〜。 きさら:乗って乗って。 (ピー、ガシャッ) たまき:うわぁ〜〜、(・・・タ、タバコくさ〜い) あ・・・・・・でも、結構広いんですね。 きさら:なにが「でも」? たまき:いや、なんでも。 紅蘭:なんや、ヤニ臭いなぁ〜。 きさら:そう? じゃあ芳香剤でも買わなくちゃね。 さ〜〜って、どこに行こうかな。 ふたりとも、行きたいところある? 紅蘭:・・・・・・ん〜〜、 別にないなぁ。 たまき:帰りに市場に寄ってもらえれば・・・・・・ お夕飯の材料を買わないと。 きさら:あ・・・そぉなん・・・・・・。 ・・・・・・じゃあ、 まー、適当に行きますか。 ちょっと遠出して、そのへんでお茶しよう。 (キュキュ・・・ブオン) ・ ・ ・ 紅蘭:なぁ、もうちょっとスピード出せへんの? きさら:だから慣らし運転中だってのに。 紅蘭:最近のクルマは、慣らしなんてせんでもええって聞くで。 きさら:したほうがいいって人も多いよ。 それに、外車は多少事情が違うと思うし。 慣らし運転のことはマニュアルにも書いてあるし。 紅蘭:几帳面やね〜。 たまき:わたしは、いつもこれくらいのスピードがいいなぁ。 紅蘭:あんたは自分で走ったほうが速いんとちゃう? たまき:まさか。 きさら:ち〜っと疲れたかな。 紅蘭:ウチ、お腹すいた〜。 なんか食べよう。 きさら:あ、喫茶店だ。 ちょうどいいや、あそこに寄っていこうよ。 紅蘭:そうしよか。 たまき:まっ、待ってくださいよ。 きさら:どうしたの? たまき:そんな、行き当たりばったりでお店を選らんじゃいけませんよ。 ここは慎重に。ね? 思い付きでお店を選ぶと、ろくなことがないですよ。 きさら:ろくなことって? 前になにかあったの? 紅蘭:なに言うてんねん。 きさらはん、はよ停めて。 きさら:・・・・・・うん。 たまき:あううう〜〜〜。 (カラン・・・カラン) 店員:「ラピッドストリーム」にようこそ〜。 おめでとうございます! お客様は、当店開店以来10000人目のお客様で〜す。 ・・・・・・・・・あら? お久しぶり。 たまき:きゃぁああああああ〜〜〜〜! 店員:なによ、きゃああって。 失敬な。 たまき:なんでぇ? なんでぇぇ〜〜? 店員:あれから頑張って、 ついにわたしも自分のお店を持つことが出来たの。 たまき:”ついに”って、あれからまだ半年くらいしかたってないんじゃ・・・・・・? 店員:持てちゃったんだから、しょうがないじゃない。 おかげさまで、お客さんも1万人を突破したしね。 あとで1万人目の記念品あげるわ。 たまき:それはどうも。 店員:ねね、前の制服も可愛かったけど、今度のもステキでしょ。 これはわたしの趣味なんだ。 紅蘭:かわいい服やね。ミミつけて。 店員:さんきゅ〜〜。 きさら:たまきちゃん、お知り合い? たまき:(こく、こく) 店員:今日の食事代を奢らない程度の知り合いかな〜。 紅蘭:誰もそんなこと言うてへんけど。 店員:ナオミです。 ええっと、あなたはたしか・・・寺月はまちちゃん? たまき:たまきぃ〜。 ナオミ:ああ、そうそう、たぬきちゃん。 たまき:た、ま、き。 ナオミ:そうか〜。 ・・・・・・せっかくタヌキっぽい顔してるのに、惜しいわねぇ。 たまき:タ、タヌキっぽい? たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 きさら:あたしエスプレッソ。 紅蘭:ウチは紅茶。 あとプリンアラモードと、サンドイッチセット。 たまき:紅茶と、メロンシャーベット。 ビスケットも食べたいな。 きさら:なんだよ、二人ともよく食うなぁ。 じゃあ、あたしも・・・・・・フルーツパフェ。 ナオミ:紅茶はラピッドストリーム・スペシャルと、普通のがあるけど、 どちらにする? 紅蘭:それって、ウサギのおもちゃでもついてくるん? ナオミ:ラビットストリームじゃなくて、ラピッド(rapid)ストリームよ。 紅蘭:・・・あ、ほんまや。 フォントが小さいと、ピとビの区別が難しいんよ。 ナオミ:みんなも、適正な大きさのフォントで読んでね。 目が疲れちゃうわよ♪ たまき:スペシャルって、紅茶の葉っぱが違うの? いまのシーズンだと、ダージリンのファーストフラッシュ? ・・・もう遅いかな。 ナオミ:葉っぱは一緒。 つこてる水が違う。 ミネラルたっぷりの天然水を使って紅茶をいれるんだよ。 お値段は100円プラス。 たまき:・・・・・・ええ〜〜と? あの、紅茶は硬水を使わないほうがいいんでしょ。 湧き水は酸素を含まないから、ジャンピングがおこらないし。 きさら:ジャンピング? たまき:お茶の葉が熱湯の中で、踊るみたいにくるくる回るのを ジャンピングって言うんです。 そうなったほうが、もっと紅茶の美味しさと香りを引き出せるんですよ。 きさら:じゃあ、どんな水を使えばいいの? たまき:普通の水道水です。 日本の水道水は大抵、軟水ですから。 きさら:なるほどね。 ナオミ:なるほどね。 たまき:これは基本ですから、どんな紅茶の本にも書いてありますけど。 ナオミ:ご近所の奥さん達には、天然水仕立ては評判いいんだけどなぁ。 ミネラル水を使ってるからヘルシーだって。 紅蘭:・・・・・・なんやなぁ。 ほなウチは普通の紅茶な。 たまき:わたしも。 ナオミ:紅茶二つっと。(かきかき) ふ〜〜んそうか〜〜、水道水のほうがいいのか〜〜。 そうだ、たぬきちゃん。紅茶に詳しいなら、厨房でわたしの煎れかた見てて、 間違ってたら直してくれる? たまき:いいけど、 わたしの名前はたまきだってば。 紅蘭:いただきま〜す。 きさら:紅蘭、そのサンドイッチ一つちょうだい。 紅蘭:ええよ。 たまき:よかったら、わたしのビスケットもどうぞ。 きさら:これ、パンじゃないの? たまき:ええ。 ナオミ:クッキーも、よかったら食べて。 たまき:どうも。 ナオミ:たまきちゃん、このあいだ一緒にいた、ショートカットの娘は元気? ほら、ヴァイパーに乗ってた。 たまき:ふうちゃん? うん。元気にやってるよ。 連休中は家族でハワイに行ってたはず。 ナオミ:へぇぇ、ハワイか。 いいわねぇ。 きさら:ヴァイパー? その、ふうって子、なにやってる子なの? たまき:・・・なにって? 学生ですよ。じょしだいせー。 きさら:・・・・・・世の中、間違ってるよな。 紅蘭。 一千万円近くするクルマに学生が乗ってるなんてさー。 あたしのビートルなんて、200万円いかないよ。 紅蘭:人は人。自分は自分やって。 たまき:え?? ヴァイパーってそんなに高いクルマだったの? ベンツよりも? 紅蘭:なんでベンツが基準やねん。 まあ高級クラスの上限は知らんけど、 その辺走ってるベンツはせいぜい5〜6百万円やろ。 たまき:へぇ〜〜〜。 知らなかったなぁ。 きさら:・・・まあ、いいや。 また一生懸命、働こうっと。 ナオミ:姐さん前向きだね。 良きカナ良きカナ。 きさら:そういうあんたは思いっきりお客の会話にまじってくつろいでるけど、 働かなくていいの? ナオミ:たまには息抜きもね。 お客も少ないしさ。 (ずずっ) う〜〜ん、確かにたまきちゃんの言う通り、 水道水で煎れたほうが、お茶はおいしい気がするわ。 きさら:高い水を使っていると聞いただけで、 おいしいと思う人もいるわけだけどね。 ナオミ:ふむふむ。・・・いいこと思い付いたよ。 お客さんに最も紅茶を美味しく感じてもらうには、 ミネラル水を使っているといっておいて、 じつは水道水で煎れてあげればいいのよね!! で、お店は100円のもうけ♪ 紅蘭:・・・・・・それは詐欺やって。 ナオミ:いや、でもバレれば詐欺だけど、 バレなければ、みんなが幸せなわけで・・・・ 紅蘭:おいおい。 たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 きさら:どうしたの、たまきちゃん。 たまき:ああ、いえ、何でも・・・。 ただちょっと、宮古さんのことを思い出しちゃって。 きさら:あいつ今ごろ、何してるかね。 今日がお通夜なんでしょ? たまき:それはまだ朝の電話ではわからないらしくて。 ダイビング中の事故で亡くなって、遺体が今朝発見されたそうです。 警察で解剖するんですって。 紅蘭:ほな、お通夜はその遺体待ちなんやな。 たまき:そうらしいよ。 亡くなった人と宮古さんは親しかったらしいから、 きっと宮古さんは今ごろツライだろうなって、ふと思っちゃって。 きさら:まあ、そうだろうね。 たまき:それなのに、わたしはそんな宮古さんのことを忘れて、 ヘラヘラ笑ってていいのかしらって思っちゃったんです〜。 きさら:笑ってていいんじゃないの? たまきちゃんは、その亡くなった人と面識があったわけじゃないんでしょ。 ミヤの辛さは、あいつ個人のモノだから、 私達にはその気持ちは共有しようがないもの。 いちいち気に掛けてたら、身が持たないよ。 たまき:わかってるんです、たぶん気にしなくてもいいって。 わかってるんですけど、でも、ちょっと思い出したりすると そっちに気持ちが引っ張られちゃって。 ・・・わたし、そういうとこあるから。 紅蘭:なぁ、たまき。 事故やゆうたけど、ダイビングって危険なんか? たまき:う〜ん、まあ、 呼吸ができないところに、タンクに入ったエアだけを頼りに行くわけだから、 危険がないっていったら嘘になるよ。 深いところに潜ると、減圧っていうのをやらないといけないから、 エアが切れたり、器具が壊れたからってすぐに浮上する訳にはいかないの。 そうしないと、血液中の窒素が気泡になって、体に障害が出るのよ。 ほかにもイロイロ、気に掛けなくちゃいけないことがたくさんあって、 大変なんだな。 ・・・・・・でも、海の中って不思議でキレイで、ちょっと怖くて、 とってもステキなの。 それに、中性浮力を保って水中を漂う感じが気持ちよくって。 やめられないよ。 紅蘭:ホンマに気をつけてな。 たまき:紅蘭、心配してくれてるの? 大丈夫だよ〜。 いつも基本に忠実に潜っているし、器具の点検もしっかりしているから。 それに、わたしは深いところよりも浅瀬の珊瑚礁のほうが好きだから、 それほど危険はないんだ。 紅蘭:それなら、 まあ、ええけど。 たまき:うふふふ。ありがと。 (つんつん) 紅蘭:人のほっぺ、つんつんすなっ! そんなこんなで、喫茶店「ラピッドストリーム」に、私達は長居してしまいました。 紅茶の煎れ方の勉強不足はあったけれども、 コーヒーや他の食べ物はなかなかおいしかったです。 たまき:ご馳走様でした〜。(カラン、カラン) 紅蘭:えらい長居してもうたなぁ。 きさら:また来るね。 ナオミ:待ってるわん。 ・・・・・・あ、そーそー。来客1万人目の記念品があるんだった。 ハイ、たまきちゃん。 大事にしてね。 たまき:わっ、なんだろう♪ ナオミ:お家に帰ってから開けてね。 じゃあね〜〜。 ・ ・ ・ 紅蘭:ただいま〜〜。 たまき:食べたばかりだから、お夕飯は9時くらいでいいよね。 紅蘭:あと3時間か。 ちょうどええな。 たまき:じゃあ、準備ができたら呼ぶからね。 紅蘭:はいな。 たまき:ふ〜〜〜。(ぱたん) くまぼぶ、CJ、ハネジロー、おーやまくん、 ただいま〜。 さてさて、プレゼントはなんなのかな? この大きさと重さは、服みたいだけど・・・・・・。 (がさがさ) お? これは・・・・・・・・ わっ、うわっ、どーしよう〜〜。 ・ ・ 紅蘭:たまき、たまき(がちゃ) 今テレビでおもろいのやってるで・・・・・・・・ たまき:あっ・・・・・・。 紅蘭:・・・・・・あ、ごめん。 紅蘭:あんた、その格好・・・・・・・・ たまき:いや、ここここれはその、あのときの記念品で、 せっかくもらったし、いっぺん着てみるのもいいかな〜〜って、 な〜〜って、思って・・・・・・・・・・・・ 紅蘭:せ・・・せやね・・・・・・。(キィ・・・ぱたん) (ドタドタドタドタドドタタドタドタ・・・・・) たまき:うう〜〜、紅蘭にハズカシイところを見られちゃった〜。 紅蘭:(がちゃ) カメラ持ってきたで。 写真撮ろう、写真。 たまき:え!?カメラを取りに行ってたの? やだ、やめてよ。 紅蘭:ええやん。せっかく可愛いの着てるんやし〜。 ほれ、ポーズポーズ。 ・・・・・・なに直立不動になってんねん。 たまき:だってぇ〜。 ・・・ホントに撮るの? 紅蘭:当り前やん。 そうやな。壁にもたれてみてぇな。 たまき:こ、こう? 紅蘭:はいはい。(プチッ) 窓のほう見てみ。(プチッ)うん。 後ろ姿も押さえとこうか。 たまき:・・・・・・はぁい。 カメラに背中向けるのって、なんだか恥ずかしいな・・・・・・。 紅蘭:そうなん?(プチッ) 振り向いてみて〜。 たまき:こうかな? 紅蘭:うんうん。(プチッ) そこに座ってみ。そうそう。(プチッ) よっしゃ、もうええやろ。 たまき:おしまい? 紅蘭:ほな、次はそれ脱いで〜。 たまき:うん・・・・・・・・ えっっ? やっ、やだよ!! 紅蘭:んも〜、ケチケチしなさんなって。 たまき:・・・・・・そんな〜〜。 紅蘭:ええやん、なぁ〜〜。 ウチにもそれ着させてぇな〜。 んで、これで写真とって。 たまき:・・・・・・あんたもかい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今日はいろんなことがあって、なんだかドタバタして、楽しい一日でした。 宮古さんから電話が掛かってきて、今日はどうだったって聞かれたとき、 そう答えたら、宮古さんは「よかったね」って言ってくれました。 宮古さんはといえば、園長さんには奥さんも親戚もいなかったため、 喪主の娘さんのかわりにお通夜を仕切ったりして大変だったそうです。 大変すぎて、悲しんでいる暇もないくらいだったって。 お疲れさまでした。 そうそう、宮古さんに、「わたしってタヌキ顔?」って聞いたら、 「・・・別に、気にすることないよ」って言われちゃいました。 ・・・お、 おやすみなさ〜い。 |