4月11日(火)曇り
今日は駅前のお菓子やさんに行って、評判のお菓子を買いました。
お菓子作りの参考になりますからね。
ついでに本屋さんに寄って雑誌を買って、
ぷらぷら歩いて帰途につきました。
・・・まあようするに、
わたし暇なの。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
たまき:ただいま〜。
・・・・・・ん?
(・・・ドタドタドタドタ)
紅蘭:た〜まきちゃんっ♪
真玄:あ〜そ〜ぼっ!
たまき:おや、真玄君遊びに来てたんだ。
いらっしゃい。
ちょうど良かった。今日、駅前でねぇ・・・・・・
紅蘭:た〜まきちゃんっ♪
たまき:・・・・・何なのよ〜、紅蘭。
紅蘭:た〜まっきちゃんっ♪
たまき:た〜まきちゃんっ・・・・・・て。
・・・・・・はぁ〜あ〜いっ。
これでいいの?
真玄:たま姉ちゃん。
かくれんぼしよう、かくれんぼ。
たまき:かくれんぼ?
真玄:今日は3人で遊ぼうと思って、ずっとたま姉ちゃんを待ってたんだよ。
紅蘭:そうなんや。
真玄がうちに遊びに来ても、3人で遊ぶことってないやんか。
たまき:そういえばそうだね・・・。
真玄君って、紅蘭と一緒にゲームしてるか、私とお話してるか、だよね。
3人でやることっていったら、テレビ見るくらい?
紅蘭:せやろ?そんでな、
ウチとあんたと真玄が一緒にできる遊びいうたら、
かくれんぼみたいな単純な遊びに落ち着くっちゅうわけやねん。
たまき:まあたしかに。
トランプとかやっても、なんだしねぇ。
紅蘭:鬼ごっこなんかやったら、足の速いあんたにかなうわけないしな。
それに真玄も・・・
真玄:かくれんぼやりたい。
僕、一度もやったことないんだよ。
たまき:ないの?
そうなんだぁ〜。
紅蘭:近所に子供少ないし、
姉貴とは年が離れてるから小さい頃にそういう遊びを
せんかったらしいんよ。
たまき:・・・そういう紅蘭は?
”かくれんぼ”なんてやったことあるの?
それとも、むこうにもかくれんぼみたいな遊びってあるのかな?
紅蘭:あるよ。
むこうのは”ツォミーカン(捉迷臧)”ゆうんや。
細かいところはちょっと違うけどな。
小さい頃はよく近所の子と遊んだもんや。
たまき:へぇ〜。
真玄:ねえ、たま姉ちゃん。
いいでしょ?かくれんぼやろう?
たまき:オッケーオッケー。
ちょっと待っててね。台所に荷物置いてくるから。
紅蘭:ほな、いくで。
じゃ〜んけん・・・・・・
真玄:ぽんっ!
たまき:あ、紅蘭の負け〜。
紅蘭:なんや、二人とも強いなぁ。
よっしゃ、こんどは負けへんで〜。
じゃ〜んけ〜ん・・・・・・
真玄:紅蘭ずるい〜。
たまき:そんな手にひっかかるもんですか。
紅蘭の、負け〜〜。
紅蘭:ちっ。
真玄:じゃあ、紅蘭がオニだね。
たまき:紅蘭、私達が「も〜い〜よ」っていったら探しはじめるんだよ。
紅蘭:それまでは、周りが見えんように壁にくっついて、
「モーイーカイ」って言い続けるんやろ?
で、最初に見つかったもんが次のオニな。
全員見つけたらゲームクリアや。
たまき:そうだよ。
じゃあ隠れよう、真玄くん。
真玄:うん。
紅蘭:そうそう、隠れる場所はこの家の中だけな。
外に出たらあかんで。
真玄:はぁ〜い
たまき:では、スタート!
紅蘭:・・・もーいーかいっ
たまき:まーだだよっ
真玄:まーだだよ
たまき:・・・うわ〜。
この掛け声、何年振りだろ〜。
なんか子供の頃に戻ったみたい。
さて、どこに隠れようかな。
真玄:たま姉ちゃ〜ん。
一緒に隠れようよ。
たまき:一緒に?
それじゃあ一緒に見つかっちゃって、
かくれんぼにならない・・・
いや、まあいいか。
(そのときは私がオニになればいいんだね)
いいよ。一緒に隠れよう。
真玄:どこがいいかな。
たまき:一緒となると、・・・ん〜〜〜。
ウォークインクローゼットくらいしかないかなぁ。
(いかにも隠れ場所っぽくて、すぐに紅蘭に見つかりそうだけど。)
真玄:ウオーク・・・?
そこ、どこ?
たまき:私の部屋の隣だよ。
紅蘭:もーいーかいっ!
真玄:まーだだよっ!
たまき:まーだだよ!
・・・あ、そうだ。
真玄:たま姉ちゃん、どうしたの?
たまき:真玄君はさきに私の部屋のドアのところで待ってて。
台所から、ちょっと持ってくるものがあるの。
真玄:うん。
たまき:ここがウォークインクローゼット。
歩いて入れる洋服ダンスだよ。
真玄:うわぁ〜。服がイッパイ。
たまき:いつのまにか、こんなに溜まっちゃったんだよね。
懐かしいな〜この服。
日記の初期の頃のだね。
今じゃ趣味が変っちゃったから、もう着ないだろうなぁ〜。
ねぇ、あの奥の方に隠れようか。
真玄:うん。
たまき:掛けてある服の隙間に入れば、まわりからは見えなくなるよ。
真玄君。ちょっと入ってみて?
(ごそごそ)
あ、全然わかんない。
真玄:ホント?
たまき:よ〜し。電気消すね。
真っ暗になるよ。
(パチン)
紅蘭:・・・もーいーかい
たまき:もーいーよ!
真玄:もーいーよー
紅蘭:ほな行くで〜!
さぁて。どこに隠れてんのやろなぁ。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
真玄:たま姉ちゃん。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
真玄:ねぇ、たま姉ちゃん。
たまき:しーーーーー。
静にしてなきゃ見つかっちゃうよ。
真玄:大丈夫だよ。
まだ紅蘭はこっちに来てないもん。
たまき:そりゃそうだけど。
真玄:・・・そっちに行っていい?
たまき:いいよ。
隣においで。
真玄:うん。(ごそごそ)
たまき:・・・そんなにくっついたら暑くなるよ?
真玄:いいの。
たまき:ふぅん。
真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:ねえ。
真玄君のあたま、なんかいい匂いがするね。
お日様に干したお布団みたいな匂いがする。
真玄:僕、干してないよ?
たまき:わかってるよ。
そんな感じの匂い〜ってこと。
なんでだろうね。
(くしゃくしゃ)
うふふふ♪
真玄:あ〜、もう。
頭、クシャクシャにしないでよ〜。
たまき:え〜、いいじゃ〜ん。
真玄君の髪の毛って、手触りいいね。
さらさら。
真玄:んも〜〜〜〜。
たまき:あ〜、ごめんね。
怒っちゃった?
真玄:おこってないけど・・・。
たまき:ごめんごめん。
ナデナデしてあげるから許して。
はい、ナデナデ〜。
真玄:たま姉ちゃんもいい匂いがする。
たまき:え?そう?
・・・今日はなにもつけてないけどなぁ。
真玄:でも、するよ。
(くんくん)
たまき:やめなよ。
外から帰ってきたばっかりだから、きっと汗臭いだけだよ。
真玄:何の匂いだろ・・・(くんくん)
たまき:や、やめてよぅ。
ねぇ、恥ずかしいから・・・・・・。
真玄:・・・・・・・・・・・ん〜とね〜。(くんくん)
わかった。
ココアみたいな匂い。
たま姉ちゃん、ココアみたいな匂いがするよ。
たまき:・・・・・・ほぇ?
ああ、そうだ。
お菓子持ってきてたんだっけ。
これの匂いかな。(かさかさ)
真玄:あ、これだ。
たまき:さっき言い損ねたんだけど、お菓子買ってきたんだよ。
駅前で評判の、美味しいやつ。
隠れながら二人で食べようと思って持ってきたの。
はい。
真玄:おいしそうな匂い。
いただきま〜す。
たまき:どうぞ、召し上がれ。
おいしい?
真玄:うん。
たまき:よかった。
じゃあ、私もいただきま〜す。 |
・
・
紅蘭:まっさか、こんな分かりやすいところにはおらんやろうな・・・。
たまき:(紅蘭が来た!)
紅蘭:電気のスイッチは・・・と。(パチッ)
あっ、み〜つけたっ!!
真玄:(びくっ)
たまき:(し〜〜。動いちゃ駄目だよ)
紅蘭:・・・・・・な〜んちゃって。
騙されて出てきたらもうけやと思ったけど、
やっぱり引っかからんか。
ほな、捜査開始や。
たまき:(かくれんぼごときで、なんて姑息な手を・・・。)
真玄:(たま姉ちゃん)
たまき:(しー。静かにってば〜)
真玄:(背中がスースーする。
いまビックリして動いた拍子に、壁に隙間ができたみたい。)
たまき:(いや〜ん。
壁、壊しちゃったの?)
真玄:(うん。ごめんなさい。)
たまき:(あああ。
いいの、いいのよ。
正直に言ってくれてありがとうね。)
紅蘭:昔はたまきも、こういうヒラヒラしてたの着てたんやなぁ。
ふ〜〜ん。少女趣味もええとこやん。
たまき:(べぇ〜〜〜、だ。
真玄君、その隙間見せて。)
真玄:(ほらここ。)
たまき:(うん?・・・なんだこれ。
開くよ?
真玄君。壊れたんじゃなくて、ここに収納スペースがあるんだよ。
こんなところにも物が入れられたんだぁ。
そうだ、真玄君。
入れそうならここに入ってみな。
紅蘭に見つからないように。)
真玄:(ええ〜?)
たまき:(引き戸も大きいね。
私も一緒に入れるかな。)
紅蘭:探し物は何ですか〜♪って、
この曲聞くとコミケを思い出すなぁ。
しかし、おらんなぁ。
こことちゃうんかな。
たまき:(2人とも入れちゃったね。)
真玄:(真っ暗だね。)
たまき:(こんなスペースがあるなんて、いままで知らなかったよ。
どのくらいの広さなのかな。
真っ暗でわかんないや。
とりあえず、立ってても天井にはぶつからないね。
奥行きは・・・80センチくらい?かな。
1mはないね。
幅は・・・・・・あれ?)
真玄:(どうしたの?)
たまき:(両手を伸ばしても反対の壁にぶつからない。
わぁ〜、ひろ〜い。
らっきー。お洋服、まだまだしまえるよ。)
紅蘭:この服は確か第2話でたまきが着てた服やな。
ここでどん詰まりか・・・・・・。
やはりクローゼットにはおらんかったか。
ん?人のいた痕跡があるな。
・・・まだ床が温かい。
真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・。
紅蘭:でも入り口は一つで、逃げ場はないしなぁ。
ウチが来る前にほかに移ったんかいな。
真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・。
紅蘭:ホンマに、どこに隠れてんのやろなぁ。
・・・よし、ほか行こ。
(・・・キィ・・・パタン)
真玄:(やっと出ていったみたい・・・・・・。)
たまき:(し〜〜〜〜。)
紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・と、
ここから出ていく振りをしたら
安心して出てくるかとも思ったけど、
まあ、ホンマにおらんのやな。
(・・・キィ・・・パタン)
たまき:(・・・紅蘭、かくれんぼを心の底から楽しんでるなぁ。)
真玄:(今度は本当に行ったみたい)
たまき:ふぅ。
真玄:いったん外に出ようね。
この戸、開けるよ。(ス・・・スス)
たまき:あ〜、紅蘭たら中の電気つけっぱなし。
でも、お蔭でこのスペースの中が見えるようになったね。
真玄:・・・たま姉ちゃん。
たまき:なぁに?
真玄:そっちの奥の方、階段があるよ?
たまき:ええ?
私が幅を計ろうとして手を伸ばしていた反対側の壁のほうは
急に傾斜していて、下に続くコンクリートの階段がありました。
もうちょっと奥に進んでいたら、転げ落ちていたかも。
危ない危ない。
たまき:・・・・・・じゃなくって、これ地下室?
知らないよ〜?こんなのあったの〜?
真玄:ここにスイッチがあるよ。
(パチッ)
電気ついた。
たまき:ええと、こっちが私の部屋で、海のほうで、
だからこの階段は陸のほう向きだね。
クローゼットの奥だから、階段を真っ直ぐ下ると・・・
紅蘭の部屋の下か。
でもなんで、こんなものが・・・。
真玄:下に何があるのかなぁ。
・・・降りてみよう?
ね?
たまき:ううううう、う〜ん。
真玄:どうしたの?
たまき:だって気味悪いじゃない。
自分の家に知らない部屋があったなんてさ〜。
真玄:たま姉ちゃんは後から来て。
僕さきに行くから。
たまき:あ、ちょっと、真玄君・・・。
真玄:大丈夫だよ〜。僕がいるから。
たまき:(あ、なんかたのもしー)
真玄君カッコイイ〜
(くしゃくしゃ)
真玄:やめてよ〜。
たまき:うふふ。
目の前にあると、ついつい。
真玄:も〜〜〜。
たまき:でもここ、ちょっとホコリっぽいね。
あら、くつした汚れちゃった。
真玄:ホントだ、足の裏がまっくろだ〜。
たまき:煤けてるんだね。
あ〜あ。これ洗濯して落ちるかなぁ。
真玄:たま姉ちゃん。
階段の下にドアがあるよ。
たまき:ほんとだ。
真玄:あけてもいいでしょ?
たまき:でも・・・このドア、何年間も誰も開けてないし、
中がどうなっているかわからないよ〜。
真玄:どうなってるかって?
たまき:例えばここを開けて、死体とか転がっていたらどうする?
何年も前に殺されて、ここに隠してあったら・・・。
このあいだ、テレビでそんなの見たの〜。
真玄:・・・・・・・・・・・・殺されてるの?
たまき:地下室の壁じゅう飛び散った血だらけで・・・・・・。
真玄:・・・・・・・・・・・・血だらけ?
たまき:びしゃ〜〜って。
真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・。(ごくり)
(・・・自分で言ってて怖くなってきちゃった)
真玄:じゃあ開けるよ。(ガチャ)
たまき:えっ!?
キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
真玄:!?
わぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
紅蘭:どこに隠れてんのかなぁ。
もういそうなところは全部探したで。
(・・・ドタドタドタドタドタドタ)
・・・ん?なんや??
たまき:こうらんこうら〜ん!
真玄:わぁ〜〜〜〜〜っ!
紅蘭:たまきみっつけた。
真玄もみつけたで。
真玄:紅蘭怖かったよ〜〜。
たまき:こうらんたいへんちかしつがちかしつが〜〜〜\(>0<;)/
紅蘭:ほな次は、先に見つかったたまきがオニやな。
ウチと真玄は隠れるさかい。
たまき:それどころじゃなくてこうらんこうらん!\(◎o◎;)/
紅蘭:ここで壁の方向いて、モーイーカイやで。
たまき:こうらんこうらん!
紅蘭:真玄、行こうか。
たまき:ちょっとこうらんてばひとのはなしきいて!\(T▽T)ギュ〜〜〜ッ
紅蘭:いててててててててててててててててっ!
みみみみみみみみみみみみみみぃ〜〜!
耳痛いって〜!
なにすんねん!
どないしてん!?
たまき:か、かっくかくしかじかぁ〜!\(@O@;)/
紅蘭:・・・・・・ちょっと落ち着けって。
紅蘭:地下室?
キッチンわきの地下倉庫やのうて?
真玄:ほかにも地下室があるの?
紅蘭:小さな倉庫みたいなもんが、キッチンわきにあんねん。
たまき:まだ中を見てないから地下室かどうかわからないけど。
そういうこと。
紅蘭:知らんかったなぁ。
それで、なんで逃げ帰ってきてん?
たまき:だって〜。
真玄:僕がドアを開けようとしたら、
たま姉ちゃんが急に「きゃーーっ」って悲鳴を上げたから・・・
たまき:真玄君が急にドアを開けるからビックリしたんだもん。
で、真玄君も「わーっ」って驚いたから、
てっきり何か怖いものを見たんだと思って〜。
真玄:なにも見てないよ。
中は真っ暗だったもん。
たまき:なんだ〜、そうだったんだ。
あ〜〜〜、びっくりした。
まだドキドキしてるよ。
真玄:ビックリしたのは僕の方だよ〜。
紅蘭:真玄、逃げてきたとき半泣きやったもんな。
真玄:もー。(ぼすっ)
紅蘭:痛い痛いあはは。
それでどうする?
ほっとくわけにもいかんやろ。
3人で見に行こうか。
たまき:でも〜〜・・・。
紅蘭:大丈夫やって。
昔から言うやろ?
3人寄れば百万パワーって。
たまき:・・・聞いたことないけど。
たまき:ね、ここ開くでしょ?
紅蘭:へぇぇ〜〜。
クローゼットの奥にこ〜んな入り口があってんな。
これはビックリ。
たまき:ここで靴を履いていこう。
階段のところは床がキタナイの。
はい、真玄君の靴。
真玄:ありがとう。
紅蘭:それにしても、クローゼット奥のこの入り口、
越してきて、初めて来たときに気が付かんかったんか?
たまき:あると思えば分かりやすい気もするけどね。
初めてのときは、もうウォークインクローゼットがあるのが嬉しくて
もうどっかんどっかん奥の方から服を掛けちゃったから。
紅蘭:いらい、1年半もそのままやってんな。
どれどれ、中はどんな感じ?
・・・ふ〜む。
確かに、この階段は薄暗くて不気味やね。
たまき:でしょでしょ。
紅蘭:なんかこう、重苦しいものを感じるな。
なにかがいる気配みたいなもんかなぁ。
たまき:でしょでしょ・・・・・・
えっ、
そそ、そうなの?
紅蘭:・・・・・・順番はどうする?
ウチが先頭で、真玄が2番で、たまきが最後でええか?
真玄:いいよ。
たまき:(こくこくこくこく)
紅蘭:ほな、しゅっぱーつ!
階段降りるで。(こつこつこつこつ・・・)
真玄:うん。(こつこつこつこつ・・・)
たまきああん、待って・・・
(こつこつこつこつ・・・)
紅蘭:・・・ん?
たまき:どうしたの、紅蘭。
急に止まらないでよ。
紅蘭:・・・・・・たまき?
たまき:なあに?
紅蘭:今、あんたの後ろで
もう一人分の足音、
せえへんかった?
たまき:わ、わたしの・・・
うしろ?
紅蘭:うん。いまたしかにあんたの後ろで・・・
気のせいやと思うけど。
たまき:(キョロキョロ)
・・・誰もいないよ?
私達の足音の反響じゃないのかな。
紅蘭:そんなはずないわ。だって・・・
いや、やっぱりウチの気のせいやろ。
気にせんといて。
たまき:・・・いるわけないじゃん。・・・誰も。
(こつこつこつこつ・・・)
紅蘭:またや。
今確かにあんたの後ろで、
・・・・・・ペタッ、・・・ペタッ、・・・ぺタッって裸足の足音が・・・
たまき:は、はだし?
紅蘭:たたた、たまき、
後ろ、見てみい!!
その血まみれの女、誰や!?
たまき:ええ??
紅蘭:あんたを睨みつけてる、その・・・
うわぁあああああああっ!!
たまき:きゃああああああああああっ!
真玄:あー、もううるさいなぁ。
たまき:や〜〜ん。助けて〜。
真玄:たま姉ちゃん、誰もいないよ。
紅蘭:真玄、冷静やな。
真玄:ここもう慣れちゃった。
僕はいいけど、たま姉ちゃんが・・・
たまき:うええええええええええん
紅蘭:うそうそ、ダイジョブやって。
もう、たまきったら怖がらせがいあるなぁ。
たまき:こうらんの、ぶわかぁ〜〜〜。
うう〜〜〜
紅蘭:ほな、ドア開けるで。
真玄。懐中電灯かして。
真玄:はい。
紅蘭:この状況、ちょっとバイオハザードみたいやな。
よいしょっと。(がちゃり)
・・・・・・ふぅ〜〜む。
真玄:何か、ある?
たまき:・・・大丈夫?こうらん。
紅蘭:ああ、あった。
照明のスイッチや。
(パチリ)
ふん。2人とも見てみい。
真玄:なんにも、ないね。
紅蘭:当り前やろ。
広さは6畳くらいかな。
換気扇と排水溝もあるな。
防音良さそうやからカラオケルームにもってこいや。
もっとも、この近所はほかに家ないから、騒音を気にすることないんやけど。
まあ、結局は倉庫に使うしか・・・?
たまき:ほんとぅ?
真玄:たま姉ちゃん、ほら。
たまき:なんにもない・・・。
な〜〜んだぁ。怖がって損した。
紅蘭:ほんまやなぁ。
たまき:紅蘭が驚かしたんでしょ〜。
紅蘭:ごめんごめん。
ほら、中に入ろう。
たまき:うん。
紅蘭:どや?
たまき:天井が低いから狭苦しく感じるけど、物置に使えば・・・
(パチリ)
きゃあああああ!
やだ、やだ、なんで電気消すの?
スイッチどこ?紅蘭!スイッチは?
電気つけて〜〜〜。
ね〜〜〜〜お願いだからぁ〜〜〜。
紅蘭:プフフッ。(笑)
|
(パチリ)
紅蘭:暗くなったくらいで、そないに怖がらんでもええやん。
たまき:・・・・・・はぁ〜〜〜。
もう〜やめてよ。
真玄:紅蘭!たま姉ちゃんが可哀相だよ。
紅蘭:だって、おもろいんやも〜ん。
たまき:まくろく〜〜ん
こうらんがいじめるの〜〜。
(ひしっ)
真玄:たっ、たまねえちゃん・・・!?
たまき:紅蘭なんか呼ばずに、ふたりで探検したほうが良かったね。
真玄:そそ、そうだね。
紅蘭:わかったわかった。
ちょっと調子に乗りすぎたわ。
もうしません。
たまき:ホント?
じゃあその、電気のスイッチにかけた指を離しなさいよ。
紅蘭:はいはい。
それにしても、うちの部屋の真下にこんな部屋があったなんてなぁ。
夢にも思わんかったな。
たまき:・・・そだね。
まあ、せっかくあるんだから有効に使おうよ。
物置にする?二人で半分ずつ使うの。
紅蘭:それもええけど、・・・なんかなぁ。
もうちょっと考えよう。
ただ倉庫に使うなんて、もったいない気がするんよ。
たまき:もったいないって?
紅蘭:例えば〜、せやね。
・・・水を張ってプールにするとか。
たまき:プール?
それステキじゃ〜ん。
紅蘭:いや〜〜〜、・・・でもあかんやろ。
壁にコンセントあるから、ウカツに水張れへんし、
それを何とかしても、あの排水穴がどこに通じてるかもわからんし。
外にそのまま排水するようやったらマズイやろ?
それに水道代かてばかにならんよ。きっと。
たまき:そっか〜〜。
そうだね。
つまんないの。
紅蘭:例えばやから。
せやから、もうちょっと考えようってゆうてるやん。
地下室は逃げへんて。
たまき:わかった。
紅蘭:・・・ほな、上に行こうか。
たまき:じゃあ、かくれんぼの続きしよう。
真玄君、行こう。
真玄:う、うん。
たまき:そうだ。
紅蘭、もう一回オニだよ。
紅蘭:ええ〜〜?
またうちが?
たまき:まだ見つかったわけじゃないもん。
さっきのは非常事態だったんだから。
ね〜、真玄君。
真玄:そうだよ。
紅蘭:なんや、ふたりしてチーム組んで。
まぁ、ええけど。
紅蘭:ほなしきり直しや。
行くで。
・・・もーいーかい。
たまき:まーだだよ
真玄:まーだだよ
真玄:・・・今度はどこに隠れるの?
たまき:真玄君、こっちこっち。
真玄:え?
またクローゼット?
たまき:そう。地下室。
真玄:隠れる場所ないもん。
すぐに見つかっちゃうよう?
たまき:2人で地下室に隠れてて、探しに来た紅蘭を「わっ!」って脅かすの。
いっぺん紅蘭を怖がらせないと、私の気がすまないもん!G(T^T)
真玄:たま姉ちゃんって・・・・・・・・・
たまき:ん?
私が、なあに?
真玄:・・・・・しゅうねんぶかいんだね。
たまき:あら?
そうかしら・・・・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
真玄君が帰ったあとで、賃貸契約のときの書類を見たら
地下室のことはちゃんと書いてありました。
「10畳洋間2部屋、DK、地下室あり、バス付き」
てっきりキッチンわきの地下倉庫がこの「地下室」だと思って、
大家さんに聞きもしなかったんですね。
ホントは別にあったわけです。
でも、そうかぁ。
1年半ものあいだ、使いもしない部屋の分まで家賃を払っていたのね・・・。
あ、もう寝よう。
おやすみなさい。
|