4月11日(火)曇り

今日は駅前のお菓子やさんに行って、評判のお菓子を買いました。
お菓子作りの参考になりますからね。
ついでに本屋さんに寄って雑誌を買って、
ぷらぷら歩いて帰途につきました。
・・・まあようするに、
わたし暇なの。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

たまき:ただいま〜。
    ・・・・・・ん?
    (・・・ドタドタドタドタ)
 紅蘭:た〜まきちゃんっ♪
 真玄:あ〜そ〜ぼっ!
たまき:おや、真玄君遊びに来てたんだ。
    いらっしゃい。
    ちょうど良かった。今日、駅前でねぇ・・・・・・
 紅蘭:た〜まきちゃんっ♪
たまき:・・・・・何なのよ〜、紅蘭。
 紅蘭:た〜まっきちゃんっ♪
たまき:た〜まきちゃんっ・・・・・・て。
    ・・・・・・
はぁ〜あ〜いっ。
    これでいいの?

あっそびましょ〜!

 真玄:たま姉ちゃん。
    かくれんぼしよう、かくれんぼ。

たまき:かくれんぼ?
 真玄:今日は3人で遊ぼうと思って、ずっとたま姉ちゃんを待ってたんだよ。
 紅蘭:そうなんや。
    真玄がうちに遊びに来ても、3人で遊ぶことってないやんか。
たまき:そういえばそうだね・・・。
    真玄君って、紅蘭と一緒にゲームしてるか、私とお話してるか、だよね。
    3人でやることっていったら、テレビ見るくらい?
 紅蘭:せやろ?そんでな、
    ウチとあんたと真玄が一緒にできる遊びいうたら、
    かくれんぼみたいな単純な遊びに落ち着くっちゅうわけやねん。
たまき:まあたしかに。
    トランプとかやっても、なんだしねぇ。
 紅蘭:鬼ごっこなんかやったら、足の速いあんたにかなうわけないしな。
    それに真玄も・・・
 真玄:かくれんぼやりたい。
    僕、一度もやったことないんだよ。
たまき:ないの?
    そうなんだぁ〜。
 紅蘭:近所に子供少ないし、
    姉貴とは年が離れてるから小さい頃にそういう遊びを
    せんかったらしいんよ。
たまき:・・・そういう紅蘭は?
    ”かくれんぼ”なんてやったことあるの?
    それとも、むこうにもかくれんぼみたいな遊びってあるのかな?
 紅蘭:あるよ。
    むこうのは”ツォミーカン(捉迷臧)”ゆうんや。
    細かいところはちょっと違うけどな。
    小さい頃はよく近所の子と遊んだもんや。
たまき:へぇ〜。
 真玄:ねえ、たま姉ちゃん。
    いいでしょ?かくれんぼやろう?
たまき:オッケーオッケー。
    ちょっと待っててね。台所に荷物置いてくるから。

 紅蘭:ほな、いくで。
    じゃ〜んけん・・・・・・
 真玄:ぽんっ!
たまき:あ、紅蘭の負け〜。
 紅蘭:なんや、二人とも強いなぁ。
    よっしゃ、こんどは負けへんで〜。
    じゃ〜んけ〜ん・・・・・・
 真玄:紅蘭ずるい〜。
たまき:そんな手にひっかかるもんですか。
    紅蘭の、負け〜〜。
 紅蘭:ちっ。
 真玄:じゃあ、紅蘭がオニだね。
たまき:紅蘭、私達が「も〜い〜よ」っていったら探しはじめるんだよ。
 紅蘭:それまでは、周りが見えんように壁にくっついて、
    「モーイーカイ」って言い続けるんやろ?
    で、最初に見つかったもんが次のオニな。
    全員見つけたらゲームクリアや。
たまき:そうだよ。
    じゃあ隠れよう、真玄くん。
 真玄:うん。
 紅蘭:そうそう、隠れる場所はこの家の中だけな。
    外に出たらあかんで。
 真玄:はぁ〜い
たまき:では、スタート!

 紅蘭:・・・もーいーかいっ
たまき:まーだだよっ
 真玄:まーだだよ
たまき:・・・うわ〜。
    この掛け声、何年振りだろ〜。
    なんか子供の頃に戻ったみたい。
    さて、どこに隠れようかな。
 真玄:たま姉ちゃ〜ん。
    一緒に隠れようよ。
たまき:一緒に?
    それじゃあ一緒に見つかっちゃって、
    かくれんぼにならない・・・
    いや、まあいいか。
    (そのときは私がオニになればいいんだね)
    いいよ。一緒に隠れよう。
 真玄:どこがいいかな。
たまき:一緒となると、・・・ん〜〜〜。
    ウォークインクローゼットくらいしかないかなぁ。
    (いかにも隠れ場所っぽくて、すぐに紅蘭に見つかりそうだけど。)
 真玄:ウオーク・・・?
    そこ、どこ?
たまき:私の部屋の隣だよ。
 紅蘭:もーいーかいっ!
 真玄:まーだだよっ!
たまき:まーだだよ!
    ・・・あ、そうだ。
 真玄:たま姉ちゃん、どうしたの?
たまき:真玄君はさきに私の部屋のドアのところで待ってて。
    台所から、ちょっと持ってくるものがあるの。
 真玄:うん。


たまき:ここがウォークインクローゼット。
    歩いて入れる洋服ダンスだよ。
 真玄:うわぁ〜。服がイッパイ。

ウォークインクローゼット

たまき:いつのまにか、こんなに溜まっちゃったんだよね。
    懐かしいな〜この服。
    日記の初期の頃のだね。
    今じゃ趣味が変っちゃったから、もう着ないだろうなぁ〜。
    ねぇ、あの奥の方に隠れようか。
 真玄:うん。
たまき:掛けてある服の隙間に入れば、まわりからは見えなくなるよ。
    真玄君。ちょっと入ってみて?
    (ごそごそ)
    あ、全然わかんない。
 真玄:ホント?
たまき:よ〜し。電気消すね。
    真っ暗になるよ。
    (パチン)

 紅蘭:・・・もーいーかい
たまき:もーいーよ!
 真玄:もーいーよー
 紅蘭:ほな行くで〜!
    さぁて。どこに隠れてんのやろなぁ。

たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 真玄:たま姉ちゃん。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 真玄:ねぇ、たま姉ちゃん。
たまき:しーーーーー。
    静にしてなきゃ見つかっちゃうよ。

 真玄:大丈夫だよ。
    まだ紅蘭はこっちに来てないもん。

たまき:そりゃそうだけど。
 真玄:・・・そっちに行っていい?
たまき:いいよ。
    隣においで。

 真玄:うん。(ごそごそ)

かくれ中

たまき:・・・そんなにくっついたら暑くなるよ?
 真玄:いいの。
たまき:ふぅん。
 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:ねえ。
    真玄君のあたま、なんかいい匂いがするね。
    お日様に干したお布団みたいな匂いがする。
 真玄:僕、干してないよ?
たまき:わかってるよ。
    そんな感じの匂い〜ってこと。
    なんでだろうね。
    (くしゃくしゃ)
    うふふふ♪
 真玄:あ〜、もう。
    頭、クシャクシャにしないでよ〜。
たまき:え〜、いいじゃ〜ん。
    真玄君の髪の毛って、手触りいいね。
    さらさら。
 真玄:んも〜〜〜〜。
たまき:あ〜、ごめんね。
    怒っちゃった?
 真玄:おこってないけど・・・。
たまき:ごめんごめん。
    ナデナデしてあげるから許して。
    はい、ナデナデ〜。
 真玄:たま姉ちゃんもいい匂いがする。
たまき:え?そう?
    ・・・今日はなにもつけてないけどなぁ。
 真玄:でも、するよ。
    (くんくん)
たまき:やめなよ。
    外から帰ってきたばっかりだから、きっと汗臭いだけだよ。

 真玄:何の匂いだろ・・・(くんくん)
たまき:や、やめてよぅ。
    ねぇ、恥ずかしいから・・・・・・。
 真玄:・・・・・・・・・・・ん〜とね〜。(くんくん)
    わかった。
    ココアみたいな匂い。
    たま姉ちゃん、ココアみたいな匂いがするよ。
たまき:・・・・・・ほぇ?
    ああ、そうだ。
    お菓子持ってきてたんだっけ。
    これの匂いかな。(かさかさ)
 真玄:あ、これだ。
たまき:さっき言い損ねたんだけど、お菓子買ってきたんだよ。
    駅前で評判の、美味しいやつ。
    隠れながら二人で食べようと思って持ってきたの。
    はい。
 真玄:おいしそうな匂い。
    いただきま〜す。    
たまき:どうぞ、召し上がれ。
    おいしい?
 真玄:うん。
たまき:よかった。
    じゃあ、私もいただきま〜す。

          ・
          ・
 紅蘭:まっさか、こんな分かりやすいところにはおらんやろうな・・・。
たまき:(紅蘭が来た!)
 紅蘭:電気のスイッチは・・・と。(パチッ)
    
あっ、み〜つけたっ!!
 真玄:(びくっ)
たまき:(し〜〜。動いちゃ駄目だよ)
 紅蘭:・・・・・・な〜んちゃって。
    騙されて出てきたらもうけやと思ったけど、
    やっぱり引っかからんか。
    ほな、捜査開始や。

たまき:(かくれんぼごときで、なんて姑息な手を・・・。)
 真玄:(たま姉ちゃん)
たまき:(しー。静かにってば〜)
 真玄:(背中がスースーする。
     いまビックリして動いた拍子に、壁に隙間ができたみたい。)
たまき:(いや〜ん。
     壁、壊しちゃったの?)
 真玄:(うん。ごめんなさい。)
たまき:(あああ。
     いいの、いいのよ。
     正直に言ってくれてありがとうね。)

 紅蘭:昔はたまきも、こういうヒラヒラしてたの着てたんやなぁ。
    ふ〜〜ん。少女趣味もええとこやん。

たまき:(べぇ〜〜〜、だ。
     真玄君、その隙間見せて。)
 真玄:(ほらここ。)
たまき:(うん?・・・なんだこれ。
     開くよ?
     真玄君。壊れたんじゃなくて、ここに収納スペースがあるんだよ。
     こんなところにも物が入れられたんだぁ。
     そうだ、真玄君。
     入れそうならここに入ってみな。
     紅蘭に見つからないように。)
 真玄:(ええ〜?)
たまき:(引き戸も大きいね。
     私も一緒に入れるかな。)

 紅蘭:探し物は何ですか〜♪って、
    この曲聞くとコミケを思い出すなぁ。
    しかし、おらんなぁ。
    こことちゃうんかな。

たまき:(2人とも入れちゃったね。)
 真玄:(真っ暗だね。)
たまき:(こんなスペースがあるなんて、いままで知らなかったよ。
     どのくらいの広さなのかな。
     真っ暗でわかんないや。
     とりあえず、立ってても天井にはぶつからないね。
     奥行きは・・・80センチくらい?かな。
     1mはないね。
     幅は・・・・・・あれ?)
 真玄:(どうしたの?)
たまき:(両手を伸ばしても反対の壁にぶつからない。
     わぁ〜、ひろ〜い。
     らっきー。お洋服、まだまだしまえるよ。)

 紅蘭:この服は確か第2話でたまきが着てた服やな。
    ここでどん詰まりか・・・・・・。
    やはりクローゼットにはおらんかったか。
    ん?人のいた痕跡があるな。
    ・・・まだ床が温かい。

 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・。

 紅蘭:でも入り口は一つで、逃げ場はないしなぁ。
    ウチが来る前にほかに移ったんかいな。

 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・。
 紅蘭:ホンマに、どこに隠れてんのやろなぁ。
    ・・・よし、ほか行こ。
    (・・・キィ・・・パタン)
 真玄:(やっと出ていったみたい・・・・・・。)
たまき:(し〜〜〜〜。)

 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・と、
    ここから出ていく振りをしたら
    安心して出てくるかとも思ったけど、
    まあ、ホンマにおらんのやな。
    (・・・キィ・・・パタン)
たまき:(・・・紅蘭、かくれんぼを心の底から楽しんでるなぁ。)
 真玄:(今度は本当に行ったみたい)
たまき:ふぅ。
 真玄:いったん外に出ようね。
    この戸、開けるよ。
(ス・・・スス)
たまき:あ〜、紅蘭たら中の電気つけっぱなし。
    でも、お蔭でこのスペースの中が見えるようになったね。
 真玄:・・・たま姉ちゃん。
たまき:なぁに?
 真玄:そっちの奥の方、階段があるよ?
たまき:ええ?

私が幅を計ろうとして手を伸ばしていた反対側の壁のほうは
急に傾斜していて、下に続くコンクリートの階段がありました。
もうちょっと奥に進んでいたら、転げ落ちていたかも。
危ない危ない。

たまき:・・・・・・じゃなくって、これ地下室?
    知らないよ〜?こんなのあったの〜?
 真玄:ここにスイッチがあるよ。
    (パチッ)
    電気ついた。

地下への階段

たまき:ええと、こっちが私の部屋で、海のほうで、
    だからこの階段は陸のほう向きだね。
    クローゼットの奥だから、階段を真っ直ぐ下ると・・・
    紅蘭の部屋の下か。
    でもなんで、こんなものが・・・。
 真玄:下に何があるのかなぁ。
    ・・・降りてみよう?
    ね?
たまき:ううううう、う〜ん。
 真玄:どうしたの?
たまき:だって気味悪いじゃない。
    自分の家に知らない部屋があったなんてさ〜。
 真玄:たま姉ちゃんは後から来て。
    僕さきに行くから。
たまき:あ、ちょっと、真玄君・・・。
 真玄:大丈夫だよ〜。僕がいるから。
たまき:(あ、なんかたのもしー)
    真玄君カッコイイ〜
    (くしゃくしゃ)
 真玄:やめてよ〜。
たまき:うふふ。
    目の前にあると、ついつい。
 真玄:も〜〜〜。
たまき:でもここ、ちょっとホコリっぽいね。
    あら、くつした汚れちゃった。
 真玄:ホントだ、足の裏がまっくろだ〜。
たまき:煤けてるんだね。
    あ〜あ。これ洗濯して落ちるかなぁ。

 真玄:たま姉ちゃん。
    階段の下にドアがあるよ。
たまき:ほんとだ。
 真玄:あけてもいいでしょ?

ドア

たまき:でも・・・このドア、何年間も誰も開けてないし、
    中がどうなっているかわからないよ〜。
 真玄:どうなってるかって?
たまき:例えばここを開けて、死体とか転がっていたらどうする?
    何年も前に殺されて、ここに隠してあったら・・・。
    このあいだ、テレビでそんなの見たの〜。
 真玄:・・・・・・・・・・・・殺されてるの?
たまき:地下室の壁じゅう飛び散った血だらけで・・・・・・。
 真玄:・・・・・・・・・・・・血だらけ?
たまき:びしゃ〜〜って。
 真玄:・・・・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・・・・・。(ごくり)
    (・・・自分で言ってて怖くなってきちゃった)
 真玄:じゃあ開けるよ。(ガチャ)
たまき:えっ!?
    
キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
 真玄:!?
    
わぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!


 紅蘭:どこに隠れてんのかなぁ。
    もういそうなところは全部探したで。
    (・・・ドタドタドタドタドタドタ)
    ・・・ん?なんや??
たまき:こうらんこうら〜ん!
 真玄:わぁ〜〜〜〜〜っ!
 紅蘭:たまきみっつけた。
    真玄もみつけたで。
 真玄:紅蘭怖かったよ〜〜。
たまき:こうらんたいへんちかしつがちかしつが〜〜〜\(>0<;)/
 紅蘭:ほな次は、先に見つかったたまきがオニやな。
    ウチと真玄は隠れるさかい。
たまき:それどころじゃなくてこうらんこうらん!\(◎o◎;)/
 紅蘭:ここで壁の方向いて、モーイーカイやで。
たまき:こうらんこうらん!
 紅蘭:真玄、行こうか。
たまき:ちょっとこうらんてばひとのはなしきいて!\(T▽T)ギュ〜〜〜ッ
 紅蘭:いててててててててててててててててっ!
    みみ
みみみみみみみみみみみみぃ〜〜!
    
耳痛いって〜!
    なにすんねん!
    どないしてん!?
たまき:か、かっくかくしかじかぁ〜!\(@O@;)/
 紅蘭:・・・・・・ちょっと落ち着けって。

かくかくしかじか

 紅蘭:地下室?
    キッチンわきの地下倉庫やのうて?
 真玄:ほかにも地下室があるの?
 紅蘭:小さな倉庫みたいなもんが、キッチンわきにあんねん。
たまき:まだ中を見てないから地下室かどうかわからないけど。
    そういうこと。
 紅蘭:知らんかったなぁ。
    それで、なんで逃げ帰ってきてん?
たまき:だって〜。
 真玄:僕がドアを開けようとしたら、
    たま姉ちゃんが急に
「きゃーーっ」って悲鳴を上げたから・・・
たまき:真玄君が急にドアを開けるからビックリしたんだもん。
    で、真玄君も「
わーっ」って驚いたから、
    てっきり何か怖いものを見たんだと思って〜。
 真玄:なにも見てないよ。
    中は真っ暗だったもん。
たまき:なんだ〜、そうだったんだ。
    あ〜〜〜、びっくりした。
    まだドキドキしてるよ。
 真玄:ビックリしたのは僕の方だよ〜。
 紅蘭:真玄、逃げてきたとき半泣きやったもんな。
 真玄:もー。(ぼすっ)
 紅蘭:痛い痛いあはは。
    それでどうする?
    ほっとくわけにもいかんやろ。
    3人で見に行こうか。
たまき:でも〜〜・・・。
 紅蘭:大丈夫やって。
    昔から言うやろ?
    3人寄れば百万パワーって。
たまき:・・・聞いたことないけど。


たまき:ね、ここ開くでしょ?
 紅蘭:へぇぇ〜〜。
    クローゼットの奥にこ〜んな入り口があってんな。
    これはビックリ。
たまき:ここで靴を履いていこう。
    階段のところは床がキタナイの。
    はい、真玄君の靴。
 真玄:ありがとう。
 紅蘭:それにしても、クローゼット奥のこの入り口、
    越してきて、初めて来たときに気が付かんかったんか?
たまき:あると思えば分かりやすい気もするけどね。
    初めてのときは、もうウォークインクローゼットがあるのが嬉しくて
    もうどっかんどっかん奥の方から服を掛けちゃったから。
 紅蘭:いらい、1年半もそのままやってんな。
    どれどれ、中はどんな感じ?
    ・・・ふ〜む。
    確かに、この階段は薄暗くて不気味やね。
たまき:でしょでしょ。
 紅蘭:なんかこう、重苦しいものを感じるな。
    なにかがいる気配みたいなもんかなぁ。
たまき:でしょでしょ・・・・・・
    えっ、
    そそ、そうなの?
 紅蘭:・・・・・・順番はどうする?
    ウチが先頭で、真玄が2番で、たまきが最後でええか?
 真玄:いいよ。
たまき:(こくこくこくこく)
 紅蘭:ほな、しゅっぱーつ!
    階段降りるで。
(こつこつこつこつ・・・)
 真玄:うん。(こつこつこつこつ・・・)
たまきああん、待って・・・
    (こつこつこつこつ・・・)

 紅蘭:・・・ん?
たまき:どうしたの、紅蘭。
    急に止まらないでよ。
 紅蘭:・・・・・・たまき?
たまき:なあに?
 紅蘭:今、あんたの後ろで
    もう一人分の足音、
    せえへんかった?
たまき:わ、わたしの・・・
    うしろ?
 紅蘭:うん。いまたしかにあんたの後ろで・・・
    気のせいやと思うけど。
たまき:(キョロキョロ)
    ・・・誰もいないよ?

    私達の足音の反響じゃないのかな。
 紅蘭:そんなはずないわ。だって・・・
    いや、やっぱりウチの気のせいやろ。
    気にせんといて。
たまき:・・・いるわけないじゃん。・・・誰も。
    (こつこつこつこつ・・・)
 紅蘭:またや。
    今確かにあんたの後ろで、
    
・・・・・・ペタッ、・・・ペタッ、・・・ぺタッって裸足の足音が・・・
たまき:は、はだし?
 紅蘭:たたた、たまき
    
後ろ、見てみい!!
    
その血まみれの女、誰や!?
たまき:ええ??
 紅蘭:あんたを睨みつけてる、その・・・
    
うわぁあああああああっ!!
たまき:きゃああああああああああっ!

 真玄:あー、もううるさいなぁ。
たまき:や〜〜ん。助けて〜。
 真玄:たま姉ちゃん、誰もいないよ。
 紅蘭:真玄、冷静やな。
 真玄:ここもう慣れちゃった。
    僕はいいけど、たま姉ちゃんが・・・
たまき:うええええええええええん
 紅蘭:うそうそ、ダイジョブやって。
    もう、たまきったら怖がらせがいあるなぁ。
たまき:こうらんの、ぶわかぁ〜〜〜。
    うう〜〜〜
 紅蘭:ほな、ドア開けるで。
    真玄。懐中電灯かして。
 真玄:はい。
 紅蘭:この状況、ちょっとバイオハザードみたいやな。
    よいしょっと。
(がちゃり)
    ・・・・・・ふぅ〜〜む。 
 真玄:何か、ある?
たまき:・・・大丈夫?こうらん。
 紅蘭:ああ、あった。
    照明のスイッチや。
    (パチリ)
    ふん。2人とも見てみい。
 真玄:なんにも、ないね。
 紅蘭:当り前やろ。
    広さは6畳くらいかな。
    換気扇と排水溝もあるな。
    防音良さそうやからカラオケルームにもってこいや。
    もっとも、この近所はほかに家ないから、騒音を気にすることないんやけど。
    まあ、結局は倉庫に使うしか・・・?
たまき:ほんとぅ?
 真玄:たま姉ちゃん、ほら。



たまき:なんにもない・・・。
    な〜〜んだぁ。怖がって損した。
 紅蘭:ほんまやなぁ。
たまき:紅蘭が驚かしたんでしょ〜。
 紅蘭:ごめんごめん。
    ほら、中に入ろう。
たまき:うん。
 紅蘭:どや?
たまき:天井が低いから狭苦しく感じるけど、物置に使えば・・・
    (パチリ)
    きゃあああああ!
    
やだ、やだ、なんで電気消すの?
    
スイッチどこ?紅蘭!スイッチは?
    
電気つけて〜〜〜。
    ね〜〜〜〜お願いだからぁ〜〜〜。

 紅蘭:プフフッ。(笑)
    (パチリ)
 紅蘭:暗くなったくらいで、そないに怖がらんでもええやん。
たまき:・・・・・・はぁ〜〜〜。
    もう〜やめてよ。
 真玄:紅蘭!たま姉ちゃんが可哀相だよ。
 紅蘭:だって、おもろいんやも〜ん。
たまき:まくろく〜〜ん
    こうらんがいじめるの〜〜。
    (ひしっ)
 真玄:たっ、たまねえちゃん・・・!?
たまき:紅蘭なんか呼ばずに、ふたりで探検したほうが良かったね。
 真玄:そそ、そうだね。
 紅蘭:わかったわかった。
    ちょっと調子に乗りすぎたわ。
    もうしません。
たまき:ホント?
    じゃあその、電気のスイッチにかけた指を離しなさいよ。
 紅蘭:はいはい。
    それにしても、うちの部屋の真下にこんな部屋があったなんてなぁ。
    夢にも思わんかったな。
たまき:・・・そだね。
    まあ、せっかくあるんだから有効に使おうよ。
    物置にする?二人で半分ずつ使うの。
 紅蘭:それもええけど、・・・なんかなぁ。
    もうちょっと考えよう。
    ただ倉庫に使うなんて、もったいない気がするんよ。
たまき:もったいないって?
 紅蘭:例えば〜、せやね。
    ・・・水を張ってプールにするとか。
たまき:プール?
    それステキじゃ〜ん。
 紅蘭:いや〜〜〜、・・・でもあかんやろ。
    壁にコンセントあるから、ウカツに水張れへんし、
    それを何とかしても、あの排水穴がどこに通じてるかもわからんし。
    外にそのまま排水するようやったらマズイやろ?
    それに水道代かてばかにならんよ。きっと。
たまき:そっか〜〜。
    そうだね。
    つまんないの。
 紅蘭:例えばやから。
    せやから、もうちょっと考えようってゆうてるやん。
    地下室は逃げへんて。
たまき:わかった。
 紅蘭:・・・ほな、上に行こうか。
たまき:じゃあ、かくれんぼの続きしよう。
    真玄君、行こう。
 真玄:う、うん。
たまき:そうだ。
    紅蘭、もう一回オニだよ。
 紅蘭:ええ〜〜?
    またうちが?
たまき:まだ見つかったわけじゃないもん。
    さっきのは非常事態だったんだから。
    ね〜、真玄君。
 真玄:そうだよ。
 紅蘭:なんや、ふたりしてチーム組んで。
    まぁ、ええけど。


 紅蘭:ほなしきり直しや。
    行くで。
    ・・・もーいーかい。
たまき:まーだだよ
 真玄:まーだだよ

 真玄:・・・今度はどこに隠れるの?
たまき:真玄君、こっちこっち。
 真玄:え?
    またクローゼット?
たまき:そう。地下室。
 真玄:隠れる場所ないもん。
    すぐに見つかっちゃうよう?
たまき:2人で地下室に隠れてて、探しに来た紅蘭を「わっ!」って脅かすの。
    いっぺん紅蘭を怖がらせないと、私の気がすまないもん!G(T^T)
 真玄:たま姉ちゃんって・・・・・・・・・
たまき:ん?
    私が、なあに?
 真玄:・・・・・しゅうねんぶかいんだね。
たまき:あら?
    そうかしら・・・・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

真玄君が帰ったあとで、賃貸契約のときの書類を見たら
地下室のことはちゃんと書いてありました。
「10畳洋間2部屋、DK、地下室あり、バス付き」
てっきりキッチンわきの地下倉庫がこの「地下室」だと思って、
大家さんに聞きもしなかったんですね。
ホントは別にあったわけです。
でも、そうかぁ。
1年半ものあいだ、使いもしない部屋の分まで家賃を払っていたのね・・・。

あ、もう寝よう。
おやすみなさい。

   
 



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