11月29日(月)晴れ

今日は仕事でもないのにキサラさんが来てます。
珍しく、うちに遊びに来てくれたんです。
そんなわけで、3人で一緒にお菓子の食べながら
おしゃべりしました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ベル:ピンポ〜〜ン
きさら:あれ、お客さん?
たまき:そうみたいですね。
 紅蘭:うちが出るわ。
    通信販売で頼んどったのが来たのかも。
きさら:なに注文したの?
 紅蘭:ひみつひみつ。

たまき:紅蘭たら、最近通販にはまっちゃっているみたいで。
    なんかいろいろ頼んでるみたいですよ。
    あの、おもちゃを飾っている大きな棚も、
    通信販売で買ったんです。
きさら:そう言えば、何冊か通販の本が転がってるな。
    (パラパラ)
    ふ〜ん。家具から下着まで、なんでもあるんだね。
    ほらほら、これ見て。
たまき:なんですか?
きさら:すごいエッチ。
たまき:・・・・・・もう。

有閑トリオ

 紅蘭:宅配便やなかったわ。
    新聞の勧誘。
きさら:そりゃ残念。
たまき:何を頼んだの?
 紅蘭:せやから、秘密やって。
きさら:・・・・・・まさか「秘密」という名前の商品を注文した、
    なんてオチじゃないでしょうね。
 紅蘭:なんや?その「秘密」っちゅう商品って。
きさら:ん〜、違うか〜。
    そういうネタかと思ったのに。
 紅蘭:ちゃうちゃう。
きさら:・・・・・・あっ、わかった!
    チャウチャウを注文したんでしょ?
 紅蘭:ちゃうちゃう。
    チャウチャウちゃう。(笑)
    ・・・古典的なネタをやらせんといて。

 ベル:ピンポ〜ン
 紅蘭:おっ!今度こそ。
    うちが出るさかい、あんたらそこでゆっくりしててや。
きさら:いってらっしゃ〜い。
たまき:今日はお客さん多いなぁ。
きさら:ねえねえ、そう言えばさ、
    このあいだの水族館の人とは、どうなったの?
たまき:・・・どうって、
    どうもなってませんよ。
きさら:水族館には行ったんでしょ?
たまき:ええ。
    宮古さんのお仕事を見せてもらって、
    いろいろお話してみたら、
    思ってたよりもちゃんとした人でした。
    ・・・うん。
    キサラさんの言う通り、行ってみて良かったです。
きさら:でも、あれって2週間も前じゃない。
    その後、会ってないん?


たまき:このあいだの木曜日が宮古さんがお休みの日で、
    その日の午後、わたしが学校が終わってから一緒に
    ご飯を食べに海岸沿いのシーフードレストランにいきましたよ。
きさら:ふぅ〜〜ん。
    どうだった?
たまき:・・・・・・んもぅ、何でそんなこと聞くんですかぁ?
    恥ずかしいですよ。
きさら:いやぁ、
    その宮古さんのことを話すときのたまきちゃんの表情が
    楽しそうでいいなぁって思って。
たまき:・・・え?
    うわぁぁ〜〜。
 紅蘭:聞いたってえな、きさらはん。
    たまき、そのあと海岸で追いかけっこしたんやて。
たまき:あ、紅蘭っ。
    今度も違ったの?
    お客さんは誰だった?
 紅蘭:それはあとで。話題を変えようとしても無駄やで。
たまき:ぐふ。

きさら:海岸で追いかけっこ?
    ちょっと子供っぽいけど、・・・微笑ましくていいじゃないの。
 紅蘭:宮古はんの帽子を取ってな、「宮古さん、こっちこっち〜!」って、
    1時間くらい砂浜を走ってたらしいで。
きさら:砂浜・・・・・・?
    い、1時間も!?
 紅蘭:キッツイやろ?
    高校野球の強化トレーニングやないんやから・・・。
たまき:だって〜、楽しかったんだもん。
    宮古さんも楽しそうにしてたしさ。
 紅蘭:その笑顔、引きつってたんちゃうか?
きさら:翌朝、起きられないんじゃないの?
たまき:・・・私は平気だったもん。
 紅蘭:あんたが変なんやて。
たまき:宮古さんも平気だって言ってたし・・・。
きさら:男ってバカだから、すぐ見栄を張るんだよ。
    女に負けるのが恥だと思うみたい。
 紅蘭:せやなぁ。
たまき:そう・・・ですか?

きさら:そうだよ。
    女に自分がかなわないと思うと、悔しいみたいね。
    男のプライドってやつ。
    いやんなっちゃう。
たまき:ええ?
    じゃあ、わざと負けてあげたほうがいいのかな。
    でもそれじゃ、かえって失礼に・・・
きさら:まあ、それもよし。
    全力で倒すもよし。
    お好きな方を選ぶといいよ。
 紅蘭:うちは「本音で勝負」やから、全力。
たまき:わたしも嘘はイヤだから、手加減なしかな。
    きさらさんは?
きさら:あたし?
    ん〜、公私で使い分けてるかな。
    世の中を渡っていくには、いろいろとね。
(ポリポリ)
たまき:・・・はぁ。(オトナだ)

きさらさんも、ときどきこわい・・・

きさら:そういえばさ、あとねぇ、
    男って、女から
「○○○さんて、優しそう」って言われるよりも、
    
「○○○さんて、ときどき怖い」って言われるほうが
    嬉しかったりするみたい。
    この違い、わかる?
 紅蘭:あ〜っはっはっはっはっ!!(≧▽≦;)
たまき:うう〜〜?

きさら:しかしまあ、その水族館の人と仲良くなれたみたいね。
    よかったよかった。
    また一緒にどこかに遊びに行くの?
たまき:私が冬休みに入ったら、
    またどこかに行こうねっていう感じです。
    それまでは予定が合わなくて。
きさら:そうかね、そうかね。
たまき:(・・・結局全部しゃべっちゃった)

きさら:で、ホンラン。
    さっきのお客は何だったの?
 紅蘭:ああ、駅前の派出所の巡査やった。
    巡回にきたんやな。
    「なにか変ったことはありませんか」って聞かれたわ。
    春に誘拐されていらい、特に何事もないって答えといたけど。(笑)
たまき:近くの洞窟で迷って死にかけたり、真玄君が海で溺れたり、
    あと、山で車泥棒とカーチェイスもしたよ。
 紅蘭:・・・ああ、あんたも大変やね。
たまき:大変やねって、
    
洞窟で迷ったのは紅蘭のせいでしょ〜!!
 紅蘭:ま・・・まあまあ。
 ベル:ピンポ〜〜ン
 紅蘭:おっと、今度こそ宅配便やろか。
    ほな、行ってきますぅ〜。

たまき:ンもぉ〜、紅蘭のやつぅ。
きさら:う〜〜む。
    パターンからして、今度のお客も宅配便じゃなさそうね。
たまき:・・・パターン?
きさら:今回は、そういうお話ってことよ。
たまき:(・・・・・・な、なんの事を言っているんだろう)

 紅蘭:・・・・・・・・・・・・・・・あ。
たまき:どうしたの?
 紅蘭:なんか・・・・・・その、
    二人とも、ちょっと来て。
きさら:なんだぁ?

こんにちは、リカよ

黒リカ:ワタクシ、こういう者です。
たまき:霊媒 黒井リカ・・・?
黒リカ:ここ数ヶ月の間に、なにやら良くないことがおこってはいませんか?
たまき:はい。・・・ おこってますぅ〜。
黒リカ:そうでしょうね。
    やはり、こう、誰かが怪我をしたり・・・・・・。
たまき:私、誘拐されたり、車の屋根に掴まったままカーチェイスしたり、
    近くの洞窟で遭難しかけたり、
    それに、友達の弟が、そこの海岸で溺れたり。
黒リカ:・・・そ、そうですか。
    それは大変でしたね。
    ワタクシには判るのですよ。
    この家にとりついた霊が、それら不幸な事柄を

    喚起する原因となっているのが。
たまき:ええ〜!?どうしよう、紅蘭、きさらさん。
    イヤだなぁ・・・・・・。
きさら:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

黒リカ:しかしながら、霊媒であるワタクシの力を持ってその霊を呼び出し対話して、
    そのおおもとの原因を探れば、解決の方法が見つかるやもしれません。
 紅蘭:霊を呼び出す・・・・・・。
黒リカ:よろしければ、お試しになってみますか?
    ・・・そうですね。お礼は2千円で結構です。
 紅蘭:2千円?ホンマにそんなに安うてええの?
    うち、てっきり高額な・・・・・・
黒リカ:ワタクシは皆様のお力になれればそれで良いのです。
たまき:どうしよう。
    ・・・・・・お願いしちゃおうか。
 紅蘭:せやなぁ。
    ほな、お願いしますわ。
きさら:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
黒リカ:わかりました。
    それではこれよりこの家に住まいし霊を呼び出しいたします。
    精神集中をいたしますので、しばらくの間、お静かにお願いします。
    霊が降りてまいりましたら、普段のようにお話なさって結構です。
たまき:(ドキドキ)
 紅蘭:(ワクワク)
黒リカ:では。

黒リカ:・・・ムッ・・・・・・ムムムムム。
    ンン・・・・・・・・・・。
たまき:(ドキドキ)
 紅蘭:(ワクワク)
黒リカ:・・・私に・・・何か・・・用?
たまき:(・・・・・・女の人?)
黒リカ:ワタクシがお呼び出しいたしました。
    この家に立て続けに起こる不幸、
    あなた様のお力によるものとお見受けいたしましたが、
    如何でしょう。

    ・・・ええ・・・そうよ。
    この家の人達って仲良くて楽しそうで、
    わたし寂しくて、
    だから良くないことがおこるようにしむけたのよ。

    そうでございましたか。
    しかしそのこと、この家のものに罪はございません。
    なにとぞ、ご容赦のほどを。

    そうはいかないわ。
    ・・・と、言いたいところだけど、考えてもいいわよ。
    でもそれには・・・条件があるわ。

    その条件とは?

    私の心がやすらぐ何かをこの家に置いてくれれば、
    もうなにもしないわ。
    いいえ、この家に幸せが訪れるようにしてあげる。

    何か、と申しますと?

    それが出来ないと言うのなら・・・・・・、
    もっと不幸が降りかかるようにするわよ。
たまき:・・・そんなぁ。
 紅蘭:なんや、凄いことになってきたなぁ。
きさら:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

黒リカ:あなた様は、なにをお望みなのでしょう。
    
    ・・・・・・ホウセキ。
    真っ赤な宝石がいいわ。
    綺麗にカットされて、美しく輝く宝石。
    あら、・・・あなた、いいペンダントを持っているわね。
    
    これは、ワタクシの・・・・・・
    霊力のこもった大切なものでございます。
    これを差し上げることは出来ません。
    何か、ほかのもので・・・・・・


    嫌だ!

たまき:きゃっ!
黒リカ:し、しかし・・・・・・。

    それがいい。
    それをここに置いていきなさい。
    そうしなければ、この家にもっともっと、
    たくさんの不幸をもたらすわよ。

黒リカ:でもこれは・・・・・・。
    お家の方々、どういたしましょう。
    これは私の大切なルビーのペンダント。
    差し上げるわけにはいきませんわ。

たまき:もっと不幸になっちゃう?
    ・・・・・・どうしよう。
 紅蘭:あの〜、黒井はん。
    そのペンダントをうちらに譲ってもらえんやろか。
    代金はお支払いしま・・・・・・
きさら:あのさぁ〜。
    ちょっといい?
たまき:きさらさん!大変だよう。

きさら:ホンラン。たまきちゃん。
    キミタチ危なっかしくて見ていられないよ。
 紅蘭:せやかて・・・

ユーレイと大脳生理

きさら:黒井さん、教えて。
    ユーレイってなに?

黒リカ:・・・死者の霊魂です。
    そんなこともご存知ないのですか?
    人は死ぬと体から魂がはなれ、そのうちある者は地上に残り、
    霊としてさまようのです。
きさら:じゃあ話は変るけど、ものを見るのってどこで見る?
    匂いをかぐのは?
黒リカ:眼と、鼻よ・・・ね?
きさら:音を聞くのは耳。味を感じるのは舌。
    触られたと感じるのは皮膚。
 紅蘭:でも、目ぇや耳は感覚器官で、実際に見たり聞いたりするんは
    脳やろ?
きさら:そうそう。
    感覚器官から来た情報を脳で判断するの。
    網膜からの信号を映像化したり、鼓膜の振動を音として感じたり、
    味蕾が受けた刺激を味として感じたりするのよ。
    そして、脳はそれらを美しいと感じたり、
    美味しいと感じたりするのね。
    もちろん、ものを考えたり、記憶したりするのも、
    頭に詰まったこの脳細胞たちよ。
    人間が人間である機能を集約したのがここね。
    ホントによく出来た器官だわ。
黒リカ:それはわかりましたが、
    今のこの状況と一体何の関係があるのですか?

きさら:いやね、だからユーレイって何なのかなぁって、
    思ったから。
黒リカ:ですから、死んだ人から離れた霊魂だと・・・
きさら:ユーレイって、実体として存在しないんだから
    脳みそないんでしょ?
    どうやって考えたり、ものを見たり、感じたりするの?
    脳という器官無しにそういうことが成り立つなら、
    微生物から人間までの脳の進化の歴史って、なに?
    ・・・つまり、今あなたはあたしの話を聞き、
    理解しようとしているだろうけど、
    「脳」がない存在には、それすら出来ないのよ。
黒リカ:霊は・・・・・・

きさら:それだけじゃない。
    内臓と脳はお互いに分泌する化学物質で
    影響を与え合っていて常に密接な関係にあるのよ。
    そしてDNA情報から脳内物質のレセプターの形状が影響を受け、
    楽観的、悲観的、飽きっぽい、忍耐強いなどの気質ができて、
    そしてそれが個性や感情という形で外にあらわれる。
    個人のパーソナリティーは、そういうこと抜きでは考えられないわ。

    もし人が死んで、体から何かが抜けたとしても、
    それに脳がないなら、
    それは何も考えない、何も感じない、何も記憶しない、
    個人として捉えられない、そういうモノなんじゃない?
黒リカ:はぁ・・・・・・

たまき:じゃあ、なんで宝石なんか欲しがっているんですか?
黒リカ:それは、私のタマシイに・・・
    ・・・・・・じゃなかった。
    それは、私のタマシイにルビーのパワーが・・・・・・
 紅蘭:おいおい。
    声を間違えんなや。(笑)
黒リカ:ええと・・・・・・
たまき:いんちき?
    
ひど〜〜い!
黒リカ:しっ、
    
しつれいしました〜〜〜!!(どひゅ〜〜〜ん

 紅蘭:あ、逃げよった。
きさら:・・・いや〜、危ない危ない。
たまき:きさらさんが居なかったら、
    あの高そうなルビーのペンダントを買わされるところでしたよ。
    きさらさん、本当にありがとうございました。
きさら:・・・あれ、たぶんニセモノ。
    ガラス玉だよ。
たまき:・・・・・・・・・あっ、そうか。
    本物でなくてもいいんだ。
    いや〜〜ん、怖い〜。
 紅蘭:うち、警察に電話してくるな。
    あれは常習犯やで。
たまき:また警察の人とお話するのかぁ。(笑)
    もう慣れてきたなぁ。
 紅蘭:市民の義務やって。
    さっき来た巡査が来るんかなぁ・・・。

たまき:それにしても・・・。
    そうか〜。幽霊なんていないんですね。
きさら:誰もそんなことは言ってないよ。
たまき:だって今さっき、幽霊なんていないような話をしてたじゃないですか。
きさら:人間と同じように考える幽霊はいないはずだ、っていう話。
    人間の強い思い・・・。
    恨みや悲しみの「気」のようなものが体から離れて、
    あるところに留まり、そこを通りかかった人間に悪い影響を与える。
    カンが強い人には、その「気」が見えたりもする。
    あたしは幽霊の正体って、そんな所じゃないかなって思う。
    別に人が死ぬときでなくても、
    生きている人間だって幽霊を作っているんじゃないかって。
たまき:ああ、なるほど。
きさら:でも、体から離れて留まるのは、
    なにも恨みや悲しみの感情だけじゃないと思うの。
    楽しい気持ちや嬉しい気持ちも、
    体から離れてある場所に留まって、
    そこを通った人をハッピーな気持ちにすることもあるんじゃないかな。
    昔から言うじゃない。
    「笑うかどには福来たる」って。
たまき:そうか。
    明るく楽しく。
きさら:そうそう。
    さっきのは、脳が機能を失ったら何もできないって話だったけど、
    脳が活動しているときの可能性は、まだ未知数だからね。
    見えないはずのものを見たり、感じたりすることもあるし。
    生きているってすごいんだよね。

 ベル:ピンポ〜〜ン
たまき:はい。
宅配便:宅配便のケロロ運送です。
    李紅蘭さんにお荷物をお届けにあがりました。
たまき:どうも、おつかれ様で〜す

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あやうくとんでもない買い物をするところでした。
というか、ダマされるところでしたと言うほうが精確でしょうか。
世の中に怖いものはいろいろあるけど、
こういうことがあると、一番怖いのって人間かな?って思ったりして。

それでは、おやすみなさい。
    
   
 



前の日記を見る



次の日記を見る



日記を閉じる