12月25日(土)晴れ

水槽を飾っていたクリスマス飾りの片づけも終わり、通常業務も無事終了。
今日でこのサンタの衣装ともお別れだ。
毎年思うけど、なんで飼育係がこんなの着なきゃならないんだろう・・・。
クリスマスだってのに、不幸にも今夜の当直にあたった中嶋のところによって、
時間は午後7時20分。
きっともう、たまきさんは門のところで待っているだろう。
あんまり待たせちゃ悪いから、早く行かないと・・・。
俺は車を取りに駐車場にむかった。

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 宮古:(ジャラジャラ・・・ピーッ、ガシャッ)
    さてさて、プレゼントはどこに入れたっけ・・・
    確か後部座席の・・・
    あったあった。
    あの子、喜んでくれるといいけどな〜。
    まあ、俺が選んだプレゼントならまだしも、
    あいつのセンスだからあてにしても大丈夫だろ。
    女同士だからか、あいつのほうがたまきちゃんのことを
    良く分かっているような気がするもんな。

    んー、・・・どういうタイミングで渡すかなぁ。
(キュキュ、ドルン、ドドドド
    会っていきなりかな〜。
    ご飯食べる前かな〜。
    ・・・やっぱり別れ際かな〜。
    メリークリスマスーッって渡すかな。
    それとも、さりげなく渡したほうがいいかな。
    ・・・大事な話をするのは、プレゼントの前がいいよな。
    あ〜あ、もうどーしよう・・・・・・。
    とりあえずバッグに入れとこうっと。

    ええと、BGMはなにがいいだろう。
    あの子の音楽の趣味ってよくわかんないからなぁ。
    J−WALKじゃダメだろうなぁ。・・・割といいのになぁ。
    そういや・・・マライヤのクリスマスアルバムが
    たしかこのへんに・・・・・・
(ガシャガシャ)
    ・・・・・・あったあった。
(カシャ、ウィーン)
    
    やべ、早く行こう。
ブオン、ドルルルルル・・・・)


 宮古:ごめんごめん、お待せ〜。(キュッ)
    何時頃に来た?
たまき:んと、30分前。
    ・・・そんなに待ってないよ。

いへんのぜんちょう

 宮古:その荷物、うしろの席に乗せなよ。
たまき:いいよ。
    自分で抱えてるから。
 宮古:んじゃ、乗って乗って。
たまき:宮古さん、シートベルトしないと。
 宮古:あ、いけね。
    今日はなんか浮かれてんだな〜。
(カチャ)
    クリスマスもルールを守って安全運転。
    な。
たまき:・・・うん。
 宮古:(・・・恥ずかしがってんのかな。
     もしかして、たまきさんもプレゼントを渡すタイミングで悩んでたりして。)
    お腹すいたろ。
    今夜はちゃんと予約入れてあるから、
    このあいだみたいに入り口で30分も待たされるようなことはないよ。
たまき:あのね、宮古さん・・・・・・
 宮古:なに?
たまき:さっき待っているとき、ミツキさんに門のところで会って・・・
 宮古:ミツキ?
    ・・・ああ、連中が一緒にパーティーに行くって言ってたな。
    あいつ、何か言ってた?
たまき:その・・・そのぉ・・・・・・
    宮古さんに・・・・・・・・・「よろしく」ってさ。
 宮古:・・・そうか。
    元気そうだった?
    隣町に移って以来、会ってないんだよね。
    ちゃんと向こうの水に馴染んでるかどうか・・・。
    あいつのことだから、大丈夫だとは思うけど。
たまき:忙しくなったけど、充実してるって言ってたよ。
 宮古:そりゃいいことだな。
    (・・・・・・どうしたんだろう、彼女。
     ミツキと会って何かあったのかなぁ)
たまき:そうだよね。
 宮古:・・・・・・・・・・・・・・。
たまき:・・・・・・・・・・・・・はぁ〜。
 宮古:ため息なんてついて、どうしたん。
たまき:・・・えっ?
    ううん。なんでもない。
    
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彼女の様子は明らかに変だった。
今日もいつもの笑顔が見られると、
いや、いつも以上の笑顔を見られると思っていたのに。
せっかくのクリスマスの夜に、俺は何か間違ったんだろうか。
幸い渋滞もなく、予約を入れておいたレストランに着いた。
機嫌が悪いだけなら、美味しい料理でなんとかなるだろう。
それでもだめなら、ちゃんと話を聞いてあげなくちゃ。
なんか、あんまり聞きたくないたぐいの話みたいな気がするけど。
・・・・・・まさか、またフラれるとか?


   
 


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